乳がんは女性のがんで最も多く、日本人女性の9人に1人がかかる疾患です。※1
家族や友人などが乳がんになったとき、「自身も乳がんになるかもしれない」と不安を抱く方も多いでしょう。
乳がんは、早期の段階で発見すれば治癒が目指せる病気です。
一方、発見が遅れれば遅れるほど進行し、しこりが5cmを超えるⅢA期になると10年生存率が低下します。
本記事では乳がんの病態をはじめ、乳がん検診の種類や検査方法、セルフチェックの方法について詳しく解説します。
乳がんのリスクが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
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乳がんとはどのような病気?
まずは乳がんの病態について、原因や主な症状、乳がんになりやすい方の特徴を紹介します。
乳腺にできる悪性腫瘍
乳がんとは、乳腺組織にできる悪性腫瘍です。
全乳がんの約95%は乳管と呼ばれる乳汁の通り道に、約5%は乳汁を産生する小葉に発生します。
(参考:東京医科大学病院|乳がんの基礎知識)
女性に比べて圧倒的に罹患率は少ないものの、男性にも発症するケースもあります。
下記は、国立がん研究センター「がん情報サービス」の統計による、年齢別の罹患率(2019年)です。
年齢 | 女性 | 男性 |
25~29歳 | 7.2% | 0% |
30~34歳 | 28.2% | 0.1% |
35~39歳 | 65.9% | 0.2% |
40~44歳 | 148.9% | 0.5% |
45~49歳 | 232.9% | 0.4% |
50~54歳 | 224.7% | 0.6% |
55~59歳 | 227.4% | 1.1% |
60~64歳 | 246.9% | 1.6% |
65~69歳 | 262% | 1.9% |
70~74歳 | 262.5% | 2.1% |
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
女性の場合、30歳後半から急激に増え、40歳後半~50歳前半に最初のピークを迎え、60歳後半~70歳で再びピークを迎える傾向にあります。
男性で最も多い乳がんの罹患者は、60~70歳です。
乳がんの原因
乳がんが発生する原因として、遺伝や生活習慣、女性ホルモンなどが挙げられます。
具体的にはまだ解明されていませんが、女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)は、乳がんの発症と深く関係していると考えられています。
閉経が遅かったり、出産歴がなかったり、エストロゲンが分泌される期間が長いと、乳がんの発症リスクが上昇するため注意が必要です。
エストロゲンを含む経口避妊薬の使用や、閉経後のホルモン療法も、乳がんの発症にかかわります。
ほかにも、食生活の欧米化や女性のライフスタイルの変化も乳がん発症の原因と報告されています。
乳がんの主な症状
乳がんの代表的な症状は、しこりです。しこりに気づいて、医療機関を受診する方が多いでしょう。乳がんのしこりには、次のような特徴があります。
- しこりが硬くてゴツゴツしている
- しこりを押しても動かない
しこりには乳腺症や線維腺腫など良性の場合もありますが、個人で判断せずに医療機関を受診しましょう。
専門医であれば1cmのしこりにも気づけますが、患者自身が自覚症状としてわかるしこりの大きさは2~3cmです。
乳がんを発症すると、しこり以外にも次のような症状もみられます。
- 乳房がくぼむ
- 乳輪や乳頭がただれる
- 左右の乳房の形が異なる
- 乳頭から分泌物が出る
乳がんになりやすい方の特徴
乳がんになりやすい方の特徴は次のとおりです。
- 初経年齢が早い
- 閉経年齢が遅い
乳がんは、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けやすく、エストロゲンの分泌期間が長ければ長いほど、乳がんの発症リスクが高い傾向にあります。
月経~卵胞期はエストロゲンの分泌量が増えるため、初経が早い、あるいは閉経年齢が遅い方は、乳がんになりやすいといわれています。
- 出産歴・授乳歴がない
乳腺濃度が高いことは、乳がんのリスク因子の一つです。乳腺が発達し、乳腺の数が多い高乳腺濃度は、乳がんを発症するリスクも高くなります。
妊娠や出産、授乳時は、乳腺濃度が低下するため、出産歴・授乳歴がない方は経験した方と比べて乳がんになりやすいといえるでしょう。
- 乳がんの家族歴
乳がんには遺伝性も認められており、遺伝する確率は5~10%です。
家族や親戚に乳がんの患者がいる場合、血縁関係が近くなるほど乳がんに罹患するリスクが高まります。
そのほか、喫煙や飲酒は、乳がんのみならず、すべてのがんリスクが上昇すると認められています。
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乳がんの早期発見が重要な理由
乳がんの早期発見が重要な理由は、3つあります。この理由について詳しく解説します。
生存率が高まる
乳がんのステージ別の10年生存率は、次のとおりです。
乳がんのステージ | 乳がんの状態 | 10年生存率 |
---|---|---|
Tis | 乳管内にとどまる超早期のがん | 94.72% |
0期 | 画像診断で異常な影やしこりが認められないもの | 95.45% |
Ⅰ期 | しこりが2cm以下リンパ節への転移がないもの | 89.10% |
Ⅱ期 | しこりが2cm以上5cm以下、胸骨のリンパ節への転移が疑われるもの | 78.60% |
ⅢA期 | しこりが5cm以上 | 58.74% |
ⅢB期 | しこりが皮膚に及んでいるもの | 52.04% |
Ⅳ期 | しこりの大きさにかかわらず、他臓器への転移が認められたもの、胸骨のリンパ節への転移があるもの | 25.49% |
乳がんは早期発見できれば10年生存率が90%を超えますが、他臓器への転移が認められるⅣ期では生存率が25.49%にまで低下するため、少しでも早い発見が重要です。
乳房を温存できる
乳がんを早期発見できれば、乳房温存手術が適用されます。
【乳房温存手術の適用条件】
- 重症度が0期~Ⅱ期
- しこりの大きさが3cm以下
乳房温存手術では、がんのあるしこりの部分のみを円状に切除します。切除する範囲が少ないため、乳房が変形しにくいです。
一方、次のように症状が進行すると、乳房温存手術が適用されません。
- しこりの大きさが4~5cm
- がんのしこりが同じ側の乳房の離れた場所に2つ以上ある場合
- 石灰化が広範囲
- 妊娠中
- 患者が希望しない場合
がんが進行し、乳房温存手術が適用できない場合、大胸筋と小胸筋を残して乳頭や乳輪を含み乳房全体を切除しなければいけません。
治療による負担が減る
早期発見できると、切除する部分が小さくすむため、治療による負担を減らせます。
乳がんは進行すると脇の下にあるリンパ節に転移しやすいため、転移が認められた場合、乳房のみでなく脇の下にあるリンパ節や周辺の脂肪組織まですべて切除しなければなりません。
一方、早期発見でき、がんが小さいうちに手術で切除できれば、基本的には術後の化学療法も不要です。
とくに0期で発見できた場合、治療前と同じ生活に戻れるでしょう。
乳がん検診の種類・検査方法
乳がん検診では、必要に応じて複数の検査を組みあわせ、乳がんの早期発見につなげています。
主な検査方法は、下記のとおりです。
- 視診・触診
- マンモグラフィ
- 超音波(エコー)検査
- 遺伝学的検査
次章では、それぞれの検査方法を詳しく解説します。
視診・触診
視診は、乳房・乳頭の状態を目で見て観察する検査方法です。乳房の大きさや形、左右対称性、えくぼやただれ、分泌物の有無を調べます。
触診では、乳房からわきの下を指で触り、しこりやリンパ筋の腫れがないかを確認します。
乳がんはもちろん、乳腺症や乳腺線維腺腫などの疾患の発見にもつながりますが、視診・触診のみでは確定診断に至りません。
マンモグラフィ
マンモグラフィは、乳房をガラス板で挟み、薄く広げて撮影するX線検査です。日本では、40歳以上の女性に対し、2年に1度の検査を推奨しています。
撮影した画像から、視診・触診で発見が難しい小さな病変や、乳がんの兆候である微細な石灰化の有無を確認します。
マンモグラフィの検査感度は、80%前後と非常に高いことが特徴です。しかし、乳腺が多い高濃度乳腺の場合、病変の発見が難しくなります。
検査の所要時間は10~15分程度ですが、乳腺が発達している方や乳腺密度が高い方は、強い痛みが伴うケースが多いです。
また、少量ではあるものの、検査時の医療被ばくは避けられないため、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある方は検査を受けられません。該当する方は、必ず医師・看護師に報告しましょう。
超音波(エコー)検査
超音波検査は、超音波を発するプローブを乳房に当て、反射波を画像化して乳房内部の状態を調べる検査です。
医師による視診・触診で見つけにくいしこりや、乳腺密度が高い方・乳腺密度が発達している方の病変の発見に役立ち、また、しこりが発見された場合、良性か悪性かの診断にも用いられます。
検査時間は10~15分程度で、痛みを伴わず、医療被ばくがないことが超音波検査のメリットです。
一方で、検査する医師の技量に左右されやすい、乳房全体に広がるタイプの乳がんは発見しにくいなどの問題もあります。
現在、超音波検査単体の有効性は検証中であり、自治体のがん検診ではマンモグラフィとの併用による総合判定が採用されています。
遺伝学的検査
乳がんは遺伝性が認められているため、次の条件に当てはまる場合、遺伝子を調べる遺伝学的検査の対象になります。
- 45歳以下
- 60歳以下のトリプルネガティブ乳がん
- 第3近親者内に乳がん、卵巣がん、すい臓がんの患者がいる
- 男性乳がん
- 近親者にBRCA1/2遺伝子変異がある
- 2か所以上の原発乳がんを発症
- 卵巣がん、卵管がん、腹膜がんのいずれか発症
上記の条件に当てはまる場合、BRCA1/2遺伝子検査が保険適用されます。BRCA1/2遺伝子とは、遺伝性乳がん卵巣がんにみられる遺伝子病変です。
検査方法は採血です。採取したDNAを分析して、BRCA遺伝子の変化を調べます。
乳がんのセルフチェック方法
乳がんを早期発見するためには、日頃からのセルフチェックが大切です。セルフチェックのポイントは次のとおりです。
- 乳房の状態を確認する
- 触診でしこりを確認する
乳房の状態を確認する
鏡で自身の乳房の状態をチェックしましょう。チェックするときは、次のポイントをぜひ参考にしてください。
【乳房の状態を確認するときのポイント】
- 乳房の形が変形していないか(左右差がないか)
- ただれていないか
- ひきつれがないか
- しこりがないか
- えくぼのようにへこんでいる部分がないか
- 出血や異常な分泌物がないか
両手を下げた状態で乳房の変形がないか見たあと、両手を高く上げて斜め、正面、側面から観察しましょう。
乳頭をつまんで、出血や分泌物がないか確認します。
触診でしこりを確認する
しこりを調べるときは、入浴時に石けんをつけた手で渦巻きを描くように動かします。わきの下も触り、リンパ節の腫れもあわせてみておくとよいでしょう。
しこりは次の場所にできやすいです。
乳房を4つに分けたとき | 乳がん発生率 |
---|---|
外側上部 | 50% |
外側下部 | 10% |
内側上部 | 20% |
内側下部 | 5% |
とくにしこりは乳房の外側上部に最もできやすく、次は内側上部です。セルフチェックは毎月1回を目安に定期的におこないましょう。
しこりの大きさが2cm以上あると、偶然見つかる場合もありますが、セルフチェックを続けると、1cmのしこりにも気づけるようになります。
乳がんの早期発見ならマイクロCTC検査がおすすめ!
マイクロCTC検査では、採血のみで乳がんの早期発見が可能です。マイクロCTC検査の特徴について次の内容を紹介します。
- 検査は1回5分の採血のみ
- 医療被ばくなしの安心検査
- 悪性度の高いがん細胞のみを高い精度で捕捉する
検査は1回5分の採血のみ
マイクロCTC検査は1回5分の採血のみで、乳がんをはじめとする全身のがんリスクを調べられます。全国156件の医療機関で検査が可能です。
マイクロCTC検査の対象医療機関 | 件数 |
---|---|
東京都 | 42件(渋谷区、新宿区、中央区など) |
大阪府 | 19件(大阪市、藤井寺市、豊中市など) |
愛知県 | 4件(名古屋市、岡崎市) |
通常がんは1cm以上の大きさにならないと、マンモグラフィやCT検査、MRI検査などの画像検査で見つけられません。
しかしマイクロCTC検査では、血中のがん細胞を直接補足するため、小さながんでも早期発見が可能です。
さらにがん細胞のなかでも、浸潤・転移しやすい悪性度の高いがん細胞に特化して検出します。
医療被ばくなしの安心検査
マイクロCTC検査は、採血で血中に漏れ出したがん細胞を捕捉するため、医療被ばくのリスクがありません。
乳房は、被ばくによる発がんリスクが高い臓器の一つです。100mSvの被ばくを受けた場合、乳がんリスクが0.5%上昇するといわれています。
乳がん検診で採用されているマンモグラフィや、人間ドック、精密検査などでおこなうPET検査、CT検査、MRI検査は、放射線を使用しているため医療被ばくは避けられません。
検査で受ける被ばく線量は0.06~20mSv程度ですが、少ない被ばく線量でも発がんリスクは存在すると仮定されているため、検査頻度を考慮する必要があります。
マイクロCTC検査では、医療被ばくの心配なく、安心して検査を受けられる点も魅力の一つです。
悪性度の高いがん細胞のみを高い精度で捕捉
マイクロCTC検査は、浸潤・転移を起こしている、または起こそうとしている悪性度の高いがん細胞のみを特異度94.45%で検出します。
悪性度の低い上皮性のがん細胞は、周辺組織に浸潤したり、ほかの臓器へ転移したり、命を脅かす危険性はありません。
しかし、稀に上皮性のがん細胞は、上皮間葉転換を経て間葉系のがん細胞に進行する場合があります。
マイクロCTC検査では、上皮間葉転換により上皮性から間葉系へ形質転換し、増殖の過程で新生血管から既存の血管へ漏れ出した、悪性のがん細胞のみを捉えることが可能です。
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乳がんの早期発見に関するよくある質問
最後に乳がんの早期発見に関するよくある質問を紹介します。
- 乳がんを予防できる生活習慣は?
- 早期発見でも手術が必要?
- ステージⅠならばリンパ節への転移はない?
乳がんを予防できる生活習慣は?
乳がんを予防するためには、日頃から次のような生活習慣を心がけましょう。
- 飲酒は適量を守る(女性の適量は男性の半量)
- 禁煙
- 野菜や食物繊維、くだもの、大豆を積極的に摂取する
- 定期的に有酸素運動をおこなう
- 1日60分歩く、または歩行と同等の運動をする(65歳以上は1日40分)
早期発見でも手術が必要?
乳がんは早期発見でも手術が必要ですが、小さいがんであれば切除部分も小さく、身体への負担を抑えられるでしょう。
早期のがんの場合、乳房全切除術をせずに、乳房温存方法と手術後の放射線治療を組みあわせる治療も可能です。
一方がんが広がり、大きくなると病変を手術で取り切れないため、術前に薬物療法をおこない、がんを小さくしてから手術をします。
ステージⅠならばリンパ節への転移はない?
Ⅰ期の場合、リンパ節への転移はありません。リンパ節への転移が認められるのは、しこりの大きさが2cm以上5cm以下のⅡ期以降です。
偶然気づける乳がんのしこりの大きさは2~3cmのため、しこりに気づいた時点ですでにリンパ節へ転移している可能性が高いでしょう。
乳がんを早期発見するためにも、マイクロCTC検査や乳がん検診を受け、日頃からセルフチェックをおこないましょう。
まとめ
乳がんは、早期発見した場合の10年生存率が高く、0期やⅠ期であれば10年生存率は約90%です。
しかし発見が遅れ、がんが広がりリンパ節への転移や他臓器への転移が認められると手術での切除も難しくなり、死亡率も上昇します。
乳がんを早期発見するためには、乳がん検診や、1回5分の採血のみで全身のがんを調べられるマイクロCTC検査を受けましょう。
マイクロCTC検査は、画像検査では見つけられない小さながんの発見も可能です。忙しいため検診を受診できない方や、医療被ばくによる乳がんのリスクが気になる方にも、非常におすすめです。
いつまでも健康に過ごすために、乳がんをはじめとする全身のがんの早期発見につながるマイクロCTC検査を活用しましょう。
参考文献
※1 国立がん研究センターがん情報サービスがん登録・統計サイト|最新がん統計