妊娠中・授乳中でも乳がん検診は受けられる?適切な検査方法と注意点について詳しく解説!

「授乳中でも乳がん検診って受けてもいいの?」「検査を受けるときに注意すべきことは?」

このような疑問をかかえていませんか。

乳がんは日本人女性が最もかかりやすいがんですが、早期に見つかった場合は90%以上が治るといわれていわれています(※1)

しかし、定期的に検査を受けることが大切だとわかっている一方で、授乳中の検診に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、授乳中でも乳がん検診を受けていいのかや、適切な検査方法、検査における注意点についても紹介します。

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妊娠中・授乳中に受ける乳がん検診の重要性

妊娠から断乳までの数年間はなかなか検診を受けられず、気づかぬうちに進行がんになる方も少なくありません。

そのため、妊娠中や授乳中であっても乳がん検診を受けることは重要です

妊娠中・授乳中でも乳がんを発症する可能性はある

妊娠中や授乳中は女性ホルモンが変化しやすく、乳房にも影響を与えて乳がんを発症する可能性があります。

しかし、妊娠中から授乳中にかけては乳腺が発達するため、しこりが発見しづらくなります。そのため、この時期の乳がんは、発見できてもすでに進行していることが少なくありません

20代以降に乳がんを発症する確率

2019年のデータ(全国がん登録罹患データ)を元にした年齢別の乳がん罹患率によると、発症する確率は20歳〜50歳で急激に上昇します

乳がんを発症するピークは50〜60歳後半であるため、その年齢より前の40歳ごろから、意識的に定期検診を受けることが大切です(※2)

乳がんの発症リスクが高い方

乳がんを発症しやすい方には、次のような特徴があります。

乳がんの発症リスクが高い方

  • 初潮が早い(11歳以下)
  • 初産が遅い(30歳以上)
  • 出産経験、授乳経験がない
  • 家族に乳がんになった方がいる
  • 閉経が遅い など(※3)

上記の特徴に当てはまる方が、必ずしも乳がんになるわけではありませんが、当てはまる方はとくに注意が必要です。

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▼関連記事:早期発見のために乳がん検診はいつから受けるべき?推奨される頻度や検査方法も詳しく解説!

妊娠中・授乳中に受けられる乳がん検査

乳がん検査のなかでも、妊娠中、授乳中に受けられる乳がん検査は、乳房超音波(エコー)検査です。

超音波検査はマンモグラフィ検査と異なり、乳房を圧迫する必要がないので、検査中に強い痛みを感じたり、母乳が漏れ出る心配がありません

ただし、妊娠中、授乳中の乳腺は通常の状態とは異なるため、超音波検査による病変の判別が難しい場合があります。

乳房超音波(エコー)検査とは

乳房超音波(エコー)検査は、乳房用の超音波診断装置を用いて超音波を乳房に当て、反射して返ってくる信号を画像にする検査です。

しこりの内部や表面の画像から、がんが良性か悪性かどうなのかを識別できます(※4)

超音波検査を受けるメリット

超音波検査を受けるメリットは次のとおりです。

妊娠中・授乳中に超音波検査を受けるメリット

  • 検査による痛みや、母乳が漏れ出る心配がない
  • 妊娠中、授乳中における乳房でも病変を見つけやすい

超音波検査は、超音波を発する機械を乳房にあてて滑らせる検査なため、圧迫による痛みが母乳が漏れ出る心配などが必要ありません。

妊娠中や授乳中の発達した乳腺の診断は難しいですが、明らかなしこりとによる病変は超音波検査でも判別が可能です。

超音波検査を受ける時の注意点

妊娠中、授乳中の方が超音波検査を受ける場合、乳腺が発達している関係で病変の判定が難しい傾向があります

そのため、熟練した医師や看護師、技師でないと正確な検査ができない場合があります。

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妊娠中・授乳中は勧められていない乳がん検査

妊娠中、授乳中は、乳がん検査のなかでもマンモグラフィ検査はすすめられていません

妊娠中、授乳中は乳腺が発達しているため、全体が白く写ってしまい、正確な診断は困難です。

マンモグラフィ検査とは 

マンモグラフィ検査とは、乳房専用のX線装置で左右の乳房を片方ずつ圧迫し、X線写真を撮る検査です。

マンモグラフィは、しこりになる前の石灰化した小さな乳がんの発見を得意としています(※5)

妊娠中にマンモグラフィ検査が勧められていない理由

妊娠中は通常とは異なり、女性ホルモンの影響によって乳腺が発達するため、マンモグラフィ検査による正しい判定ができません

マンモグラフィはX線被爆の問題があるという意見もありますが、過度な心配はいりません。

胎児に奇形が出るといわれているX線量は100mGy(グレイ)ですが、X線検査で100mGyを超えることは極めてまれです(※6)

また、胎児にX線が直接あたらない限り、胸の撮影での胎児への影響は無視できるほど小さいのです(※7)

授乳中にマンモグラフィ検査が勧められていない理由

X腺検査であるマンモグラフィ検査を受けても母乳に影響はありません

ただし、次のような理由によってあまり、すすめられていません。

授乳中にマンモグラフィ検査が勧められていない理由

  • 授乳中は乳腺が白く映って見えにくいため、正確な判断が難しい
  • 圧迫した時に強い痛みを感じ、母乳が漏れ出てしまう

出産後マンモグラフィ検査を再開する目安

マンモグラフィ検査は、卒乳から6か月ほど経ってから受けるようにしてください※8)

妊娠から授乳の期間は、女性ホルモンの影響で乳腺が発達した状態になるため、マンモグラフィ検査を受けても乳房全体が白く写って診断が難しくなります。

また、撮影時の圧迫で強い痛みを感じたり、母乳が漏れ出てしまうことがあります。

そのため、マンモグラフィ検査は、発達した乳腺が元に戻る頃である、卒乳後6か月ほど経ってから受けましょう。

ただし、授乳中であっても、しこりなどの自覚症状に気付いた時には乳腺専門外来などを受診してください。

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妊娠中・授乳中の乳がん検査についてよくある質問

ここでは、「出産後の乳がん検診を受ける時期」や「授乳中の血乳やしこりの乳がんとの関連性」など、妊娠中、授乳中の乳がん検査についてよくある質問について回答します。

出産後はいつから乳がん検診ができますか?

出産後は、卒乳後から6か月経った頃を目安に受けましょう。妊娠、授乳中は乳腺組織が発達している関係で、検査の精度が落ちる可能性があります

そのため、乳腺組織が元の状態に戻る頃である卒乳後6か月を目安にしましょう。

授乳中の血乳やしこりは乳がんの症状でしょうか?

乳がんの症状である可能性も考えられますが、授乳中の血乳は珍しいことではありませんし、授乳中のしこりの大半は良性だといわれています。

とくに出産してすぐの時期は、新しくできた血管が刺激されることで、乳頭から血が混じった分泌物(血乳)が出ることがあります。

また、授乳中にできるしこりの多くは母乳がたまってできた乳瘤(にゅうりゅう)と呼ばれるものであり、乳ガンのしこりとは異なります。

ただし、数は少ないものの、授乳中でも乳がんを発症することはあるため、授乳中に血乳やしこりが出た場合は自己判断せずに医師に相談しましょう

妊娠中・授乳中に乳がんのセルフチェックはできますか?

妊娠中、授乳中の乳がんのセルフチェックは可能です。

異変にすぐ気づけるよう、着替えや入浴などの際におこなえるセルフチェックを習慣化しておきましょう

上半身裸の状態で鏡の前に立ち、下記の3種類の姿勢をとった上で、乳房の状態を確認します(※9)

  1. 両腕を高く上げる
  2. 両腕をまっすぐ下ろす
  3. 両腕を腰にあてる

入浴時には、指にボディソープなどをつけて滑りをよくし、4本の指をそろえてくるくるとうずまき状に動かしながら、乳房表面にしこりや皮膚の異常がないのかを確認します。

寝る前に仰向けになったら、腕を上げて乳房を指のはらで軽く押しながら調べましょう。

乳がんのセルフチェックは、毎月1回おこなうことが推奨されており、月経終了4〜5日目がおすすめです。

閉経後の方は、月初めや誕生日の日にちにおこなうなど、ルールを決めるとよいでしょう(※10)

明らかなしこりや、乳首から血が混ざっている分泌液が出ている場合は、すぐに主治医の診察を受けましょう。

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まとめ

妊娠中や授乳中には、乳がん検診のなかでも乳腺超音波(エコー)検査がおすすめです

マンモグラフィ検査では乳房を圧迫する必要があるため、強い痛みを感じたり、母乳が漏れ出てしまったりする可能性があります。

さらに、妊娠中や授乳中は乳腺が発達しているため病変の判別が難しく、正確な検査結果が出ない場合があるので注意が必要です。

妊娠から授乳中は、なかなか検診を受けられない方も多いですが、毎月のセルフチェックをおこいましょう

より正確に検査したい場合は、卒乳度6か月ほど経った後(乳腺の状態が元に戻る頃)を目安に検診を受けましょう。

<参考文献>
(※1):日野市 乳がん検診
(※2):熊本大学病院 乳腺・内分泌外科 Q2.乳がんになりやすい年齢は?
(※3):東京都福祉保健局 乳がんになりやすい人がいるの?
(※4):東京都福祉保険局 国が推奨する乳がん検診の開始年齢が何歳から?
(※5):東京都福祉保険局 国が推奨する乳がん検診の開始年齢が何歳から?
(※6):独立行政法人 労働者健康安全機構 浜松ろうさい病院 胎児への被ばくで影響は?
(※7):大阪大学医学部附属病院 放射線被ばくについて
(※8):浜松市子育てサイト ぴっぴ 産後の女性特有がん検診はいつから受けるの?
(※9):東京都福祉保健局 乳がんを早期発見するための「ブレスト・アウェアネス」
(※10):明石市 乳がんの自己触診(セルフチェック)について

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