乳がん検診は20代でも必要?検査方法とメリット・デメリットも解説

国立がん研究センターの院内がん登録2021年全国集計では、乳がんは女性がかかるがんの中で最も多いとされています。

乳がんの発症率は20代以降上昇しますが、早期発見により死亡率が著しく低下します。そのため20代から乳がんのリスクを正しく理解し、定期検診を受けることが重要です。

そこで本記事では、20代から乳がんの検診が必要である理由や検査方法を解説します。

検査方法やセルフチェックについてのメリットやデメリットもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

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20代でも乳がんは起こりうる

がんは、小さな子どもから高齢の方まで発症する可能性がある病気です。

とくに女性の乳がん発症率は数あるがんの中でも多く、20代の方にも発症のリスクがあります

ここでは乳がんの原因やリスクについて、次のポイントで解説します。

  • 20代以降に乳がんが発症する確率
  • 乳がんの原因
  • 乳がんリスクが高い方の特徴

それぞれの事項を確認し、乳がんに関する知識を身に付けましょう。

20代以降に乳がんが発症する確率

国立がん研究センターによる2019年の年齢階級別罹患率では、乳がんの発症確率は70代前半まで増加傾向にあります。

20代の発症率は高くないものの30代になると急増し、40代後半では非常に多くの方が発症しています。70代後半から発症率は下がりますが、40代の頃と確率は変わりません※1

20代から定期的に乳がん検診を受け、とくにリスクの高くなる40代以降に向けて備えることが重要です。

乳がんの原因

乳がんの主な原因は遺伝とされていますが、喫煙や飲酒、食生活や出産の有無までさまざまなものがあります

乳がんの代表的な原因として、次のものが考えられています※2

乳がんの代表的な原因

  • エストロゲン(女性ホルモン)が多い
  • エストロゲンを含む経口避妊薬の使用
  • 閉経後に長期のホルモン補充療法
  • 初経年齢が低い
  • 閉経年齢が高い
  • 出産経験がない
  • 初産年齢が高い
  • 授乳経験がない

20代の乳がん発症率は少ないものの、原因を見ると十分可能性がある病気といえます。

とくに避妊を目的として、エストロゲンを含む薬を使用する方は20代でも少なくありません。薬を服用する際は、がんにつながるリスクについて医師から説明を受けましょう。

乳がんリスクが高い方の特徴

乳がんリスクが高い方の特徴として、次のものが挙げられます※2

乳がんリスクが高い方の特徴

  • 自身の親または子どもで乳がんになった方がいる
  • お酒を飲む方
  • 閉経後の肥満
  • 運動不足の方

遺伝に関しては予防できないため、定期的に検診を受けることで早期発見につなげましょう。早期発見できれば適切な治療が受けられるため、場合により投薬治療も可能です。

飲酒や肥満、運動不足については日頃の生活を見直すことで改善できる可能性もあります。健康的な生活を心がけ、乳がんのリスクを抑えましょう。

20代でも乳がん検診を受けた方がよい方

20代でも乳がん検診を受けた方がよい方は、次のような方です。

  • 家族や近親者に乳がんや卵巣がんになった方がいる方
  • 自覚症状がある方

上記に当てはまる方は乳がんの発症率が高く、すでに発症している可能性もあります。

発症率の低い20代でも、検診を受けた方がよいでしょう。

家族や近親者に乳がんや卵巣がんになった方がいる方

家族や近親者に乳がんや卵巣がんになった方がいる場合、積極的に乳がん検診を受けましょう。

乳がんの遺伝的な原因は、BRCA1、BRCA2と呼ばれる遺伝子の変異によるものです※2。変異により必ず発症するわけではありませんが、リスクは高いといえます。

また卵巣がんも乳がんと同じ遺伝子の変異により発症するため、卵巣がんになった方がいる場合も乳がん検診を受けましょう※3

▼関連記事:がんは遺伝するの?遺伝しやすいがんや検査方法・予防方法を解説!

自覚症状がある方

乳がんはセルフチェックでも確認できる場合があります。

セルフチェックでわかる症状は次のとおりです※2

乳がんのセルフチェックで確認できること

  • 乳房にえくぼがある
  • 乳房にただれがある
  • 乳房の形が左右で異なる
  • 乳頭から分泌物がある
  • 乳房からわきの下にしこりがある

入浴や着替えの際などに日頃からセルフチェックをおこなえば、早期発見にもつながります

上記に当てはまる方は、すぐに乳がん検診を受けてみてください。

ただし自覚症状があまりない場合もあるため、上記に当てはまらなくても検診は定期的に受けましょう。

20代におすすめの乳房超音波検査について

20代におすすめの乳がん検査は、乳房超音波検査です。

ここでは乳房超音波検査を次のような事項に分けて、詳しく解説します。

  • 乳房超音波検査とは
  • 乳房超音波検査(エコー検査)の方法
  • 20代で超音波検査を受けるメリット
  • 20代で超音波検査を受けるデメリット

20代で受けるメリットやデメリットもあわせて解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

乳房超音波検査とは

乳房超音波検査とは乳房内の病変の有無やしこりの性状、大きさなどを超音波の反射により判断できる検査です。

乳房専用のX線検査であるマンモグラフィ検査とは異なり、乳房を圧迫せずに検査できます。

また高濃度乳房とされる場合では、マンモグラフィよりも超音波検査の方が乳がんの発見に役立つこともあります

さらに被ばくの心配がないことから、妊娠中の方でも受けられます※4

乳房超音波検査(エコー検査)の方法

乳房超音波検査は体の表面に超音波プローブと呼ばれる機器を当て、体内から反射される超音波を画像として写し出す方法です※5

エコー検査とも呼ばれており、痛みがなく体への負担が少ない検査方法です

また必要に応じて横向きになったり息を止めたりしなければいけない場合もあるため、医師の指示に従いましょう。

20代で超音波検査を受けるメリット

20代で超音波検査を受けるメリットは、次のとおりです。

20代で超音波検査を受けるメリット

  • しこりの良性、悪性が判断できる
  • 痛みがない
  • 被ばくの心配がない
  • 早期発見につながる

20代のときから乳がん検査を受ければ、発症のピーク前に徹底した準備ができます。

また超音波検査は発達した乳房に適しているため、バストのサイズが大きい20代の方にもおすすめです。

痛みや被ばくの心配がない点も、初めて乳がん検査を受ける20代の方に超音波検査が向いている理由です

20代で超音波検査を受けるデメリット

超音波検査では、石灰化の形状や範囲が判別できない可能性があります

石灰化の多くはカルシウム由来の良性のものですが、がんに伴い発生する場合もあります。そのため検査による見落としは非常に危険といえるでしょう。

乳がんのリスクをさらに減らすには、超音波検査のみではなくマンモグラフィ検査も受けることが重要です。

関連記事

20代でも受けられるマンモグラフィ検査の特徴

マンモグラフィ検査の特徴は、次のとおりです。

  • マンモグラフィ検査とは
  • マンモグラフィ検査(X線検査)の方法
  • 20代でマンモグラフィ検査を受けるメリット
  • 20代でマンモグラフィ検査を受けるデメリット

超音波検査と同様、マンモグラフィ検査にもメリットとデメリットがあるため、それぞれみていきます。

マンモグラフィ検査とは

マンモグラフィ検査とは、乳房内の病原体の位置や拡散状態を確認するために用いられる乳房専用のX線検査です

視診や触診では判断できない小さい病変や微細な石灰化なども発見できるため、より正確にチェックできるといえるでしょう。

ただし乳腺の密度が高い高密度乳房の場合、マンモグラフィ検査は不向きです※4

マンモグラフィ検査(X線検査)の方法

マンモグラフィ検査では2枚の板で上下から乳房を挟み、薄く伸ばして撮影します。薄く伸ばすことで乳腺の重なりを少なくできるため、病変を発見しやすくなります。

マンモグラフィ検査での撮影は数秒ほどで済みますが、乳房を圧迫した際に痛みを伴う場合もあります。とくに乳腺が張っている方、乳腺が硬い方であれば痛みを強く感じることもあります※4

20代でマンモグラフィ検査を受けるメリット

20代でマンモグラフィ検査を受けるメリットは、次のとおりです。

20代でマンモグラフィ検査を受けるメリット

  • 乳がんを早期発見できる
  • 視診や触診ではわからない微細な病変が発見できる
  • 乳房の良性疾患が診断できる

マンモグラフィ検査ではより高い確率で乳がんを発見できるため、早期発見に効果的です。さらにマンモグラフィ検査では、乳がん以外に乳腺症や線維腺腫なども発見できます。

20代では乳がんの発症率は低いものの、乳房にはあらゆる疾患があります。

20代からマンモグラフィ検査を受けると乳がん以外の疾患も早期発見できるため、適切な治療につながるでしょう。

20代でマンモグラフィ検査を受けるデメリット

20代でマンモグラフィ検査を受けるデメリットには、次のものがあります。

20代でマンモグラフィ検査を受けるデメリット

  • 検査で痛みを伴う可能性がある
  • 被ばくする

マンモグラフィ検査では乳房を挟むため、痛みにつながるケースもあります。

また非常に微量ですが放射線を受けるため、被ばくの可能性があります。

とくに胎児は放射線の影響を受けやすいため、妊娠中の方は検査の前に医師に相談しましょう

20代からはじめるべきセルフチェック

乳がん予防ではセルフチェックも重要です。

20代からできるセルフチェックには、次のものがあります。

  • セルフチェック(自己検診)の方法
  • セルフチェックのメリット
  • セルフチェックのデメリット

入浴や着替えの際にセルフチェックする習慣をつけておきましょう。

セルフチェック(自己検診)の方法

乳がんのセルフチェック方法として、おすすめなのは次のとおりです※6

セルフチェック方法やり方チェックポイント
鏡の前でチェック両腕の力を抜いた自然な状態を見る両腕を上げて、普段の乳房と変化がないか確認する左右の乳房の形や大きさ、色の変化を確認する皮膚にひきつれやへこみがないか確認する乳首が陥没したり、ただれたりしていないか確認する
感触チェック右腕を上げる左手の人差し指、中指、薬指の3本で乳房を右から左でなぞる乳房の外側から乳頭に向かい、円を描くようになぞる左も同じように繰り返すしこりがないか確認する力を入れすぎないように注意する
分泌物をチェック左右の乳首を軽くつまむ分泌物が出ないか確認する血が滲む場合や、透明な液が出る場合は乳がん検診を受ける
わきの下チェックわきから乳房に向かい、なぞるしこりがないか確認する
横になるチェック程よい高さの枕やタオルを用意する乳房の位置にタオルや枕がくるようにして、仰向けになる軽く反った状態で乳房の下をまんべんなくなぞるしこりがないか確認する

セルフチェックを習慣づけておけば、検診に行けない時期でも乳がんを早期に発見できる可能性が高まります。

異変にいち早く気づくため、日頃からセルフチェックをしましょう

セルフチェックのメリット

セルフチェックのメリットは、乳がんを早期発見できる点にあります。

日頃から意識しておけば自身の乳房の形や大きさを把握できるため、異変があればすぐに判断できます

乳がんにおいて、見た目や感触による判断は非常に大切です。将来に向けて、早い段階からセルフチェックの習慣を身につけておきましょう。

セルフチェックのデメリット

乳房について意識しすぎると、形が変化しているように感じたり、しこりがあるように感じたりする場合があります。

過剰な心配がストレスになるケースもあるため、毎日ではなく回数を決めて定期的にチェックするよう心がけましょう。

また月経中は乳腺が張りやすいため、セルフチェックで痛みが出る場合もあります。セルフチェックは月経後1週間~10日の間を目安におこないましょう

20代の乳がん検診に関してのよくある質問

ここからは20代の乳がん検診に関する、よくある質問に回答します。

  • 乳がん検診はどこで受けられますか?
  • 妊娠中・授乳中ですが乳がん検診を受けられますか?
  • 卒乳後どのくらいでマンモグラフィ検査を受けられますか?
  • 生理前ですが乳がん検診は受けられますか?

乳がん検診が受けられる施設についてもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

乳がん検診はどこで受けられますか?

40代以上であれば自治体から案内のはがきが自宅に届くため、記載の施設で受けましょう。20代の場合、近隣の婦人科で相談して検診を受けてみてください。

乳腺専門の診療科目を設けている施設もあるため、まずは近くの施設に問い合わせてみましょう。施設を選ぶ際は、必ずマンモグラフィ検査ができる場所を選ぶことが重要です

乳房超音波検査でも乳がんは発見できますが、マンモグラフィ検査のほうがより正確です。

マンモグラフィ検査で乳がんの早期発見を目指しましょう。

妊娠中・授乳中ですが乳がん検診を受けられますか?

乳超音波検査であれば妊娠中・授乳中の場合でも受けられます

しかし妊娠の経過とともに乳腺組織が発達するため、検査結果が正しく出ないこともあります。

正しく判断できるようになるのは断乳後3か月といわれているため、妊娠が発覚した時点で一度乳がん検診を受けておきましょう。

断乳後どのくらいでマンモグラフィ検査を受けられますか?

断乳後は、3か月でマンモグラフィ検査を受けられるといえます

妊娠中や授乳中は乳腺組織が発達するため、元の状態でなければ正確な検査ができません。そのため、最低でも断乳から3か月の期間が必要とされています。

生理前ですが乳がん検診は受けられますか?

生理前でも乳がん検診は受けられます。しかし生理前や生理中は乳房が張ることが多いため、おすすめはできません

検査中の痛みを減らすため、なるべく生理後に検診を受けましょう。

時間がない方におすすめのマイクロCTC検査

超早期に乳がんを発見したい場合、マイクロCTC検査もおすすめです

マイクロCTC検査とは、血液中に流れているがん細胞を採血から判断する方法です※6

がんの超早期発見につながるとされているため、乳がんのリスクが高い方は受けておくとよいでしょう。

ただしマイクロCTC検査はがんの確定診断を目的とするものではありません。マンモグラフィ検査や超音波検査との併用が推奨されているため、まずは医師に相談してみましょう。

まとめ

今回は20代から乳がん検診を受けることの重要性や検査方法について詳しく解説しました。

乳がん検診の代表的な方法は、マンモグラフィ検査です。他の方法もありますがマンモグラフィ検査と併用するよう勧められているため、マンモグラフィ検査ができる病院で検診を受けましょう。

乳がんは、女性のがんの中で最も多い病気です。早期発見できるよう乳がん検診を積極的に受け、必要な対処をおこないましょう。

<参考文献>
※1 国立がん研究センター|がん情報サービス|乳房
※2 国立がん研究センター|がん情報サービス|乳がん 予防・検診
※3 国立がん研究センター|がん情報サービス|卵巣がん・卵管がん 予防・検診
※4 国立がん研究センター|がん情報サービス|乳がん 検査
※5 国立がん研究センター|がん情報サービス|超音波(エコー)検査とは
※6 東京月島クリニック|CTC(血中循環がん細胞)

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