食道がんになりやすい人とは?罹患する主な原因や初期症状・検査方法を解説

食道は生命維持に必要な心臓、大血管、気管、肺などの臓器や、声を出すための声帯がある喉頭に隣接していて、食べ物や飲み物を口から胃へ運ぶ重要な臓器です。

食道の健康は守りたいものですが、2019年には26,382人の方が食道がんと診断されています。※1

本記事では、食道がんの概要から、食道がんになりやすい人の特徴、食道がんの自覚症状・検査方法・治療法までを詳しく解説します

食道がんに関する正しい情報を知り、予防に役立てましょう。

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食道がんとは?

食道がんとは、食道の粘膜から発症するがんです。

食道の粘膜は4層構造であり、内側から次のように分けられます。

  • 粘膜層
  • 粘膜下層
  • 固有筋層
  • 外膜

さらに、粘膜層は粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板の3つに分類されます。食道がんは、最も内側である粘膜上皮から発症し、粘膜固有層、粘膜筋板へ浸潤します。

がんが粘膜下層内に留まっており、なおかつリンパ筋や他臓器に転移していない状態が、ステージⅠです。

粘膜固有層まで浸潤している状態はステージⅡ、外膜まで広がっている場合はステージⅢと判定されます

外膜を越えて、周囲の組織・臓器にまで広がるとステージⅣに分類され、生存率は著しく低下します。

食道がんの5年生存率

食道がんの5年生存率は41.5%です。全がん部位の5年生存率(68.9%)の6割程度であり、決して高い値とはいえません。※2※3

ステージ別の5年生存率は、下記のとおりです。

ステージⅠステージⅡステージⅢステージⅣ
5年生存率79.5%52.9%29.2%11.4%
(参考:全がん協加盟施設の生存率協同調査|全がん協生存率

ステージⅠまでは、内視鏡的切除や外科手術による切除が適応され、多くの場合、食道の温存が可能です。そのため、5年生存率は79.5%に届きます。

食道がんは、ほかのがんと比べて進行スピードが比較的早いです。ステージⅣになるとリンパ筋、肺、肝臓などへの転移がみられ、切除不能となり5年生存率は11%まで低下します。

扁平上皮がんと腺がんの違い

食道がんには、扁平上皮がんと腺がんの2つのタイプがあります。

扁平上皮がんは、日本の食道がんの約90%を占めており、食道の最も内側の粘膜組織から発症します。※4

飲酒・喫煙が主な原因です。アルコールにより体内で生成されるアセトアルデヒドは発がん性物質であり、また、タバコの煙には50種類以上の発がん性物質が含まれています。※5

そのほか、食道の粘膜が外部刺激を受けてがん化するケースも少なくありません。熱すぎる・辛すぎる飲食物の摂りすぎには、注意が必要です。

一方、欧米の半数以上を占める腺がんは、粘膜を分泌する食道腺の細胞から発症します。※6

主な原因は逆流性食道炎と、食道の粘膜が胃の粘膜に置き換わるバレット食道です。

日本の発症率は全体の7%程度ですが、近年、食生活の欧米化により腺がんは増加傾向にあります。※7

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食道がんの原因は?なりやすい人の特徴

食道がんの原因とリスクを知ることは、がんの発症予防にもつながります。また、生活習慣を見直す、よい機会にもなるでしょう。

次章では、食道がんの原因や食道がんになりやすい人の特徴を紹介します。

主な原因は飲酒・喫煙

男性の食道がんの約80%は、飲酒と喫煙が原因です。※8

飲酒は、食道がんのリスクを最大で4.6倍増加させます。リスクはアルコールの摂取量と比例しており、飲む量が多いほど増えることは確実です。※9

厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」として、1日あたりのアルコール摂取量は約20g程度に抑えるよう推奨しています。※10

酒類で換算すると、ビール中瓶1本、日本酒・焼酎1合、ワイン1杯、ウイスキー・ブランデーダブル60mlです。

節酒、あるいは禁酒をした場合、60%程度までリスクを減らすことが可能です。※11

また、喫煙も食道がんの原因です。

非喫煙者に比べて、現在喫煙している方は3.7倍、過去に喫煙していた方は3.3倍、食道がんのリスクが増加し、喫煙指数が高ければ高いほどリスクが上昇します。※12

禁煙には、食道がんのリスクを50%程度減らす効果が期待できます。

飲酒と喫煙は、互いに食道がんのリスクを高め合うことが認められているため、両方の習慣がある方は、節酒・禁酒、禁煙を考えましょう。

食道がんになりやすい人の特徴

食道がんになりやすい人は、下記のとおりです。

  • お酒をよく飲む方
  • タバコを吸う方
  • お酒で顔が赤くなる方
  • 熱い飲食物や刺激物を好む方
  • 食生活が欧米型の方

食道がんの最大の原因は、飲酒と喫煙です。とくに、お酒を飲むと顔が赤くなる方は、発がん性物質のアセトアルデヒドが蓄積しやすい体質であるため、注意が必要です。

熱すぎる・辛すぎる飲食物は、食道の粘膜を傷つけて細胞をがん化させる恐れがあります

また、欧米型の食事は、食道がんの原因である逆流性食道炎を引き起こしやすいです。

そのほか、食道アカラシアや腐食性食道炎と診断された方や、胸部への放射線治療を受けたことがある方も、食道がんになりやすいといえます。

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食道がんの自覚症状・初期症状は?

ここからは、食道がんの自覚症状を紹介します。

気になる症状がある方は、早めに医療機関を受診しましょう。

自覚症状はほぼない

多くの食道がんは、初期の自覚症状がほぼありません。

がんがある程度大きくなると、食道が狭くなり、喉や胸などに違和感が現れます

食道がんを早期発見するためには、定期的に検査を受けることが重要です。

進行すると現れる症状

食道がんは、進行すると下記の症状が現れます。

  • 胸の違和感
  • 喉のつかえ感
  • 胸・背中の痛み
  • 咳・声のかすれ

胸の奥がチクチク痛む、熱いものがしみるなどの違和感が現れるケースが多いです。

一時的に症状が消えることもありますが、胸の違和感は比較的早期の段階であるため、まずは医師に相談しましょう。

がんが大きくなり食道内が狭まると、喉のつかえ感が生じます。飲食物が飲み込みづらい、喉に異物感・違和感を感じるなどの症状がある際は、直ちに検査を受けることが重要です。

胸・背中の痛みは、食道がんが肺・背骨・大動脈に広がっているサインです。

がんが気管・気管支に転移している場合、圧迫や刺激により咳が出ることがあります。また、声帯を調整している反回神経の周囲のリンパ筋に転移すると、声がかすれる嗄声となります。

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食道がんの検査方法

食道がんが疑われる場合、胃カメラ検査、バリウム検査をおこないます。

次章では、それぞれの検査方法について詳しく解説します。

胃カメラ検査

胃カメラ検査は、鼻または口から内視鏡を挿入して、食道の粘膜を直接観察する検査です。

食道に腫瘍、隆起、狭窄などの異常があった場合、組織を採取し、生検をおこないます。

検査自体の所要時間は30分~1時間程度ですが、鎮静剤を使用した際は効果がなくなるまで休憩が必要になります

検査前日の夕食後から絶食し、当日は少量の水・お茶、スポーツドリンクのみの摂取が可能です。

症状があり、医師が必要と判断した場合は保険が適用されますが、無症状かつ任意で検査を受ける場合は実費で、費用は15,000~25,000円程度です。※13

バリウム検査

バリウム検査とは、バリウム(造影剤)を服用し、食道を通過する過程をX線で撮影する検査です。がんの有無・大きさ・深さ、食道内腔の狭さなどを確認します。

食道から胃、十二指腸などの広い範囲が観察できますが、小さいがんや凹凸がないがんの発見には向いていません

検査時の苦痛は少なく、10分程度で終了します。胃を空の状態にするため、前日の夕食後から絶食し、検査の1時間前からは水も控える必要があります。

検査費用は、自治体の胃がん検診のバリウム検査は無料~2,000円、保険適用で3,000~5,000円、実費の場合は10,000~15,000円程度です。※14

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食道がんの治療法

食道がんは、ステージや体の状態、患者の希望を考慮したうえで治療法を決定します。

代表的な治療法は3つです。

  • 内視鏡的治療
  • 外科手術
  • 化学療法・放射線治療

必要に応じて、複数の治療法を組み合わせる「集学中的治療」をおこないます。次章では、各治療法の特徴や、対象となる進行度を詳しく解説します。

内視鏡的治療

内視鏡的治療は、内視鏡でがんのみを切除する方法です。開腹せずに短時間でがんを切除できるため、身体的な負担が抑えられます。

下記に該当する場合、内視鏡的治療の適応が可能です。

  • がんが粘膜下層までに留まっている
  • リンパ筋に転移していない

切除法には、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」と「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」があります。

「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」は、内視鏡の先端に取り付けた、輪状の細いワイヤー(スネア)で病変を絞めて、高周波電流を流して切除する手法です。

2cm未満のがんと、直径5mm以下の線種が対象です。

一方、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」は、内視鏡の先端から電気メスを出し、病変の周辺粘膜を切開したうえで、はぎ取るように切除します。

大きながんでも正確に切除できる点が強みです。

外科手術

一般的に、外科手術はがんの切除術と再建術をおこないます。

がんの病巣と、頸部・胸部・腹部の3部位のリンパ節を同時に切除し、胃を頸部まで持ち上げて代わりの食道をつくる「リンパ節郭清(かくせい)」が、標準治療です。

必要に応じて、手術の前後に化学療法(抗がん剤)を併用する場合もあります。

外科手術は、がんが発症している部分と進行度により内容が異なりますが、頸部食道がんは咽頭・喉頭の切除が必要です。

手術後は、呼吸のために気管と頸部の皮膚を縫合して永久気管孔をつくります。また、声が出せなくなるため、発声法の習得や電気式人工喉頭によるリハビリテーションをおこないます。

化学療法・放射線治療

食道がんには、化学療法と放射線治療を同時におこなうことが効果的です。

化学療法とは、がん細胞を小さくする抗がん剤や、免疫を活性化させてがんを抑える抗がん剤を、単独または組み合わせて投与し、全身のがん細胞に作用させる治療法です。

根治を目指す集学的治療におこなう場合と、切除不能なケースや再発した食道がんにおこなう場合があり、主に下記の場面で用いられます。

  • ステージⅠ~Ⅲに対する、根治的化学療法
  • ステージⅡ・Ⅲに対する、術前化学療法
  • ステージⅡ・Ⅲに対する、術後化学療法
  • ステージⅣに対する化学療法

放射線治療は、手術と同様にがんのある部分に対してX線を照射し、がんを小さくする治療法です。食道や胃、咽頭・喉頭の機能を温存させることが可能です。

がんが放射線を照射できる範囲に留まっている場合、がんの消失を目指した根治照射をおこないます。

一方、がんが広範囲に広がり、手術や根治照射が難しい場合は、がんによる症状を和らげる緩和照射を検討します。

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がんの早期発見にはマイクロCTC検査がおすすめ

マイクロCTC検査は、食道がんをはじめ、全身のがんリスクが早期に判明する血液検査です。

従来の検査方法で発見が難しい部位のがんや、小さいサイズのがんの早期発見に役立ちます

ここからは、マイクロCTC検査の概要と検査の流れ・費用を解説します。

早期発見が重要な理由

多くのがんは、ステージ0・Ⅰで発見された場合、5年生存率が80~90%を超えます。※15

一方、ステージⅣまで進行すると、5年生存率が10%に満たないケースが少なくありません。命を守るためには、がんの早期発見が非常に重要です。

また、がんの早期発見には下記のメリットもあります。

  • 身体的負担が軽い治療を受けられる
  • 治療費・入院費の負担が軽減される
  • もとの日常生活に戻れる
  • がんの再発リスクを減らせる

しかし、がんの発見に有効ながん検診や人間ドックを定期的に受診しても、がんの発症部位や大きさにより、早期に見つからない場合があります。

無症状かつ従来の検査では発見が難しいがんのリスクは、マイクロCTC検査で明確になります。

1回の採血のみで全身のがんリスクを検査

マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクが明確になる血液検査です。

がん細胞は、周囲の血管から酸素や栄養素を得るために独自の血管新生をつくり、その過程で血中に漏れ出すことがわかっています

マイクロCTC検査は、特異度94.45%と非常に高い精度のCSV抗体を導入しており、血中に漏れ出したがん細胞を直接捉えて、個数を明示します。16

がんの場所・サイズにかかわらず、全身のがんリスクが把握できるため、がんの早期発見に有効です。

短時間で納得感が得られるがんのリスク検査を受けたい方は、マイクロCTC検査がおすすめです。

検査の流れ・費用

マイクロCTC検査の流れは、下記のとおりです。

  • クリニック予約
  • 来院・検査
  • 検査結果の確認

マイクロCTC検査は、全国の提携クリニックで検査が可能です。公式サイトからクリニックを選び、検査の希望日時を予約しましょう。はじめての方は会員登録が必要です。

検査当日は、予約時間の10分前に来院し、受付を済ませましょう。採血終了後はすぐに帰宅でき、検査結果は1~2週間でマイページから確認できます。

検査でがん細胞が検出された方は、無料相談を受けられます。遠方の方は、オンライン面談を選択しましょう。カルテ作成料として初診料3,300円(税込)がかかります。

マイクロCTC検査の費用は、1回198,000円(税込)です。17

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食道がんに関するよくある質問

最後に、食道がんに関するよくある質問を紹介します。

  • 食道がんの再発率
  • 食道がんを予防する方法
  • 食道がんになりやすい性別

同じような疑問を抱いている方は、ぜひ参考にしてみてください。

食道がんの再発率は?

食道がんの手術後の再発率は、30~50%です。リンパ筋や局所再発が20~70%、遠隔臓器転移が10~50%で、両部位への再発も7~27%みられます。※18

食道がんの再発の80%以上は、手術後2年以内にみられ、初回の治療から1年以内に発見されるケースが多いです。※19※20

そのため、手術後は定期的にCT検査をおこない、再発の早期発見を目指します。

食道がんを予防する方法は?

食道がんの予防には、下記が有効です。

  • 禁煙
  • 飲酒量の調整
  • 野菜・果物の摂取
  • 適度な運動
  • 適正体重の維持

食道がんの予防は原因である喫煙と大量のアルコール摂取を控えることが、非常に重要です。

また、野菜や果物は、食道がんのリスクを低下させることがわかっています。野菜・果物の合計摂取量が1日あたり100g増加すると、食道がんのリスクは10%低下します。※21

そのほか、適度な運動や適正体重の維持は、食道がんのみならず、すべてのがんの予防に効果的です。

生活習慣を見直して、食道がんを予防しましょう。

食道がんは女性より男性の方がなりやすい?

下記は、男女別の生涯の罹患リスクです。

罹患リスク何人に1人か
男性2.3%43人
女性0.5%192人
※2020年(参考:国立がん研究センター がん統計|最新がん統計

食道がんは、女性より男性が罹患しやすく、男女比は5~6:1です。※22

2019年に食道がんと診断された方は26,382人で、そのうち男性は21,719人、女性4,663人です。圧倒的に男性の方が食道がんになりやすいといえます。23

年齢別の罹患数は、下記のとおりです。

40~49歳50~59歳60~69歳70~79歳
男性354人1,859人6,103人9,003人
女性187人538人1,132人1,524人
※2019年(参考:国立がん研究センター がん統計|集計表

70歳代の男性が最も罹患数が多く、一方、男女ともに50歳代未満が少ないことがわかります。

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まとめ

本記事では、食道がんの概要をはじめ、原因や自覚症状、検査方法・治療法などを解説しました。

食道がんの最大の原因は、飲酒・喫煙です。そのため、お酒の摂取量が多い方やタバコを吸う方は、食道がんになりやすいといえます。

また、熱い飲食物や刺激物、欧米型の食生活も食道がんのリスクを増加させます。生活習慣を見直して食道がんを予防しましょう。

初期の自覚症状が乏しい食道がんの早期発見には、マイクロCTC検査がおすすめです。

従来の検査では発見が難しい部位・サイズのがん細胞の検出が可能です。

1回5分の採血のみで全身のがんリスクが明確になるため、スピーディーかつ正確性に優れたスクリーニング検査を受けたい方は、マイクロCTC検査を活用しましょう。

〈参考サイト〉
※1、※2、※23:国立がん研究センター がん統計|食道
※3:国立がん研究センター|全がん協加盟がん専門診療施設の5年生存率、10年生存率
※4:国立がん研究センター がん統計|食道がんについて
※5:ファイザー|すぐ禁煙.jp タバコの健康被害
※6:がん研有明病院 がんに関する情報|食道がん
※7:日本消化器内視鏡学会雑誌|胃食道逆流症と食道腺癌:最近の動向
※8、※11:愛知県がんセンター がん予防研究分野|飲酒・喫煙と食道がんの予防
※9、※12:国立がん研究センター|飲酒と食道がんの発生率との関係について
※10:厚生労働省|アルコール
※13:セントラルメディカルクラブ世田谷|人間ドックの胃カメラでわかることとは?費用、時間、前日の注意点について
※14:マイシグナル|食道がんの検査方法と費用とは?バリウム・内視鏡、他
※15:全がん協加盟施設の生存率協同調査|全がん協生存率
※16、※17:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査
※18、※20:虎の門病院 食道がん治療センター|再発率・生存率 
※19:日本食道学会|食道がん治療後の経過観察
※21:国立がん研究センター|野菜・果物摂取と扁平上皮細胞由来食道がんとの関連について
※22:日本食道学会|食道がんの疫学・現状・危険因子

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