がんの早期発見につながることから、がん検診の定期的な受診は必要です。
しかしがん検診に意味はないとして、検診を受けない方も少なくありません。
がん検診に意味がないとする噂は本当なのでしょうか。
本記事では、がん検診の必要性や効果について詳しく解説します。
意味ないと言われる理由や、がん検診のメリットとデメリットもあわせて解説するので、がん検診が必要かどうか確認してみてください。
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【意味ない?】がん検診の現状
がん検診はがんの早期発見につながる検診であり、がん予防に効果的です。
しかし国内では受診率が低く、多くの方が不必要であると判断しているといえます。
そこでここからは、意味がないとされるがん検診の現状について、次のように解説します。
- 日本のがん検診の受診率
- がん検診を受けない理由
それぞれ詳しく確認しましょう。
日本のがん検診の受診率
日本ではほかの国に比べ、がん検診の受診率が低い状況です。
大阪国際がんセンターのデータでは、アメリカと比較して日本は約40%も受診率が低いとされています。
日本ではさまざまな機関でがん検診を受けられるものの、がん検診を推奨するまとまったシステムがありません。
会社の健康診断で受けるのか、意識的に自身で受診するものなのかわからず、がん検診を受けるタイミングがない方もいるでしょう。
がん検診を受けない理由
内閣府大臣官房政府広報室のは発表によると、がん検診を受けない主な理由は次のとおりです。
がん検診を受けない主な理由
- 受ける時間がない
- 健康状態に自信があり、受ける必要がない
- 心配なときはいつでも医療機関で受診できる
- 費用がかかり経済的な負担になる
- がんの発覚を恐れている
- 受診を忘れている
- 検査に伴う苦痛が不安
- がん検診自体を知らない
- 受診する場所が不便
- がん検診には見落としがあると考えている
上記の理由から、がん検診を推奨している企業が少ないことや、がんに対する意識が低いことがわかります。
またがん検診の費用が高く、経済的な余裕がなければ受診が困難である点も大きな課題です。
たとえば国立がんセンターの場合、肺がんのみの単独検診で39,400円(税込)かかります。
まとめて他のがん検診を受ける場合は、男性で23万4,800円(税込)、女性で26万7,800円(税込)となるため、気軽に受けられるものではありません。
さらにがん検診を受けても、必ずすべてのがんの有無が判断できるわけではありません。
100%の結果が出ないにもかかわらず費用が高い点は、がん検診を受けない大きな理由といえます。
がん検診に意味がないといわれる5つの理由
がん検診に意味がないとされる主な理由は、次の5つです。
- 過剰診断による偽陽性が多くみられる
- 偽陰性によりがんの早期発見ができない
- 結果的に不要な検査や治療を受けることがある
- 進行しないと検査データとして見えてこないがんが多い
- 最新の検査の多くはまだ研究途上
がん検診の精度に関わる理由もあるため、それぞれ詳しくチェックしてみてください。
過剰診断による偽陽性が多くみられる
がん検診には、過剰診断と呼ばれる現象が起こり得ます。
過剰診断とは、検査により生命に直接影響しないと考えられるがんが見つかることです。
現状大きな影響はないものの、がんが発見されれば多くの方が不安になります。そのため過剰診断により精神的に不安定になる方は少なくありません。
またがんの疑いがあると診断されたものの、精密検査の結果がんが見つからない偽陽性もあり得ます。がん検診の精度は100%ではないため、偽陽性により余計な不安と心配を抱えてしまう方は少なくありません。
過去に過剰診断や偽陽性を経験したことで、がん検診に対して不信感を持つ方もいるでしょう。
偽陰性によりがんの早期発見ができない
がん検診にて、症状があるにもかかわらず陰性と判断された場合を偽陰性と呼びます。
がんがあるにもかかわらず陰性と判断されてしまうと、がん検診本来の目的であるがんの早期発見につながりません。
検診の精度は100%ではないため、がんを正しく診断できないこともあります。
検診を受けたのにがんが見過ごされてしまった場合、がん検診に意味はないと感じる方は多いでしょう。
結果的に不必要な検査や治療を受けることがある
過剰診断、偽陽性により、結果的に不必要な検査や治療を受けてしまうケースは少なくありません。
臨床的に意味のない治療は、身体的にも経済的にも負担です。検査にお金と時間をかけたにもかかわらず何もなかったとわかれば、がん検診に対する失望感も大きくなるでしょう。
しかし過剰診断かどうか、現状すぐに判断するのは非常に難しいです。また検診の精度は完璧ではないため、偽陽性も少なからず生まれてしまいます。
そのため画期的な検査方法が考案されない限り、過剰診断、偽陽性による不必要な負担を防ぐのは難しい状況です。
進行しないと検査データとして見えてこないがんが多い
がん検診はがんによる死亡率低下に貢献しているものの、検診では見つからないがんもあります。ある程度進行しないと発見できないがんであれば、検診を受けていても早期治療ができません。
そのためがん検診は定期的に受けるよう推奨されているものの、公的な補助がなければ検診の費用は高額です。
定期的にがん検診を受けたくても受けられず、がんの発見が遅れるケースは少なくありません。
最新の検査の多くはまだ研究途上
がんの研究は世界的でおこなわれていますが、最新の検査の多くは研究途上です。
がんを超早期に100%発見できる方法はまだないため、がん検診は信用できないと考える方は少なくないでしょう。
もちろん今後、さらに精度の高い検査方法が生まれる可能性はあります。
しかし費用面の問題もあるため、しばらくは現在日本で普及している検査方法を継続する形となるでしょう。
がん検診を受ける3つのメリット
がん検診は意味がないと考える方は少なくありません。
しかしがん検診には、次のような3つのメリットがあります。
- がんを早期に発見でき治療費用を抑えられる
- 治療法を柔軟に選択できる
- がん以外の病気が見つかることもある
がん検診を受けるべきか迷う方は、ぜひ参考にしてみてください。
がんを早期に発見でき治療費用を抑えられる
がん検診でがんを早期発見できれば必要な治療が減り、治療費を抑えられます。
すでにがんが進行した状態で発見されるとすぐに手術が必要になる場合もあるため、治療費は高額になりがちです。
がん検診は決して安い金額ではありませんが、がんを早期発見できれば費用の総額を減らせるでしょう。
がん検診でがんが早期に見つかれば、がんによる死亡率を大きく下げられます。
またがん検診により異常がないと診断されれば、精神的に安心できる点もメリットです。
治療法を柔軟に選択できる
がん検診から早期発見につながった場合、治療法を柔軟に選択できる可能性が高まります。
主ながんの治療法は、次の4つです。
主ながんの治療法
- 手術療法
- 放射線療法
- 化学療法
- 免疫療法
がんの病期を表すステージや種類により分かれますが、早期発見であれば選択肢は増えます。
一方後期症状の場合、がんの病巣を摘出する手術療法やがん細胞を消滅させる放射線療法を選ばなければなりません。どちらもリスクや副作用があるため、闘病生活もつらいものになりがちです。
しかしがんが早期発見できれば、抗がん剤投与が主流となる化学療法や、体の免疫力を高める免疫療法で済む場合が多くなります。
心身への負担も少なくなるため、安心して治療を継続できるでしょう。
がん以外の病気が見つかることもある
がん検診をきっかけに、がん以外の病気が見つかることもあります。
検診でポリープや潰瘍が見つかれば、がんにつながる前に適切な対処ができるでしょう。
がん検診を受けるデメリット
がん検診には、次のデメリットがあります。
- 結果として不必要な検査を受けることになる
- 検査により身体的な苦痛を伴う
- 意味のない検査で金銭的な負担を伴う
がん検診に意味はないとされる理由とあわせて確認しましょう。
結果として不必要な検査を受けることになる
がん検診で陽性反応が出た場合、過剰診断や偽陽性でも精密検査を受けることになります。
精密検査にはお金と時間が必要になるため、不必要な検査だったとあとでわかれば後悔につながるでしょう。
しかし精密検査をしなければ、本当にがんだった場合でも治療が遅れてしまいます。結果として不必要である検査でも、受けることで安心できる結果につながります。
検査により身体的な苦痛を伴う
がん検診では、身体的な苦痛を伴う可能性もあります。
たとえばX線検査では、バリウムを飲むことにより便秘になる可能性があります。また内視鏡検査では、胃や腸に穴が開くこともあり身体的な負担は大きいです。
さらに放射線を用いた検査では被ばくの問題もあるため、とくに妊娠している方は注意が必要です。
がん検診で起こるリスクについては、検査前に詳しく説明されます。
検診は個人の意思を優先して実施されているため、不安を拭えない場合は検診を断ることも検討しましょう。
意味のない検査で金銭的な負担を伴う
偽陽性の場合、結果的に精密検査の意味はないといえます。
しかし意味のない検査でも金銭的な負担を伴うため、デメリットといえるでしょう。
とくにがん検診の費用は高く、すべての検査を受けると20万円以上もかかります。負担が大きい場合、本当に必要な検査のみに絞れないか医師に相談してみましょう。
国が定期検診の対象とするがん検診5つ
現在日本では、がん検診の受診率を50%以上にするためにがん検診を推進しています。
定期検診の対象とされているがん検診は、次の5つです。
- 胃がん
- 子宮頸がん
- 肺がん
- 乳がん
- 大腸がん
それぞれの検査内容や対象年齢、定期的な検査の受診間隔を解説するので、ぜひ検診を受ける際の参考にしてみてください。
胃がん
胃がん検診の対象は通常50歳以上とされているものの、40歳以上の方であれば実施可能です。
検診では問診に加え、胃部のX線検査や胃内視鏡検査が実施されます。受診間隔は2年に1回とされていますが、1年に1回でも実施可能です。
がん検診の施設の中には、ペプシノゲン検査を受けられる場所もあります。ペプシノゲン検査とは、胃がんになる前の状態で起こりやすい萎縮性胃炎を見つける検査です。
比較的安い金額で受診できるものの、胃がんを直接発見できる検査ではないため他の検査も受けましょう。
子宮頸がん
子宮頸がん検診の対象は、20歳以上です。
問診及び視診に加え、子宮頸部の細胞診や内診による検査がおこなわれます。受診間隔は、2年に1回が推奨されています。
子宮頸がんの早期発見を目的として、HPV検査を実施する医療機関も少なくありません。
HPVウイルスは性交渉において多くの女性が感染するウイルスですが、約10%の方はHPVウイルスを排除できず、感染が持続した状態となります。
感染を5~10年放置すると子宮頸がんになりうるため、気になる方はHPV検査もあわせて受けましょう。
肺がん
肺がん検診は40歳以上を対象に、1年に1回の定期的な検診が推進されています。
問診、胸部X線検査や喀痰(かくたん)細胞診が主な検査内容です。
肺がん検診の際に低線量CTを用いる施設もありますが、施設ごとに撮影条件が異なるため、一定の検査ができないとされています。
肺がんの有無を確認したい場合は、X線検査か喀痰細胞診を受けましょう。
乳がん
乳がん検診は40歳以上の女性を対象に推奨されており、理想的な受診間隔は、2年に1回です。
問診とともにX線で乳房を撮影するマンモグラフィ検査が推奨されているため、マンモグラフィ検査を実施している医療機関を探しましょう。
視触診のみの検診は、厚生労働省では推奨されていません。
大腸がん
大腸がん検診の対象は40歳以上であり、1年に1回の定期検診が推奨されています。
検査方法は、問診と便潜血検査が主流です。便潜血検査は便に血液が含まれているのかを判断する検査であり、潜血があればすぐに詳細な検査をスタートできます。
ただし便潜血が確実に大腸がんと関連しているわけではありません。便潜血の陽性反応のうち、大腸がんとされるものは約3%であるため極度に気にするのは避けましょう。
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高精度のマイクロCTC検査で全身のがんリスクがわかる
がんの検査方法には、「マイクロCTC検査」というものもあります。
全身のがんリスクが非常に高い精度でわかる検査で、がん検診に意味を見い出せない方にも適している検査です。
ここでは、マイクロCTC検査について詳しく解説します。
がんの進行を進める間葉系のがん細胞を捕捉
まずは、マイクロCTC検査がどのような検査なのか解説します。
マイクロCTC検査は、採血にて血中に流れ出る間葉系のがん細胞を捕捉しがんリスクを判定するものです。
間葉系がん細胞とは、浸潤・転移をする可能性の高いがん細胞を指します。
従来のがん検査では血中に流れ出るすべてのがん細胞を対象にしていました。
しかし、悪性度の低い上皮性のがん細胞は血中に漏れても自己免疫で消されることが多いとされています。
そのため上皮性がん細胞を含めてしまう従来のがん検査では、正確性が疑問視されていたのです。
マイクロCTC検査であれば、悪性度の高い間葉系がん細胞のみを特定して調べるためがんのリスクが明確にわかります。
特異度94.45%の高精度
マイクロCTC検査が高精度な結果を出せるのは、米国のMDアンダーソンがんセンターにより開発された特異度94.45%の「CSV:細胞表面ビメンチン抗体」が関係しています。※1
特異度とは、がんではない方に陰性判定が出る正確性のことです。
陽性判定が出た場合、偽陽性の可能性はきわめて低く身体のどこかに浸潤・転移能力の高いがん細胞がある、もしくは浸潤・転移を起こしているがん細胞があることになります。
マイクロCTC検査後の精密検査にてがんの疑いがあると診断された場合には、がんである可能性が高いと判断できます。
これらからわかるとおり、マイクロCTC検査はがんの早期発見につながりやすい検査です。
がん検診を無意味に感じる方は、1回5分で終了するマイクロCTC検査を試してみてください。
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まとめ
今回は、がん検診に意味はないとされる理由やがん検診のメリットとデメリットを解説しました。
がん検診の精度は100%ではないため、検査の結果が異なることもあります。しかし定期的に検診を受けることで、がんを早期発見できる可能性は高まります。
意味がないとされる場合もありますが、総じてがん検診は受けた方がよい検診の一つといえるでしょう。
自治体の制度を活用しながら定期的にがん検診を受け、がんの早期発見につなげましょう。
<参考>
大阪国際がんセンター