日本人が罹患するがんのなかでも上位を占める胃がんですが、ストレスが原因の一つであるといわれています。とはいえ、具体的に胃がんとストレスにはどのような関係があるでしょうか。
本記事では、胃がんとストレスの関係性を紹介します。また、胃がんの原因や予防する方法も詳しく解説します。
胃がんとストレスの関係が気になる方はぜひ参考にしてください。
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胃がんとは
胃がんは、胃壁の内側を覆う粘膜の細胞ががん化し、増殖して発生する疾患です。
日本人に多くみられるがんで、大腸がん、肺がんに次いで第3位であり、毎年約4~5万人の方が胃がんのために亡くなる状況です。(参照元:がん種別統計情報|国立がん研究センター)
胃がんは時間の経過とともに胃壁の中に入り込んでいき、内側の粘膜から粘膜下層、筋層へと広がります。
粘膜下層には多くの血管やリンパ管があるため、がん細胞が胃の外へ流出しやすくなり、転移の可能性が高くなります。
がん細胞が粘膜下層までにとどまり、転移の可能性が低いものが「早期胃がん」です。筋層より深く達している場合は「進行胃がん」と呼ばれます。
胃がんの原因
胃がんの原因については多くの研究がおこなわれており、ピロリ菌の感染による影響や、喫煙や食習慣との関係などが原因として挙げられています。
ここでは、胃がんの原因について詳しく解説します。
ピロリ菌の感染による影響
ピロリ菌とは、胃に取り付いて炎症を起こす細菌のことです。
50歳以上の場合、約70%の方がピロリ菌に感染しているといわれています(参照元:知っておきたいがん検診|日本医師会)。感染経路は親から小さな子への食べ物の口移しや、幼少期の生水摂取などが考えられるでしょう。
幼少期に胃粘膜に感染したピロリ菌は毒素を出すため、胃粘膜に慢性的な炎症を起こします。
慢性的な炎症が続くと胃の粘膜にダメージが溜まり、萎縮性胃炎に発展しますが、萎縮性胃炎になると、がんが発生しやすい状態になります。
ピロリ菌に感染した方すべてが胃がんになるわけではありませんが、胃がんになる確率が高くなるでしょう。
喫煙や食習慣とかかわりがある
ピロリ菌以外にも胃がんの原因には、喫煙や食習慣ともかかわりがあると考えられています。
とある研究では喫煙をする方は、しない方に比べて2倍胃がんになりやすいと報告されています。(参照元:たばこ・お酒と胃がんとの関連について|国立がん研究センター)
とくに全体の62%を占める分化型の胃がんの場合、タバコを吸う本数が増えると、胃がんの発生率も増える傾向があるでしょう。
また、食習慣についても、とくに塩分の摂りすぎには注意が必要で、塩分摂取の多い地域では、胃がんが多いことが知られています。
肉や魚の焦げた部分や、過度の飲酒、夜食や早食い、食べ過ぎなどの不規則な食習慣も胃に負担をかけてしまいます。
神経ストレスが胃がんの進行を速める
胃がんの原因はさまざまですが、神経ストレスも胃がんの進行を速める要因といわれています。(参照元:神経ストレスが胃がんの進行を加速させるメカニズムを解明|東京大学)
神経細胞は、実は脳のみでなく全身に存在しており、とくに胃腸は1億個以上の神経細胞が存在している臓器です。
研究結果によると、がん細胞が異常な神経細胞を呼び寄せ、強いストレス刺激が加わると胃がんの成長が加速します。
こうした研究結果から、神経細胞とがん細胞の相互作用を抑える薬剤を使用して、胃がんの治療効果を高める研究もおこなわれています。
また、ストレスそのものも胃酸の過剰な分泌を促し、胃壁にダメージを与えるため、胃がんのリスクを高めるでしょう。
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胃がんの症状
早期の胃がんの場合、自覚症状はほぼみられません。また、進行胃がんの場合はいくつか症状がみられますが、胃がん特有のものではありません。
胃がんのなかでも、とくに進行スピードが速いスキルス胃がんは注意が必要です。ここでは、胃がんの症状について詳しく解説します。
早期の胃がんは自覚症状がみられない
早期の胃がんの場合は自覚症状がほぼみられません。また、非常に進行した段階でも症状がない場合があります。
そのため、胃炎や胃潰瘍が原因でおこなわれる胃カメラ(内視鏡)検査や定期的な検診により、偶然見つかる場合も少なくありません。
可能であれば、胃カメラ(内視鏡)検査を2~3年ごとに受けるとよいでしょう。
進行胃がんの主な症状
進行胃がんの主な症状には、次のようなものがあります。
- 吐き気
- 嘔吐
- 胸焼け
- 食欲不振
- みぞおちのあたりが痛む
- 下痢
- 便秘
- 血便
進行がんの場合でも、症状が必ず出るわけではありません。症状が出ても、胃がん特有のものではなく、胃炎や潰瘍でもみられる症状です。
そのため、胃カメラ(内視鏡)検査をしなければ、胃がんかはわかりません。
進行スピードが速いスキルス胃がんに要注意
胃がんの中には、胃壁の内部を這うように広がる「スキルス胃がん」と呼ばれるタイプのものがあります。胃がんの約5~10%に発生するといわれているがんです。
スキルス胃がんは進行が速いのみでなく、おなかの中にがん細胞が散らばる「腹膜播種」が起こりやすいことも特徴です。
腹膜播種が進行すると、おなかの中に腹水がたまる、大腸や小腸が狭くなる、尿の流れが悪くなるなどの症状が現れる場合があります。
スキルス胃がんは胃壁の内部に広がるため、胃カメラ(内視鏡)検査でも見つかりにくく、症状が出たときには非常に進行しているケースが多いでしょう。
腹膜播種が生じている場合、手術で除去するのは困難となり、抗がん剤治療のような化学療法が主に選択されます。そのため、根治的な治療は難しく、延命を目指して治療がおこなわれるでしょう。
胃がんの検査・診断
胃がんの検査や診断をおこなう方法は、主に次の2つです。
- 胃カメラ(内視鏡)検査
- バリウム検査(X線検査)
それぞれの方法について詳しく紹介します。
胃カメラ(内視鏡)検査
胃カメラ(内視鏡)検査は、口または鼻から内視鏡を挿入し、内視鏡の先端に取り付けられた小型カメラを通して胃の内部を直接見る検査方法です。
胃の内部を鮮明なカラー画像で確認できるため、胃粘膜の色の変化や小さなでこぼこ、出血などを見つけやすく、胃がんが発見しやすい特徴があります。
また、胃カメラではピロリ菌の有無を調べられるほか、病変をつまんで取り、病理診断のための生検も同時におこなえるのもメリットです。
内視鏡が喉を通るときに嘔吐反射が起こる場合があるため、苦しいと感じる方もいます。しかしながら、鎮静剤を使用してウトウトしている間に検査をおこなえば、苦しさが軽減できるでしょう。
費用は次に紹介するバリウム検査に比べるとやや高めですが、自治体の検診の場合は1,000円程度で受けられる場合もあります。
バリウム検査(X線検査)
胃がんの検査方法には、バリウム検査(X線検査)もあります。
バリウム検査(X線検査)は、バリウムと呼ばれる白い液体を飲んで、胃の形や粘膜などの状態をX線写真で確認する検査です。
胃カメラ検査のように直接胃の粘膜の状態を確認できないため、初期の小さな胃がんを見つけることが難しい場合があります。とくに平坦な病変は発見しにくいでしょう。
また、少量ですがX線を使用するため放射線被ばくのリスクもあります。さらに、バリウム検査で精密検査が必要になった場合は、胃カメラ(内視鏡)検査を受けなければなりません。
一方で、胃カメラ検査と比べると不快感や苦しさが少なく、費用も抑えられる点などがメリットです。
胃がんのステージ
胃がんのステージは、がんがどのくらい深く胃壁に進行しているか、またリンパ節やほかの臓器に転移しているかで異なります。
検査結果に基づいて、Ⅰ期~Ⅳ期までのステージがあり、数字が大きいほど胃がんが進行しているという意味です。
また、がんの深さと転移の有無により、Ⅰ期(ⅠA、ⅠB)、Ⅱ期(ⅡA、ⅡB)、Ⅲ期(ⅢA、ⅢB、ⅢC)、Ⅳ期の8段階に細かくわけられます。
早期の胃がんの場合、ステージはⅠA、ⅠBが多く、がんを適切に切除すれば予後は良好です。またⅡ期は少し進行した胃がんですが、手術により治る可能性は高いでしょう。
Ⅲ期はさらに進行した胃がんですが、手術により治る可能性はあります。
胃がんのステージやがん細胞の増殖の仕方、がんの大きさに応じて、治療法が決められるでしょう。胃がんの治療法については次に紹介します。
胃がんの治療法
胃がんになった場合の治療法はいくつかあります。具体的には、次のような治療法があるでしょう。
- 内視鏡を使った切除
- 開腹または腹腔鏡による手術
- 化学療法
それぞれの治療法について詳しく解説します。
内視鏡を使った切除
胃がん治療法の一つは、内視鏡を使ったがんの切除です。内視鏡の先端から輪状のワイヤーをがんにかけ、高周波電流を流してがんを切除します。
ほかには、少し大きめの腫瘍の場合、高周波ナイフを使い、がんを切除する方法が取られる場合もあるでしょう。
内視鏡を使った切除は、がんが粘膜層にとどまる早期胃がんの場合におこなわれます。手術に比べると体への負担が少なく、施術後の食生活にも影響が少ないことがメリットです。
高周波ナイフを使い切除をおこなう場合は、5~7日ほど入院が必要になります。また、胃に穴が開く穿孔や出血などの合併症のリスクがあるでしょう。
内視鏡でがんが確実に切除できたかは、病理診断により確認します。そのあとは転移がないか経過を観察する流れです。
がんが内視鏡で取りきれなかった場合や、深さが粘膜下層まで達しているため、リンパ節転移の可能性がある場合は後日、手術が必要になります。
開腹または腹腔鏡による手術
ほかの臓器への転移がないものの、内視鏡による切除が難しい場合は、開腹または腹腔鏡による手術がおこなわれます。
手術では、がんと胃の一部または全部を切除します。また、胃の周囲のリンパ節の切除は、食べ物が通る消化管の再建手術を同時におこなうことが多いです。
胃を切除する範囲は、がんがある部位や進行度により決まります。また、ほかの臓器にがんが浸潤している場合は、浸潤している臓器の一部を切除する場合もあります。
開腹手術は上腹部を15~20cmほど切開して、直接臓器を見ながらおこなう手術方法です。早期胃がんの場合は、できるだけ切除範囲を狭くして、残る胃の機能を保持するよう努めます。
腹腔鏡による手術は、おなかの数か所に小さな穴を開け、専用の器具を挿入して手術をおこなう方法です。内視鏡の一種を使い、先端のカメラで撮影した画像をモニター上で見ながら手術します。
主に早期胃がんの場合におこなわれますが、最近では進行がんの一部でも腹腔鏡による手術がおこなわれる場合が増えています。
腹腔鏡による手術は、傷が小さく術後の痛みが少ないほか、ほかの臓器に与える影響も少ないため、術後の回復が速いなどのメリットがあるでしょう。
化学療法
化学療法は、抗がん剤のような薬剤を使用しておこなう治療法です。
胃がんの場合の化学療法には、手術が難しいがんや再発した胃がんに対するものと、手術後に再発を防止するためのものの2種類があります。
使われる薬剤には、細胞障害性抗がん薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあり、単独あるいは併用して使われ、点滴や内服の場合があるでしょう。
細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する仕組みの一部を妨害してがん細胞を攻撃する薬剤です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関係するタンパク質を標的にする薬剤で、がんを攻撃します。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃できるように助ける薬剤です。どの薬剤を使用するかはがんの状況や、臓器の機能、副作用などを医師と話しあいのうえ決めます。
化学療法は通常、一次から四次までの段階があり、効果や副作用に応じて段階を進めます。薬物療法をおこなったあとは、内視鏡検査やCT検査により、治療の効果を確認する流れです。
胃がんを予防する方法
胃がんの主な原因はピロリ菌や食生活と考えられるため、ある程度予防が可能です。胃がんを予防する方法には、次のようなものが挙げられるでしょう。
- ピロリ菌に感染している場合は除菌治療する
- 塩分の多いものを食べすぎない
- 多量の飲酒は控える
- 喫煙はしない
それぞれの予防方法について詳しく解説します。
ピロリ菌に感染している場合は除菌治療する
ピロリ菌に感染している場合の予防方法は除菌治療です。除菌治療は抗生物質を服用しておこなわれます。
胃酸の分泌の抑制薬と抗生物質を一週間ほど服用すれば、約8割の方は除菌が成功するでしょう。
除菌治療終了後は、除菌ができたのかを再び検査する必要があります。もし、除菌ができていない場合は別の薬に切り替えて、再び治療をおこなうことになるでしょう。
薬の服用を中止すると除菌に失敗する可能性があるため、指示されたとおりに休まず服用しましょう。
また、ピロリ菌を除菌できたとしても、ほかの原因で胃がんになる可能性は残ります。定期的な検査や食生活に注意を払い、予防を継続しましょう。
塩分の多いものを食べすぎない
塩分の摂りすぎは胃がんのリスクを高めます。
塩分濃度の高い食品には、みそ汁や漬け物、たらこやいくらなどの塩蔵魚卵や、めざしや塩鮭のような塩蔵魚や、塩辛、練りうにのような塩蔵魚介類もあります。
厚生労働省では、食塩摂取量の成人の目標量を1日男性7.5g未満、女性6.5g未満に設定しています(参照元:日本人の食事摂取基準(2020年版)|厚生労働省)。それに対して日本人の塩分摂取量は1日あたり約10gと多いです。
高塩分の食品を減らすとともに、うす味に慣れるようにしましょう。また、高塩分の食品を食べる際は、週に1~2回程度にして回数を減らすように努力できます。
塩分の摂りすぎは胃がんのみでなく、高血圧の原因ともなり、脳卒中や心臓病を引き起こす可能性も高まります。ほかの生活習慣病予防のためにも、塩分摂りすぎを控えるのは重要です。
多量の飲酒は控える
飲酒は直接的に胃がんのリスクを上げるわけではありません。しかし、アルコールで胃の粘膜を傷つけるとリスクを高める可能性があります。
また、飲酒の際のおつまみには塩分の高いものが選ばれやすいため、塩分により胃の粘膜がさらに傷つけられるケースも多いです。
胃がんを予防するには、飲酒を控えたり、飲む場合でも適量にとどめたりなどの配慮が必要です。適量の飲酒量は、純アルコール換算で1日20g程度です。
ビールであれば、500ml缶1本、日本酒であれば1合(180ml)程度になります。
ほかにも、空腹時に飲まないようにする、辛いおつまみは避ける、水分とあわせてお酒を飲むなどの注意をしておきましょう。
喫煙はしない
タバコには多くの発がん性物質が含まれているため、DNAを傷つけ、がんの原因になると考えられています。
喫煙は胃がんのみでなく、食道がんや肺がんなどほかのがんになるリスクも上がるほか、脳卒中や心疾患などのリスクも上がります。
がんの予防には喫煙しないことが有効ですが、現在喫煙中でもこれから禁煙すれば、がんになるリスクを下げられるでしょう。
喫煙は本人のみでなく、周りの方にもさまざまながんの原因になるといわれています。禁煙すれば、周りの方の健康への影響も少なくできるでしょう。
手軽に短時間で全身がん検査を受けたい方はマイクロCTC検査がおすすめ!
40代以降は胃がん以外にもさまざまながんが発生しやすいといわれています。そのため、胃がん検診以外にもがん検査を受けて定期的にチェックしましょう。
全身を検査するのは大変ですが、手軽に短時間で全身がん検査を受けたい方はマイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査の内容と、どのような方におすすめなのか紹介します。
1回の採血のみで血液がん以外の全身のがんリスクを発見できる
マイクロCTC検査は、血液を採取し、CTCが含まれているかを調べる検査です。CTCとは血液中を循環するがん細胞です。
1回の採血(4ml)のみで検査できるため、患者の負担が少ないメリットがあります。また、がんを超早期に発見できる可能性もあります。
がんの再発発見にも有効で、画像診断で発見するよりも早く再発が発見できる場合もあるでしょう。
血中に流れるがん細胞そのものを直接捕捉して個数まで明示
マイクロCTC検査には、血中に流れるがん細胞そのものを直接捕捉して個数まで明示できるメリットがあります。
従来の早期スクリーニング検査では、尿を使用した場合のように大まかにしかリスク指数が表示されないケースが多い点がデメリットでした。
マイクロCTC検査では、血中に漏れ出たがん細胞を個数まで把握できるため、提示されたリスクを納得しやすいでしょう。
医療被ばくによるがんの再発リスクが心配な方におすすめ
がんの再発を発見する検査にはPET検査やCT検査などがありますが、医療被ばくによる再発リスクがあります。
がんの再発を発見するための検査を受けているにもかかわらず、新たな発がんリスクを負うことになりかねません。
マイクロCTC検査は血液を採取するのみのため、医療被ばくのリスクがないほか、画像診断よりも早期発見が可能です。
医療被ばくによるがんの再発リスクが心配な方は、マイクロCTC検査をぜひ検討してください。
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まとめ
本記事では、胃がんとストレスの関係性について紹介しました。神経ストレスは胃がんの進行を速める要因といわれています。
胃がんを予防するためには、ストレスを避けるとともに、ピロリ菌の除菌や食生活の習慣を見直すことが有効です。また、定期的な検査が早期発見につながるでしょう。
胃がんをはじめとする全身のがんの早期発見には、マイクロCTC検査もおすすめです。微量の血液を採取するのみのため、手軽にがんの検査を受けたい方はぜひ検討してください。