がんは日本人の2人に1人が発症するといわれており、早期発見には定期的ながん検診の受診が推奨されています。※1
しかし、何歳からがん検診を受けるべきか、症状がなくても検査を受けるメリットがあるのか疑問を持つ方もいるでしょう。
がん検診は、症状がない方が受けるべきです。がんを早期発見できた場合に早期治療につなげられます。
本記事では、何歳からがん検診を受けるべきかについての疑問や、受診のメリットとデメリットを詳しく解説します。
がんの種類によって検診の対象年齢や受診頻度は異なるため、ぜひ参考にしてください。
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がん検診は必要?がん検診受診率の実態
がんは日本人の死因で最も多い疾患であり、がんによる死亡率を減らすためには定期的ながん検診の受診が必要です。
しかし、政府の調査によると多くの日本人が「がん検診に通う時間がない」「身体に不調が出てから医療機関を受診すればよい」と考えており、受診率の低さが問題視されています。※2
がんは症状が現れるときには進行している可能性が高く、治療困難になることがあります。
定期的ながん検診を受けることで、症状が出る前に早期にがんを発見し、早期治療がおこなえるでしょう。
ここからは、がん検診の受診率をはじめ、メリットやデメリットを詳しく解説します。
がん検診の必要性に疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。
がん検診の受診率
次の表は2022年に国立がん研究センターが報告した、がん検診の受診率を調査したデータです。
がんの種類 | 条件 | 男女 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|---|
胃がん | 40歳以上過去1年 | 37.2% | 42.7% | 32.2% |
大腸がん | 40歳以上過去1年 | 41.5% | 45.3% | 38.1% |
肺がん | 40歳以上過去1年 | 45% | 48.9% | 41.6% |
乳がん | 40歳以上過去2年 | 36.4% | – | 36.4% |
子宮頸がん | 40歳以上過去2年 | 34.5% | – | 34.5% |
※3国民生活基礎調査による都道府県別がん検診受診率データ2022
全体が50%を大きく下回っており、乳がんや子宮頸がんなどの女性特有のがんに関しては受診率が低いことが分かります。
国内のがん対策推進基本計画では、がん検診受診率50%以上の達成が目標とされていますが、現状では目標に到達していません。
また、厚生労働省が2019年にがん検診の受診率を調査した際の全体平均は約46%で、年々減少傾向にあります。
一方、海外諸国ではがん検診の受診率が50%を超える国が多く、日本人のがん検診に対する意識の低さが明らかとなっています。※2
がん検診のメリット
がん検診の最大のメリットは、がんを早期発見し、早期治療につなげられることです。※4※5
早期の段階で治療をおこなえば、進行がんよりも生存率が向上します。
次の表は、日本で発症率や死亡率が高いといわれるがんの5年生存率です。
がんの種類 | ステージⅠ期 | ステージⅡ期 | ステージⅢ期 | ステージⅣ期 |
---|---|---|---|---|
胃がん | 98.7 | 66.5 | 46.9 | 6.2 |
大腸がん | 98.8 | 90.9 | 85.8 | 23.3 |
肺がん | 85.6 | 52.7 | 27.2 | 7.3 |
乳がん | 100 | 95.9 | 80.4 | 38.8 |
子宮頸がん | 93.6 | 82.2 | 67.9 | 26.5 |
出典:「がんの統計2022」全国がんセンター協議会加盟施設における5年生存率(2011~2013年診断例)
ステージⅠ期にがんの早期治療ができれば、5年後の生存率も高くなります。
しかし、ステージⅣ期までがんが進行すると治療が困難になり、余命宣告を受けるケースも少なくありません。
がんは進行するほど治療の選択肢が限られるため、身体や精神だけでなく経済的な負担もかかります。
早期にがんを発見するためには、定期的にがん検診を受診しましょう。
がん検診のデメリット
がん検診にはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあります。※4※5
日本で主におこなわれているがん検診は、市区町村が実施する「対策型検診」と医療機関や健診機関で受けられる「任意型健診」の2種類です。
精度は必ずしも100%ではなく、偽陽性や偽陰性の結果が出ることがあります。
偽陽性は、実際にがんではないのにがんと診断されることで、追加の精密検査に時間や費用がかかります。
一方、偽陰性は、がんがあるにもかかわらず検診で見逃されることです。
治療が遅れることで死亡率が高まるほか、身体的、経済的な負担がかかるでしょう。
偽陽性や偽陰性のリスクを防ぐためには、精度の高い検査を受けることが重要です。
がん検診の種類と対象年齢
がん検診を何歳から受けるべきか迷っている方は、がん検診の種類と対象年齢を確認しておきましょう。※6
次の表では、日本で発症率や死亡率が高い、5つのがんに関するがん検診の詳細をまとめています。
がん検診の種類 | 対象年齢 | 受診頻度 | 検査内容 |
---|---|---|---|
胃がん | 50歳以上 | 2年に1回 | 胃X線検査 胃内視鏡検査 |
大腸がん | 40歳以上 | 1年に1回 | 大腸内視鏡検査 便潜血検査 |
肺がん | 40歳以上 | 1年に1回 | 胸部X線検査 喀痰細胞診 |
乳がん | 40歳以上 | 2年に1回 | 触診 マンモグラフィ 超音波(エコー) |
子宮頸がん | 20歳以上 | 2年に1回 | 子宮頸部細胞診 HPV検査 |
市区町村が実施する対策型検診では、上記のがん検診が公費で受けられます。
しかし対策型検診は対象年齢や受診頻度が決められているため、個人でがんによる死亡リスクを下げたい方は任意型検診を選択しましょう。
ここからは、対策型検診で受けられる5つのがんの種類別に、検査内容や費用相場について解説します。
胃がん検診(50歳以上)
胃がん検診は50歳以上が受診の対象で、消化器内科、消化器外科で検査を受けられます。
主な検査方法は、問診、胃X線検査、または胃内視鏡検査です。
2016年に国のがん検診に対する指針が改正され、胃X線検査のみ40歳以上の方が対象となります。
胃がん検診の受診頻度は2年に1回が推奨されており、胃X線検査は1年ごとの受診も可能です。※6
対策型検診では、1,500円〜3,000円の自己負担で胃がん検診を受診できます。
全額自己負担で胃がん検診を受ける場合の費用相場は、胃X線検査が10,000〜15,000円、胃内視鏡検査で15,000〜20,000円です。
大腸がん検診(40歳以上)
大腸がん検診は40歳以上が受診の対象で、消化器内科や消化器外科で検査を受けられます。
主な検査方法は、大腸内視鏡検査または便潜血検査です。
大腸がんは日本人が最も多く発症するがんであり、年齢があがるほど発症リスクが高まります。
検診の受診頻度は年1回が推奨されているため、対象年齢を超えたら定期的に検査を受けましょう。※6
大腸がん検診は、無料〜1,000円の自己負担で受診できます。
全額自己負担で大腸がん検診を受ける場合の費用相場は、大腸内視鏡検査が15,000〜30,000円、便潜血検査で1,000〜2,000円です。
肺がん検診(40歳以上)
肺がん検診の対象年齢は40歳以上が推奨されており、呼吸器内科や呼吸器外科で検査を受けられます。
主な検査方法は問診、胸部X線検査、喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)です。
50歳以上の方で喫煙指数が600以上の方は、喀痰細胞診の対象となります。
喫煙指数とは、一日にたばこを吸う本数と喫煙年数を掛けた数値です。
喫煙をしていない方も年1回の肺がん検診が推奨されているため、定期的に検査を受けましょう。※6
肺がん検診は、無料〜1,000円の自己負担で受診できます。
全額自己負担で肺がん検診を受ける場合は、胸部X線検査が2,000〜3,000円、喀痰細胞診で1,500〜3,000円です。
乳がん検診(40歳以上)
乳がん検診は、40歳以上の女性が受診の対象で、乳腺外科のある医療機関で検査を受けられます。
国立がん研究センターが2019年に発表した情報によれば、女性の生涯がん罹患リスクは51.2%です。
乳がんの罹患リスクは11.2%を占め、9人に1人が乳がんを発症しています。※7
主な検査方法は、触診、マンモグラフィ、超音波で、理想的な受診頻度は2年に1回です。※6
乳がん検診の費用相場は、対策型検診の場合、無料〜3,000円の自己負担で受診できます。
全額自己負担で乳がん検診を受ける場合は、マンモグラフィ検診が5,000円前後、超音波検診で3,500円前後です。
子宮頸がん検診(20歳以上)
子宮頸がん検診は、20歳以上の女性が受診の対象です。
主な検査方法は子宮頸部細胞診やHPV検査で、2年に1回の受診が推奨されています。※6
子宮頸がんは若い世代でも発症リスクが高く、30代後半にピークに達します。
男性医師による検査に抵抗がある方は、女性医師のいる産婦人科や婦人科を選ぶとよいでしょう。
対策型検診の場合、自己負担額は無料〜1,000円です。
全額自己負担で受ける場合は、5,000円前後の費用がかかります。
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全身のがんリスクがわかるマイクロCTC検査
がん検診には対策型検診と任意型検診の2種類がありますが、全身のがんリスクがわかるマイクロCTC検査と呼ばれる検査方法もあります。
マイクロCTC検査は、悪性度の高いがんを捕捉する高い精度が特徴です。
マイクロCTC検査は1回5分の採血で完了し、年齢を問わず全身のがんリスクを確認できます。
全国のクリニックで短時間で検査を受けられるため、対策型検診や任意型検診のように長い時間を要しません。
ここからは、マイクロCTC検査について詳しく解説します。
【特異度94.45%】悪性度の高いがんのみを捕捉
マイクロCTC検査は、血液中から悪性度の高い間葉系のがん細胞のみを捕捉し、個数を明確に提示しながらがんリスクを判定する検査です。
がんを疾患していない方に対する特異度は94.45%と高く、血液がんを除くすべてのがんリスクを確認できます。
通常のがん検診でおこなわれる画像診断やスクリーニング検査では、早期のがん細胞を見つけることが難しい場合もあるでしょう。
マイクロCTC検査は1回5分の採血のみで、見逃されやすいがん細胞の早期発見に有効です。
国内の検査センターでスピーディーに検査
株式会社セルクラウドが提供するマイクロCTC検査は、国内の検査センターでスピーディーに検査がおこなわれます。
採血後すぐに検査が開始され、迅速に結果を得られる体制が整えられています。
患者は長時間待つことなく結果を受け取ることができ、早期発見、早期治療のための迅速な対応が可能です。
マイクロCTC検査は偽陽性や偽陰性のリスクも少ないため、精度が高い検査を受けたい方は利用を検討してみてください。
全国のクリニックで検査可能
マイクロCTC検査は、北海道から沖縄まで全国140院以上のクリニックで導入されています。
対策型検診のように受診期間の制約がないため、気軽に検査を受けたい方に向いています。
また、血液検査のみで判定が完了するマイクロCTC検査は、乳がん検診や子宮頸がん検診などのデリケートな部位の検査に抵抗がある方にもおすすめです。
とくに症状がなく、男性医師の検査を受けることに抵抗がある方は、まずは自宅や職場から近いクリニックでマイクロCTC検査について相談してみてください。
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がん検診に関するよくある質問
最後に、がん検診に関するよくある質問について回答します。
- がん検診でがんは100%見つけられる?
- がん検診はどの医療機関で受けられる?
- がん検診は毎年受けたほうがよい?
年齢が上がるほどがんを発症する可能性は高くなるため、定期的にがん検診を受けることが重要です。
がん検診に関する疑問がある方は、検診前の不安を解消しましょう。
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がん検診でがんは100%見つけられる?
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がん検診を受けても、100%確実にがんを見つけられるわけではありません。
健診は死亡率を下げることを目的としており、一部のがんは初期段階では検出が難しい場合があります。
がんは、発症する部位や大きさにより発見率が異なります。
検診の結果には偽陽性、偽陰性のリスクもあるため、正しい知識を身につけて定期的に検査を受けることが重要です。
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がん検診はどの医療機関で受けられる?
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がん検診が受けられる医療機関は、部位により異なります。
人間ドッグを受ける場合、クリニックや総合病院、大学病院など、人間ドッグの実施機関であれば自由に選択可能です。
特定の部位の検査を受ける場合は、検査したい部位に特化した診療科目を持つ医療機関を選びましょう。
たとえば、乳がんは乳腺外科や乳腺外来のある医療機関、胃がんは消化器内科、消化器外科のある医療機関を受診します。
がんの早期発見に努めたい方はもちろん、気になる症状がある場合は早めに受診しましょう。
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がん検診は毎年受けたほうがよい?
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がん検診の受診間隔は、がんの種類によって毎年受けるべきものと2年ごとに受けるべきものがあります。
大腸がんや肺がんなどの進行が比較的速いがんは、毎年の受診が推奨されています。
とくに肺がんは進行すると治療が困難になるため、早期発見が重要です。
自身のライフスタイルや経済的な状況に合った方法で、がん検診を受診しましょう。
まとめ
本記事では何歳からがん検診を受けるべきかについての疑問や、受診のメリットとデメリットを詳しく解説しました。
がんを早期発見し、早期治療をするためには定期的ながん検診が重要です。
検査の種類によって受診頻度や対象年齢が異なるため、症状がなくても適切な年齢に達したらがん検診を受けましょう。
医療機関でがん検診を受ける時間がない方や、短時間で全身のがんリスクを調べたい方には、マイクロCTC検査も便利な選択肢です。
マイクロCTC検査は1回5分の採血で全身のがんリスクを評価し、見逃されやすいがんの早期発見が可能です。
がんによる死亡リスクを減少するために、自身に合った方法で検査を受けてみてください。
<参考文献>
※1 がん情報サービス|最新がん統計
※2 大阪国際がんセンターがん対策センター|がん検診の受診率向上に向けて!
※3 国民生活基礎調査による都道府県別がん検診受診率データ
※4 公益財団法人日本対がん協会グループ|がん検診のメリット・デメリット
※5 大阪国際がんセンターがん対策センター|がん検診とは?
※6 国立研究開発法人国立がん研究センター|がん検診について
※7 SHIMADZU|乳がんを知ろう