膀胱がんは、切除しても再発・転移するケースが少なくありません。
治療したはずのがんが再び見つかることは、大きなショックとなり、不安を抱く方も多いでしょう。
近年では、再発・転移に対するさまざまな治療法があるため、まずは膀胱がんについての知識を深めましょう。
本記事では、膀胱がんの再発・転移の概要やリスク、再発や転移した場合の症状やステージ別の治療法を詳しく解説します。
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膀胱がんの再発・転移とは?

膀胱がんはほかのがんと比べて再発率が高いため、治療後も最低5年間は定期的に検査を受けることが重要です。
また、膀胱がんは骨盤のリンパ節に最も転移しやすく、がんが筋層にまで及んでいる場合は肺・腎臓・骨・腎臓・脳などへの転移も起こります。
さまざまな臓器にがんが転移すると治療の難易度は高くなり、生存率も低下するため、早期に適切な治療が必要です。
はじめに、膀胱がんの再発・転移について詳しく解説します。
膀胱内に再びがんが発生する局所再発
局所再発とは、最初にがんが発生した部位や周辺でがんが再発した状態をいいます。
ステージ0~1期の非浸潤性膀胱がんは、初回治療後30~70%の割合で膀胱内に何度も局所再発が起こることが特徴です。※1
また、再発を繰り返すうちに、約20%は浸潤性膀胱がんへ移行するといわれています。※2
浸潤性膀胱がんでは、膀胱全摘除術後2~3年以内に尿路や骨盤など、膀胱が存在した場所の周辺に再発するケースが少なくありません。
膀胱を摘出した後は、定期的に経過観察をおこない、必要に応じて術後の薬物療法を取り入れて再発を防ぎます。
別の臓器・器官にがんが発生する遠隔転移
膀胱がんは、進行すると血管やリンパ管を通じて、別の臓器・器官に広がる遠隔転移が起こります。
がん細胞が全身のあらゆる場所に広がっている状態はステージ4に該当し、手術の適応外です。
がんの進行を遅らせる、あるいは症状の緩和を目指す目的で、薬物療法や放射線治療がおこなわれます。
膀胱がんは再発・転移のリスクが高い?

膀胱がんは、ほかのがんと比べて再発・転移のリスクが高い傾向にあります。
次章では、膀胱がんの再発率と転移しやすい場所を紹介します。膀胱がんの治療中・治療後の方はもちろん、これから治療を受ける方もぜひ参考にしてください。
膀胱がんの再発率は高い
膀胱がんは尿中に混入して残存しやすいことから、手術で完全に取り除けず再発を繰り返すケースが少なくありません。
非浸潤性膀胱がんの初期治療である尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)は、小さいがんや平坦ながんを見落とす場合もあり、36~86%でがんの残存が認められました。※3
そのため、術後は下記の再発予防が必要です。
- 抗がん剤またはBCG(ウシ型弱毒結核菌)による膀胱内注入療法
- 3か月ごとの膀胱鏡検査・尿細胞診の受診
- 必要に応じて2回目の尿道的膀胱腫瘍切除術の実施
非浸潤性膀胱がんの低リスク群は、5年間再発がなければその後も再発する可能性は低いとされていますが、中・高リスク群の場合、10年以降の再発もあり得ます。※4
転移しやすい場所
膀胱がんは、次の部位に転移しやすいです。
- リンパ節
- 肝臓
- 肺
- 骨
膀胱がんが最も転移しやすい部位は、リンパ節です。転移の78%にも及び、とくに、膀胱の近くにある骨盤内のリンパ節(閉鎖節・外腸骨節など)に好発します。※5
次いで、肝臓(39%)・ 肺(38%)・ 骨(28%)です。脳へ転移するケースもありますが、割合は0. 6~1%程度です。※6
膀胱がんの再発・転移による症状

ここからは、膀胱がんの再発・転移が疑われる症状について解説します。
気になる症状がある場合は、速やかに泌尿器科を受診しましょう。
再発した場合の症状
膀胱がんが再発すると、次のような症状が現れます。
- 尿に血が混じる
- 排尿の回数が増える
- 排尿時の痛み
- 排尿後、まだ尿が残っていると感じる
- 突然、我慢できないほどの尿意に襲われる
血尿は膀胱がんの発症や再発したときに多く現れる自覚症状の一つです。
しかし、痛みやほかの異常がみられない無症候性血尿の場合が多く、しばらくすると症状が消えることもあります。
また、頻尿や排尿痛、残尿感、尿意切迫感も再発時に起こる代表的な症状です。
そのほか、全身症状として食欲不振、体重減少、倦怠感、発熱などが伴うケースも少なくありません。
転移した場合の症状
膀胱がんの転移に伴う症状は、下記のとおりです。
- リンパ節の腫れ・しこり
- 腹部の痛み・膨満感
- 黄疸
- 咳・血痰
- 呼吸困難
- 腰・背中・骨盤などの痛み
膀胱がんがリンパ節に転移すると、リンパが腫れてしこりが生じます。太ももの付け根や首、わきなど、体の表面近くのリンパ節の場合は自身でしこりが確認できます。
しかし、多くの場合、痛みは伴いません。
腹部の痛み・膨満感や黄疸は、膀胱がんが肝臓に転移した際、肝機能低下に伴い起こる症状です。
そして、肺転移では、咳や胸痛が生じて痰に血液が混じることがあり、息苦しさ・息切れがみられます。
膀胱がんが骨に転移し、神経が多く存在する骨膜がダメージを受けると腰・背中・骨盤などに痛みが現れ、骨がもろくなり骨折するケースも少なくありません。
再発・転移した膀胱がんの治療方法

再発・転移した膀胱がんの治療方法は、ステージ(病期)をもとに、初回治療や再発時期なども考慮したうえで選択します。
膀胱がんのステージは、TNM分類を用いて下記に分類されます。
ステージ | 種類 | T | N | M |
---|---|---|---|---|
0 | 非浸潤性膀胱がん | Ta、Tis | リンパ節転移なし | 遠隔転移なし |
1 | T1 | |||
2 | 浸潤性膀胱がん | T2a、T2b | ||
3 | T3a、T3b、T4a | |||
T1~T4a | 1個のリンパ節転移 | |||
複数のリンパ節や、総腸骨リンパ節転移あり | ||||
4 | T4b | リンパ節転移の有無に関係なく | ||
Tに関係なく | 遠隔転移あり |
次章では、膀胱がんが再発・転移した場合のステージ別の治療方法を紹介します。
ステージ0~1
ステージ0~1に該当する非浸潤性膀胱がんの治療には、がんの数・大きさ・深達度・異型度や、CIS(上皮内がん)の併発の有無で評価した、下記のリスク分類が重要です。
分類 | 定義 |
---|---|
低リスク群 | 膀胱内のがんの数は1個・初発でがんの大きさは3cm未満・がんは粘膜上肢内に留まっている(Ta)・低異型度・CISの併発なし |
中リスク群 | 低リスク・高リスク以外 |
高リスク群 | 上皮下結合組織に及ぶがん(T1)・高異型度・CISの併発あり |
超高リスク群 | 高リスク群のうち、下記に当てはまるもの 膀胱または前立腺部尿道のCIS併発膀胱内に複数のがんがある、再発またはがんの大きさが3cm以上通常の尿路上皮がんとは異なる形や性質を示す、またはリンパ管もしくは静脈にがんが浸潤した状態 BCG膀注療法でも消失しない高異型度腫瘍、もしくはBCG治療後12か月以内の筋層非浸潤性膀胱がん・CISの再発 |
低・中リスク群の再発には、二次治療として再び経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を実施し、BCG(ウシ型弱毒結核菌)を膀胱内に注入します。
高リスク群の場合、再発までの期間が1年以上経っている際はBCGによる膀胱内注入療法の再導入が推奨されていますが、さらに再発リスクが高いケースでは膀胱全摘術を検討します。
ステージ2~3
ステージ2・3の初回治療で経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)と膀胱内注入療法をおこなった後に再発した場合は、初回と同様の治療、もしくは膀胱全摘術を選択します。
すでに、膀胱全摘術と術後補助化学療法の実施後の再発においての標準治療は、全身薬物療法です。
全身薬物療法では、ゲムシタビンとシスプラチンの併用によるGC療法が推奨されています。
1日目にゲムシタビン、2日目にシスプラチン、8日目・15日目にゲムシタビンを投与して1週間休薬するスケジュールを計2~4コース継続します。
ステージ4
ステージ4の標準治療であるプラチナ製剤併用化学療法後に再発した場合や、術前・術後補助化学療法の治療後12か月以内の再発には、免疫チェックポイント阻害薬が有用です。
免疫チェックポイント阻害薬として、がんを攻撃する免疫細胞を活性化させる抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)を3週間または6週間の間隔で点滴投与します。
がん細胞の増殖を抑制して症状を和らげるために、放射線治療を併用するケースもあります。
膀胱がんの再発・転移が不安な方にマイクロCTC検査がおすすめ

マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクを判定する画期的な検査です。
血中に漏れ出したがん細胞を1個単位で検出するため、膀胱がんの発症はもちろん、再発・転移の早期発見に役立ちます。
ここからは、マイクロCTC検査の特徴を詳しく紹介します。
マイクロCTC検査の特徴
マイクロCTC検査には、下記の特徴があります。
- 検査は1回5分の採血のみ
- 事前の準備は不要
- 高精度・高品質を実現
- 予約から結果確認までWebで完結
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかる血液検査です。
全身を調べるために複数の検査を受ける必要や、事前の食事制限、検査薬の投薬などが一切ないことから、忙しい方でも気軽に受けられるでしょう。
また、がん細胞の検出においては、特異度94.45%と非常に高い精度を実現しており、国内の検査センターにて迅速な検査体制を整えて高品質を維持しています。※7
そのほか、クリニック検索から検査予約、問診票の入力や支払い、検査結果の確認まで、24時間365日Webでおこなえます。
手間をかけずに納得の検査結果が得られるマイクロCTC検査を定期的に活用し、がんの発症・再発・転移の早期発見を目指しましょう。
早期発見・早期治療が大切
がんの早期発見・早期治療には、次のメリットがあります。
- 治癒率・生存率が上がる
- 治療の選択肢が増える
- 負担が軽減する
がんの早期発見・早期治療の最大のメリットは、治癒率が向上してがんから命を守れることです。
がんを早い段階で発見して適切な治療をおこなった場合、100%近くは完治が可能です。※8
また、内視鏡術や腹腔鏡術など、比較的体の負担が軽く、入院期間の短縮や日常生活への早期復帰が可能な治療が受けられるメリットがあります。
一方、発見が遅れるほど治療における身体的・精神的な負担が大きくなり、根治する確率や生存率は低下します。
がんは、発生してから1cmの大きさに成長するまで10~15年ほどの長い時間がかかりますが、1cmから2cmになるまでは1年半程度です。※9
早期がんのうちに発見できる時間は1~2年であるため、定期的に自身の体と向き合い、検査を受けることが重要です。
料金・クリニック概要
マイクロCTC検査の料金・概要は、下記のとおりです。
- 料金:1回198,000円(税込)※10
- 受診場所:全国の提携クリニック
- 予約方法:公式サイト(24時間365日)
- 検査結果:1週間~10日程度
- アフターフォロー:医師による無料相談
マイクロCTC検査は、1回5分で全身のがんリスクが明確になるため、人間ドックの全身がん検査より費用が安く、経済的な負担の軽減にもつながります。※11
そして、全国の提携クリニックで導入していることから、居住地や勤務先など都合のよいエリアでの受診が可能です。
検査結果は、1週間~10日程度でマイページからいつでも確認できます。
そのほか、アフターフォローが充実している点もマイクロCTC検査の魅力の一つです。
万が一、がん細胞が検出された場合、マイクロCTC検査センター長、および代々木ウィルクリニックの太田医師による無料相談が受けられます。
無料相談は基本的に対面ですが、遠方の場合はオンライン面談ができ、検査結果の詳細をはじめ、精密検査や医療機関、専門医の紹介などに対応しています。
膀胱がんの再発に関するよくある質問

最後に、膀胱がんの再発に関するよくある質問を紹介します。
同じ疑問を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。
膀胱がんは何度も再発する?
膀胱がんは、何度も再発するケースが少なくありません。
また、再発の回数と再発率は深く関係していることがわかっています。
初回の再発率55.8%に対して、2回目は72.4%、3回目は63.2%、4回目は72.6%と、再発の回数が増えるほど再発率が高くなる傾向があります。※12
再発を繰り返す場合、再発予防治療やTURBTによる再切除、膀胱全摘除術が必要です。
しかし、膀胱全摘除術後も尿管や腎盂に再発する可能性はあるため、定期的な経過観察が重要です。
再発した場合の余命は?
膀胱がんが再発した場合の余命は、がんのステージや再発した場所などにより大きく異なります。下記は、膀胱がんのステージ別5年生存率です。
ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 | |
---|---|---|---|---|
5年生存率 | 70.8% | 47.1% | 34.2% | 16.7% |
がんが膀胱内に再発し、なおかつ膀胱粘膜に留まっている、または筋肉層に浸潤していない状態であればステージ1に該当します。
5年生存率は70%をキープしており、さまざまな再発治療が受けられます。
一方で、膀胱以外の臓器に再発・転移した場合は、ステージ4です。根治は難しく、がんの進行を遅らせたり、症状を緩和させたりと、生存期間を延ばす治療をおこないます。
再発を予防する方法は?
膀胱がんの再発予防には、下記が効果的です。
- 禁煙
- 食生活の改善
- 適度な運動
- 定期的な検査
タバコの煙には、複数の発がん性物質が含まれており、膀胱がんのリスクを2~4倍増加させることがわかっています。※13
また、10年以上禁煙した場合、再発のリスクは半減するといわれています。タバコがやめられない方は、禁煙外来に相談しましょう。※14
バランスのよい食事や適度な運動は、膀胱がんの再発予防に不可欠な免疫力の向上につながります。
そして、尿細胞診、膀胱鏡検査などを定期的に受けて、経過観察を怠らないことが重要です。
まとめ

本記事では、膀胱がんの再発・転移のリスクや主な症状、ステージ別の治療法を中心に解説しました。
膀胱がんは、膀胱内に何度も再発する局所再発や、リンパ節、肝臓、肺、骨などへの遠隔転移が起こりやすいがんです。
再発率は初回治療後で30~70%と高く、再発を繰り返すうちに浸潤性膀胱がんへ移行する可能性もあります。
再発時の主な症状は、血尿、頻尿、排尿痛などで、転移先によってリンパ節の腫れ、腹痛、咳、骨の痛みなどが現れます。
症状が現れない初期の段階から、膀胱がんをはじめとする全身のがんリスクを知りたい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査は、血中のがん細胞そのものを1個単位で捉えるため、膀胱がんの発症・再発・転移の早期発見に役立ちます。
〈参考サイト〉
※1:日本泌尿器科学会|膀胱癌 診療ガイドライン2019年版
※2:医療法人社団實理会 東京国際大堀病院|膀胱がんの治療について
※3、※4:日本癌治療学会|膀胱がん がん診療ガイドライン
※5、※6:日泌尿会誌|癌性髄膜炎をきたした膀胱尿管癌(尿路上皮癌)の1例
※7、10:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査
※8:がん対策推進企業アクション|がん検診のススメ 早期に見つけるメリット
※9:がん対策推進企業アクション|がん検診のススメ 早期がんを発見できる時間
※11:医療クラブセントラルメディカルクラブ世田谷 全身のがん検査ができるPET-CTとは?メリットや検査費用など解説
※12:新潟県立がんセンター新潟病院|がん・疾患情報サービス 泌尿器がん: 膀胱がん
※13:国立がん研究センター がん対策研究所|喫煙、コーヒー、緑茶、カフェイン摂取と膀胱がん発生率との関係について
※14:国立がん研究センター がん対策研究所|日本人における喫煙・禁煙と膀胱がん罹患リスク