食道がんは初期症状がない?進行した場合の自覚症状や検査方法・治療法を解説

「喉に違和感がある」「咳が止まらない」などは、風邪をはじめとする感染症の代表的な症状ですが、食道がんのサインである可能性も否定できません。

食道がんは、初期の段階では自覚症状が出ないケースが多いため、小さなサインを見逃さないことが重要です。

本記事では、食道がんの概要や検査方法・治療方法、食道がんが疑われる初期症状について詳しく解説します。食道がんの知識を深めて、早期発見・早期治療につなげましょう。

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食道がんとは?

食道がんとは、食道の粘膜に発症するがんです。

がんが食道内の粘膜に留まっている状態は「早期食道がん」と呼ばれ、粘膜下層まで及ぶものは「表在食道がん」、粘膜下層を越えたものは「進行食道がん」に分類されます

食道がんは、外膜を越えて肺や気管・気管支、大動脈などへ広がることがわかっているため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

はじめに、食道がんの種類や原因を紹介します。

食道がんの種類

食道がんは、主に扁平上皮がんと腺がんの2つのタイプがあります。

扁平上皮がんは、食道の粘膜の最も内側になる扁平上皮から発症するがんです。日本人の食道がんの約90%を占めています。※1

腺がんは、体を構成する腺組織の上皮から発症し、日本人の発症率は全体の6~7%程度です。※2

さらに、食道がんはがんが発症した部位により下記の3つに分類されます。

部位発症頻度
頸部食道がん喉仏の下、食道の入り口から約5cmの範囲4~5%
胸部食道がん頸部食道の下から横隔膜までの約20cmの範囲85~86%
腹部食道がん横隔膜から胃の入り口までの約2cmの範囲8~9%
(参考:日本食道学会|食道がんの疫学・現状・危険因子

胸部食道がんは最も発症頻度が高く、そのうちの半数近くが胸部中部食道がんです。一方、頸部食道がんの発症頻度は10%にも達しません。

食道がんの原因

食道がんの原因の一つは、過度な飲酒です。

食道がんのリスクは、アルコールの摂取量が多ければ多いほど増えることがわかっており、発症リスクは最大で約4.6倍にも及びます。※3

とくに、飲酒で顔が赤くなる方は、発がん性物質であるアセトアルデヒドが分解されず体内に蓄積しやすいため、注意が必要です。

また、タバコも食道がんの原因となります。

喫煙者の食道がんのリスクは、非喫煙者に比べて3.7倍です。喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙歴)が高い場合、さらにリスクは増加します。※4

そのほか、熱すぎる・辛すぎる飲食物や欧米型の食生活も、食道がんの危険因子です。

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食道がん初期は自覚症状はほぼない

食道がんは、がんの進行に伴いさまざまな症状が現れますが、初期の約60%は無症状といわれています。※5

そのため、ステージ0・Ⅰの約20%は、健康診断・がん検診・人間ドックなどで発見され、ステージⅢ・Ⅳまで進行した場合、自覚症状による受診の割合が増加します。※6

食道がんをできる限り早く見つけるためには、定期的な検診・検査はもちろん、体からのサインを見逃さないことが大切です。

食道がんが進行した場合の初期症状をチェック

食道がんが進行した場合、下記の症状が現れます。

  • 喉のつかえ感
  • 胸の違和感
  • 胸・背中の痛み
  • 咳・声のかすれ
  • 体重減少

ここからは、食道がんの進行が疑われるそれぞれの症状について、詳しく解説します。

喉のつかえ感

食道がんが進行すると、がんが飲食物の通り道である食道の内腔を狭めるため、喉のつかえ感が生じます。

具体的に、喉のつかえ感とは下記のような症状です。

  • 飲み込みにくさを感じる
  • 喉に何かが詰まっている感覚がある
  • 食べ物・飲み物が喉にしみる

はじめは固形物が飲みにくく感じる程度ですが、次第に流動食や水分までも飲めなくなります。

喉の異物感は、がんにより食道が塞がれて食べ物が留まっているときに現れる症状です。ビー玉やピンポン玉が張り付いたような不快感が続きます。

また、飲食物を飲み込む際に、喉の奥がしみる・熱く感じるなどの症状が出る場合があります。

胸の違和感

食道がんが進行するなかで、比較的早い段階で現れる症状が胸の違和感です。

  • 食事中に胸の奥がチクチク痛む
  • 熱いものを飲み込んだときに、胸がしみる

胸の奥、すなわち胸部食道に発症したがんに飲食物が触れる際、チクチクとした痛みを感じたり、しみたりと、胸に違和感が生じる場合があります

一時的に症状が消えることもあるため、見過ごさないように注意しましょう。

胸・背中の痛み

食道がんが進行し、肺・背骨・大動脈などに転移すると、胸・背中に圧迫感や痛みを伴います。

  • 背中に圧迫感がある
  • 背中またはあばら骨に沿って痛みがある
  • 胸やみぞおちが、締め付けられる感覚がある

上記の症状は、食道がん以外に循環器疾患(心筋梗塞・狭心症・大動脈解離)や、呼吸疾患(胸膜炎・気胸・膿胸)なども疑われます。

緊急性が高いケースもあるため、症状が軽度でも一度医師に相談しましょう

咳・声のかすれ

食道がんが、気管・気管支・肺へ転移すると、むせるような咳や血痰が出て、息苦しさを感じます。

また、がんが声帯を動かす反回神経のリンパ筋まで浸潤した場合、声のかすれ(嗄声・しわがれ声)が生じます。

咳・声のかすれは、風邪やインフルエンザなどの感染症によくある症状ですが、自己判断は危険です。

これらの症状が長引き、同時に喉や胸に違和感がある場合は、医療機関の診察を受けることが重要です。

体重減少

食道がんには、食べにくさ・飲みにくさから、食事の摂取量が減り、体重が減少するケースが少なくありません。

また、がん細胞が産生する「炎症性サイトカイン」も、体重減少の原因の一つです。

炎症性サイトカインは、脳に食欲を抑える指示を出し、脂肪組織へエネルギーの消費力を増すよう働きかけ、筋肉を分解して筋力低下を引き起こす性質を持っています

結果、普段と変わらない生活を送っているのにもかかわらず、どんどん体重が減ります。

医学的な体重減少は、6~12か月で4.5kg以上の減少が目安です。※7

がんによる体重減少は、治療の効果や生存率に影響を及ぼすため、適切な診察・検査を受けることをおすすめします。

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食道がんの検査方法

ここで、主な食道がんの検査方法を紹介します。

  • 胃カメラ検査
  • バリウム検査

次章では、それぞれの検査内容やメリット・デメリットを詳しく解説します。

胃カメラ検査

胃カメラ検査は、鼻または口からカメラ(内視鏡)を挿入して、食道に腫瘍や隆起、狭窄などの異常がないか調べる検査です。

下記は、胃カメラ検査のメリットです。

  • 初期の食道がんが発見できる
  • 組織を採取し、診断が可能
  • 医療被ばくの影響がない

胃カメラ検査は、食道の粘膜をリアルタイムに観察できるため、病変の色調や凹凸の微小な変化も捉えることが可能です。

疑わしい病変は、組織の一部を採取して生検をおこなうことで確定診断ができます。

一方、胃カメラ検査には下記のデメリットがあります。

  • 検査時に苦痛が生じる
  • 検査時間が長い

カメラが喉や食道を通過する際、嘔吐反射が起こりやすく、苦痛に感じる方も少なくありません。

また、生検が必要と判断された場合は、検査に1時間程度かかる場合があります。

バリウム検査

バリウム検査は、バリウムを服用して体内を通過する過程をX線で撮影し、食道がんの有無や大きさ、深さなどを調べます。

バリウム検査のメリットを紹介します。

  • 食道・胃・十二指腸の状況が把握できる
  • 比較的簡便に受けられる

服用したバリウムは食道のみならず、胃や十二指腸も通るため、体の広範囲の状況が把握できることがバリウム検査の強みです。

バリウム検査は10~20分程度で終了するため、比較的簡便に受けられる検査といえます。

下記は、バリウム検査のデメリットです。

  • 早期の食道がんの発見は難しい
  • バリウムによる副作用がある
  • 医療被ばくのリスクがある

早期の食道がんは、わずかに隆起や凹みがある程度です。また、周囲の粘膜と色の違いがわかりにくく、バリウム検査では認識ができません。

そのほか、便秘・腹痛・膨満感などのバリウムによる副作用や、医療被ばくのリスクがあります。

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食道がんの治療方法

食道がんには、内視鏡的治療、外科手術、 化学療法・放射線治療の3つの治療方法があります。

各治療方法の入院期間と治療費は、下記のとおりです。

治療方法入院期間治療費(3割負担)
内視鏡的治療1週間程度15~20万円前後
外科手術20~30日程度60~80万円前後
化学療法・放射線治療1週間程度の入院と通院20万円前後
(参考:日本臨床外科学会|食道がんと診断されたら

治療方法は、食道がんの範囲・深さ、転移の有無などにより進行度を評価し、患者の体の状態や希望を考慮したうえで決定します

それぞれの治療法方法について、次章で詳しく解説します。

内視鏡的治療

 食道がんには、下記の内視鏡的治療があります。

  • 内視鏡でがんを切除する切除術
  • がんの取り残しや再発に対する治療
  • 治療後のQOL向上を目的とした処置

切除術は、がんが粘膜下層までに留まっており、なおかつリンパ筋に転移していないステージ0の食道がんに適応されます。

がんのサイズに応じて、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)から選択します

内視鏡による切除術の最大のメリットは、食道を温存できることです。また、比較的低侵襲な治療であるため1週間程度の入院で済み、早期の社会復帰が可能です。

がんの切除後、がんの取り残しや再発に対する治療として、光線力学療法(PDT)をおこなう場合は、10日前後の入院が必要です。

内視鏡的治療後に食道の狭窄が残っている場合、日帰り手術の内視鏡的食道拡張術(EBD)を検討します。

バルーンで狭窄部分を膨らませ食事をスムーズに通しやすくし、QOLの向上を目指します。

外科手術

ステージⅡ・Ⅲの食道がんに対しては、がんの病巣がある食道と、頸部・胸部・腹部の3領域のリンパ節を切除する外科手術が標準治療です。

切除後は、欠損した部位に応じて下記の再建術をおこないます。

  • 空腸移植
  • 胃の吊り上げ
  • 皮弁形成

空腸移植は、頸部食道の摘出後に小腸の一部を欠損部に縫い合わせる再建術です。咽頭を切除した場合には、呼吸をするための永久気管孔もつくります。

胃の吊り上げとは、胃を持ち上げて細い管状にし、頸部食道とつなげて新しい通り道「胃菅」をつくる再建術です。一部、大腸を移植するケースもあります。

再建した食道をおおうために、胸皮・腕皮・広背筋などの皮膚を移植する皮弁形成をおこないます。

これまで、食道がんの外科手術は、開胸術が一般的でした。近年では術後の回復が早い胸腔鏡下手術や、傷口が小さく低侵襲なロボット支援手術を採用する施設が増えています。

術後の経過にもよりますが、早ければ2~4週間程度で退院が可能です。

化学療法・放射線治療

化学療法・放射線治療は、ともにがんを小さくする効果が認められている治療法で、ステージ0からⅣまでの幅広い病期に適応可能です。

単独でおこなう場合もありますが、食道がんには2つを併用する化学放射線療法が推奨されています

がんが局所あるいはリンパ筋に留まっている場合、手術をおこなわなくとも化学放射線療法のみで根治ができます。

抗がん剤の点滴と同時に、週5回の放射線治療を6週間ほど実施します。抗がん剤の点滴期間は入院が必要ですが、それ以外は通院のみで治療が可能です。※8

化学放射線療法は、治療のほか、手術前にがんを小さくするために用いたり、がんによる症状の緩和を目的に実施したり、さまざまな用途でおこなわれます。

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マイクロCTC検査は採血のみで全身のがんリスクを判定

マイクロCTC検査は、採血のみで全身のがんリスクを判定する血液検査です。

血中に漏れ出したがん細胞そのものをキャッチし、個数を明示します。

検査は1回5分、4cc(小さじ1杯程度)の採血で可能です。短時間かつ検査による苦痛がないため、気軽に受診できるでしょう。※9

ここからは、マイクロCTC検査の仕組み・特徴を紹介します。

検査の仕組み

がん細胞は、増殖の過程で独自の新生血管をつくり、周囲の血管に漏れ出して血中を循環する性質を持っています。

その性質に着目した画期的な検査が、マイクロCTC検査です。

マイクロCTC検査は、世界有数のがん研究施設「米国MDアンダーソンがんセンター」が開発した、CSV(細胞表面ビメンチン)抗体を用い、血中のがん細胞の有無・個数を明示します

1cmにも満たないがん細胞や、画像検査に写らない部位のがん細胞の検出も可能であるため、がん検診や人間ドックより早期にがんのリスクが把握できます。

陽性判定の場合、無症状かつ他の検査で異常が見つからなかったとしても、体内にがん細胞が潜んでいる可能性が非常に高いです。

検出可能な主ながん

マイクロCTC検査は、自己の免疫システムにより取り除かれる上皮性がん細胞ではなく、浸潤・転移の能力が高い、間葉系がん細胞のみの検出が可能です。

間葉系がん細胞の検出においては、特異度94.45%にも及ぶ高い精度を実現しています。※10

そのため、偽陽性や過剰診断による不要な検査・治療を避けられることも、マイクロCTC検査の魅力の一つです。

また、マイクロCTC検査は高い検査精度を維持するために、国内に自社の検査センターを設けて、AIによる分析と臨床検査技師の目視によるスクリーニングを実施しています。

ダブルチェック体制を整えることで、血液検体に含まれる何千億もの細胞のなかから、悪性度の高いがん細胞のみの検出を実現しています。

全国の提携医院で検査可能

マイクロCTC検査は、全国の提携医院で受診ができます。公式サイトから検査が申し込めるほか、オンライン決済も可能です。

検査は1回5分と短時間で終了するため、次の方におすすめです。

  • 仕事の合間に受診したい方
  • 買い物のついでに検査を受けてみたい方
  • 遠方の病院にいく手間を省きたい方

また、各地の医院で採取した血液検体は、すべて国内の検査センターで分析・レポートするため、転勤や引っ越しなどで受診する医院を変更しても、同様の検査が受けられます

そのほか、検査でがん細胞が検出された場合は、電話およびオンラインによる無料相談が受けられるため安心です。

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食道がんの初期症状に関するよくある質問

最後に、食道がんの初期症状に関するよくある質問を紹介します。

食道がんに関する知識を深めて、早期発見・早期治療につなげましょう。

5年生存率は?

食道がんの5年生存率は41.5%です。全部位がん5年生存率の64.1%に比べて、4割ほど低くなります。※11

下記は、食道がんと全がんのステージ別5年生存率の比較表です。

ステージⅠステージⅡステージⅢステージⅣ
全部位86.1%75.8%51.6%21.2%
食道79.9%52.8%29.0%12.7%
(参考:がん統計2021|全国がんセンター協議会加盟施設における5年生存率

すべてのステージにおいて、食道がんの5年生存率が低いことがわかります。

ステージⅠでは、全部位がんと食道がんの差は1割程度でした。しかし、ステージⅡから差は6割程度まで広がっています。

食道がんは、ほかのがんと比べて進行スピードが比較的早く、リンパ筋、肺、肝臓などに転移しやすいため、ステージⅡで、すでに5年生存率は50%ほどになります。

食道がんになりやすい方とは?

下記に該当する方は、食道がんになるリスクが高いです。

  • 喫煙習慣がある方
  • 飲酒量が多い方
  • お酒を飲むと顔が赤くなる方
  • 食生活が欧米型の方
  • 熱い・辛い飲食物を多く摂取する方

タバコや過度な飲酒は、最も食道がんのリスクを上昇させます。

また、欧米型の食生活は食道がんの要因である逆流性食道炎を引き起こし、熱すぎる・辛すぎる飲食物は、食道の粘膜細胞を傷つけてがん化させる恐れがあります

食道がんは女性より男性の方が多い?

2019年、食道がんと診断された26,382人のうち、男性は21,719人、女性は4,663人でした。男性は女性より罹患数が約4.7倍、死亡率が約4.5倍多いです。※12

年齢別の罹患数は、下記のとおりです。

40~49歳50~59歳60~69歳70~79歳
男性354人1,859人6,103人9,003人
女性187人538人1,132人1,524人
※2019年(参考:国立がん研究センター がん統計|集計表

食道がんは、男女ともに50歳代から増えはじめ、60歳代で急激に増加し、70歳代でピークを迎えます。

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まとめ

本記事では、食道がんの概要・原因をはじめ、初期および進行したときの自覚症状、食道がんの検査方法や治療方法などを解説しました。

初期の食道がんは、自覚症状がほぼありません。自覚症状があり医療機関を受診した方は、すでにステージⅢ・Ⅳまで進行している場合が多いです。

喉のつかえ感をはじめ、胸の違和感、胸・背中の痛み、咳・声のかすれ、体重減少などの症状が現れたら、軽度でも直ちに医療機関を受診しましょう

食道がんをはじめ、初期の自覚症状に乏しいがんの早期発見には、マイクロCTC検査が有効です。

マイクロCTC検査は、増殖の過程で血中に漏れ出したがん細胞を直接捕捉して、全身のがんリスクを明確にします。

症状がないうちから自身のがんリスクを把握し、がんの早期発見・早期治療につなげましょう。

〈参考サイト〉
※1:国立がん研究センター がん統計|食道がんについて
※2:日本食道学会|食道がんの疫学・現状・危険因子
※3、※4:国立がん研究センター|飲酒と食道がんの発生率との関係について
※5:徳洲会グループ|消化器外科の病気:食道がん
※6:九州大学病院 がんセンター|食道がん
※7:済生会|体重減少
※8:がん研有明病院|食道癌に対する化学放射線療法
※9:マイクロCTC検査|マイクロCTC検査と線虫がん検査(N-NOSE)の違いとは?
※10:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査
※11:公益財団法人 がん研究振興財団|がん統計2024
※12:国立がん研究センター がん統計|食道

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