がん検査キットの信頼性は?がん検査の目的や推奨年齢についても解説

近年、CMやネットで見かけることが多くなったがん検査キットですが、信頼性が気になる方も多いのではないでしょうか。

がん検査キットとは、血液や尿、唾液の採取のみで、がんにかかっている可能性を調べられる検査です。

しかし、利用にあたり事前に把握しておきたい点があります。

たとえば、判定結果はがんの診断とイコールではない点、保険適用外である点など、いくつかあります。

この記事では、がん検査キットの目的や信頼性について解説します

簡単な方法でがんの可能性を調べたい方、納得できるがん検査キットを探している方はぜひ参考にしてください。

がん検査キットでわかること

がん検査キットは血液や尿、唾液の採取のみで、がんにかかっている可能性を判定できる手軽な検査方法です。

さまざまな手法を用いたがん検査キットが販売されており、ネット通販感覚で購入できるものもあります。

ただし、がん検査キットでがんの診断はできない点や、保険適用外であるため費用は全額自己負担である点に注意しましょう

がん検査キットのメリットは、次の2点がわかることです。

  • がん罹患の可能性
  • 将来的ながんリスク

一つずつ詳しく解説します。

がん罹患の可能性

がん検査キットは、がんに罹患している可能性のある人をふるい分けること(スクリーニング)が可能です。

一生涯のうち、がんと診断される割合は2人に一人であり、40歳以上の43%以上ががんで亡くなるという統計もあります。

しかし、がんは早期に発見すれば、十分完治できる病気です。

がん検査キットによるスクリーニングで異常ありとなった場合、体のどこかにがんがある可能性が高いため、がん検診や人間ドックでがん種を特定します

また、検査キットの中には、がん種を特定して判定できるものもあり、その場合は医師と相談して精密検査に進みます。

がん検査キットでがんに罹患している可能性がわかると、早期発見、治療につながるため、知らぬ間にがんを進行させてしまうリスクを回避できるのです。

将来的ながんリスク

がん検査キットの中には、現在がんに罹患している可能性のみならず、将来のがんリスクを判定できるものもあります。

生活習慣や家族歴などから、がんのかかりやすさをスコア化したものが届きます

その内容をもとに、生活習慣を見直したり、定期的にがん検診を受けたりするきっかけとして活用するとよいでしょう。

がん検査キットの目的は「早期発見」

がん検査キットの最大の目的は、がんの早期発見です。

がんは初期の小さなうちに発見し治療すれば完治できる場合も多く、治療の選択肢も広がります。

がんが小さいうちに治療できれば、切除部位が小さく傷跡が目立たなかったり、術後に抗がん剤治療を受ける必要がなかったりなど、体への負担が軽くて済みます。

一般的にがんのリスクは年齢を重ねるごとに高まるといわれており、実際に国が定めるがん検診の対象年齢は40歳以上(胃がん検診は50歳以上、子宮頸がん検診は20歳以上)です。

がんは、早期がんと呼ばれる約1cmの大きさから画像診断で発見できるようになります。

早期がんで発見される大きさになるまでは、すでに5年から20年かけて細胞分裂を繰り返した段階であり、がん細胞の数は10億個にも上ります

がん細胞は乗数で分裂増加していくため成長スピードが速く、1cmの早期がんが約半年~1年でステージ2や3まで進行することも珍しくありません。

そのため、がんは早期発見、早期治療が非常に重要です。

早期発見には検査キット

検査キットは、血液や尿、唾液を採取するのみで、がんにかかっている可能性を簡単に調べられます。

たとえば、乳がん検診は頻度が2年に一度ですが、早期がんは約半年~1年で進行することもあるため、がん検診を定期的に受けていても早期発見できない恐れもあります

検査キットは自由なタイミングで検査ができる点もメリットです。

定期的な検査キットの利用

がん検査キットの定期的な利用で、定期的ながん検診にプラスして検査頻度を上げられ、がんの早期発見につながります。

とくに、がん家系の方や喫煙や肥満などのがんの危険因子を持つ方は、がん検査の頻度を上げる必要があるといえます

他にも、女性特有のがんが心配な方や忙しいビジネスパーソン、がんリスクの高い年配の方など、がん検査キットはがんリスクのあるすべての方におすすめです。

がん検査キットの信頼性

がんの早期発見に役立つ検査キットですが、肝心なのはその信頼性です。

ここでは、がん検査キットを使ううえで把握しておきたいポイントを紹介します。

診断ではない

がんの診断は、診察や血液検査、画像診断などの段階を経て、医師が総合的に判断します。

必要に応じて、体から組織や細胞を採取し、良性か悪性かを判断する病理検査をおこなう場合もあります

このように、がんの診断はいくつかの段階を踏んでおこなわれるため、時間がかかるケースも少なくありません。

検査キットは、あくまでがんに罹患している可能性を判定するものであり、診断に替わるものではないと覚えておきましょう。

100%の精度の検査キットは存在しない

現状では、100%の精度を誇るがん検査キットは存在しません。

すなわち、がんにかかっているかどうかを知るためには、精密検査を受ける必要があります。

しかし、症状のない方がいきなり病院へ行き精密検査を受けるのは、現実的ではありません

そこで、がんに罹患している可能性がある方をスクリーニングできる検査キットを使うことで、可能性のある方のみが、病院を受診し精密検査を受けることができます。

精度100%でなくとも、検査キットにはスクリーニングという大きな役割があるのです。

保険適用外である

がん検査キットは保険適用外であるため、かかる費用は全額自己負担です。

検査キットは製品によって価格が異なり、数万円から数十万円までと価格にばらつきがあります

検査内容と価格に納得できるものを選びましょう。

なお、民間の保険会社でがん検査キットを優待価格で購入できるサービスもあります。

がん検診の推奨年齢とは

がん検診とは、体内のがんの有無を調べる検査です。

国は次の5つのがん検診を推奨しています。

  • 胃がん検診
  • 子宮頸がん検診
  • 肺がん検診
  • 乳がん検診
  • 大腸がん検診

これらのがん検診は市区町村が実施しており、お住まいの地域の案内をチェックして申し込み、検診を受けます。

公共的ながん予防対策として実施されるため、公的な補助金により無料、もしくは少額の自己負担で受けられる点がメリットです。

企業に勤めている方は、職場の健康診断とあわせてがん検診を受けられる場合もあります。

5種類のがん検診

市区町村のがん検診は、特定の方法で早期に発見でき、治療をおこなうことで死亡率が低下すると研究によって科学的に証明されている、次の5つのがん検診です。

がん検診の種類対象者受診間隔検査項目
胃がん検診50歳以上2年に1回・問診
・胃部X線検査または胃内視鏡検査
子宮頸がん検診20歳以上2年に1回・問診
・視診
・子宮頸部の細胞診
・内診
肺がん検診40歳以上年1回・問診
・胸部X線検査
・喀痰細胞診
乳がん検診40歳以上2年に1回・問診
・乳房X線検査(マンモグラフィ)
大腸がん検診40歳以上年1回・問診
・便潜血検査

一般的に、がんリスクは年齢を重ねるごとに上がるといわれています。

がん検診でも対象者を40歳や50歳以上とする検診が多い(子宮頸がんを除く)ことから、40歳になったら健康診断に加え、がん検診も受けるようにしましょう。

がん検診を受けた方は、がんの疑いがない場合(異常なし)と、がんの疑いがある場合(要精密検査)に分けられます

異常ありと判定された方は、内視鏡検査やCTなどの精密検査に進みます。

異常なしと判定された場合も油断せず、定期的に検診を受け続け、がんを早期発見できるようにしましょう。

がん検診は症状のない人が対象

がん検診はがんの早期発見が目的であるため、症状のない方に対して実施するものです。

がんにより何らかの症状が出るころには、著しく進行している場合が多くみられます

無症状のうちにがんを発見し、治療につなげることが死亡リスクの低減につながります。

100%がんが見つかるわけではない

国が推奨しているがん検診ですが、100%がんを発見できるものではありません。

検出できる限界サイズより小さながんは発見できないうえ、実施頻度が低いこともあり、見つかったときにはすでに進行している場合もあります

さらに、症状のない方を対象とした検査で100%がんを発見できる検査は、現状では存在しません。

そのため、どのような検診でもある程度の見逃しは起こってしまうと考えられています。

全身のがんリスクを確認する「マイクロCTC検査」

マイクロCTC検査は1回の採血のみで、全身のがんリスクを検知できるがん検査です。

ここでは、マイクロCTC検査の特徴やメリットを紹介します。

マイクロCTC検査をチェック

マイクロCTC検査は「間葉系がん細胞」を捉える

マイクロCTC検査は、浸潤や転移能力のある間葉系がん細胞を捕捉できる点が特徴です。

実は、健康な方の体内でも毎日数千個ものがん細胞が生まれており、免疫細胞ががん細胞の増殖を防いでいます

しかし、免疫力の低下などの理由で、がん細胞は増殖を始め次第に進行しますが、浸潤や転移を起こさなければ部分的な切除が可能です。

がんの進行の過程で、悪性度の低い上皮性がん細胞から、浸潤や転移を起こす悪性度の高い間葉系がん細胞へと変化することがわかっています。

マイクロCTC検査は、注意すべき間葉系がん細胞のみを検出できる点がメリットです。

すなわち、マイクロCTC検査は間葉系になるまで悪性化したがん細胞が体のどこかにあるリスクを発見できます。

1回5分の採血で全身のがんリスクが検査できる

マイクロCTC検査は、1回5分の採血で全身のがんリスクを検査できます。

がん検診はそれぞれのがんに特化しているため、全身をくまなく検査しようとする場合、複数のがん検査を併用しなければなりません

たとえば、従来の全身がん検査は検査に丸一日かかり、費用負担も約24万円と高額です。

従来の全身がん検診では、PET-CTやMRIが用いられます。

しかし、PET-CTでは膀胱がんや腎がん、肝細胞がんなどを発見しにくく、MRIは胃がんや大腸がんがわからないという欠点があります。

対して、マイクロCTC検査は採血のみと所要時間も短いうえ、1回の採血で全身のがんリスクが調べられる、忙しい方に最適のがん検査です。

特異度94.45%の高精度

特異度とは、病気のない人を病気でないと正しく判断できる正確性のことをいいます

マイクロCTC検査は、間葉系がん細胞の検出において、特異度94.45%と非常に高い精度を誇るCSV(細胞表面ビメンチン)抗体の世界独占使用権を獲得した海外の検査手法を導入しています。

この手法は、世界有数のがん治療・研究施設であるアメリカ・MDアンダーソンがんセンターが開発したものです。

マイクロCTC検査をチェック

マイクロCTC検査で検出された場合

マイクロCTC検査を受け、間葉系がん細胞が検出された場合は、全身のどこかにがんがある可能性が高いことを意味します。

がんの可能性が高い

マイクロCTC検査で陽性となった場合、すなわち間葉系がん細胞が検出された場合は、がんに罹患している可能性が高いため、CTやPET、MRIなどの精密検査を受けましょう

精密検査を受けてもがんの疑いが見つからなかった場合は、がん細胞が画像診断で検出可能な大きさに至っていないと考えられます。

マイクロCTC検査で陽性となった以上、間葉系にまで進行したがん細胞が体のどこかにある可能性が非常に高いといえます。

画像診断が可能なサイズは約1cm

がんの画像診断で用いられるCTやPET、MRIなどの機器では、大きさ約1cm以上のがんしか検出できません。

これらの画像診断は、がんの有無や広がり、多臓器への転移がないかを調べるものです。

CTはX線、PETはFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)、MRIは磁石と電波を使い、体内を可視化して画像にします。

しかし、画像診断で検知できるのは大きさ約1cmからのがんであるため、マイクロCTC検査で間葉系がん細胞が検知されても、画像診断でがんが見つからない可能性も考えられます。

マイクロCTC検査は、がんの大きさにかかわらず、血中に流れる間葉系がん細胞を捕捉可能です。

画像診断でがんが見つからなくても、マイクロCTC検査で陽性になった場合は、体のどこかにがんがある可能性が高いと意識し、定期的にがん検診や人間ドックを受けることが重要です。

マイクロCTC検査をチェック

マイクロCTC検査に関するよくある質問

マイクロCTC検査に関するよくある質問とその回答を紹介します。

マイクロCTC検査にかかる費用はどれくらい?

マイクロCTC検査の費用は、198,000円(税込)です。

検査(採血)時に、別途初診料として3,300円(税込)がかかります。

マイクロCTC検査後の流れは?

マイクロCTC検査を受ける流れは、次のとおりです。

  • 検査を受けられる医療機関を探す
  • 提携医療機関で申し込み・採血をおこなう
  • 受診した医療機関で検査結果を確認する

医療機関で採血した血液検体は、すぐに国内の検査センターに輸送されます。

検査センターでは、専門の検査技師が血液検体を一つずつ丁寧に分析します。

検査期間は、通常約1週間です。

検査の結果、陽性となった方は体のどこにがんがあるのか精密検査で調べる必要があります。
受診した医療機関で相談し、精密検査を受けるようにしてください。

陰性であった場合はひとまず安心ですが、今後も定期的にマイクロCTC検査やがん検診を受け、がんの早期発見に努めましょう。

マイクロCTC検査をチェック

まとめ

がん検査キットは、血液や尿、唾液を検査し、がんに罹患している可能性を判定できます。

検査キットはがんの診断に替わるものではありませんが、がん検診とあわせて、がんの早期発見に役立ちます。

マイクロCTC検査は、採血のみで全身のがんリスクを検出できる検査です。

浸潤や転移を起こす間葉系がん細胞のみを捕捉できる点がメリットです。

定期的にがん検診を受けていても、2年に1回と頻度の低い検診の場合、検診の間でがんが進行する恐れもあります。

マイクロCTC検査でがん検査の頻度を上げることで、がんを早期に発見したり、検診を受けていない部位のがんを発見したりできます。

1回5分の採血のマイクロCTC検査で、気付かないうちにがんを進行させてしまうリスクを解消しましょう。

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