子宮頸がん検診を定期的に受診していますか。
子宮頸がんは若い女性に多く、早期発見には定期的に検診を受ける必要がある重要な疾患です。
早期発見すれば治療が奏功しやすく、子宮自体を温存する治療が選択できることも多くなります。
本記事では、子宮頸がんと検診の基礎知識、検診を受ける際の注意点やよくある質問について解説しています。
子宮頸がんと検診について理解し、ぜひ定期的に子宮頸がん検診を受診してください。
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子宮頸がん検診は2年に1回が推奨
子宮頸がん検診は、20歳以降2年に1回受けることが推奨されています。
本章では子宮頸がんの特徴と検診が重要な理由を解説します。
子宮頸がんとは
子宮頸がんとは、子宮の入り口である子宮頸部にできるがんです。
子宮は女性が妊娠したときに胎児を育てる臓器で、構造として、上部の袋状の子宮体部と管状の子宮頸部にわけられます。
子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがあり、発症のメカニズムや発症年齢など全く異なるがんです。
子宮頸がんのがん細胞の増殖は比較的ゆるやかで、正常な細胞が浸潤がんになるのに5〜10年以上かかります。
経過中にCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)やAIS(上皮内腺がん)など、がんになる前の前がん状態を経てからがんになることが多いといわれます。
2年に1回定期的に検診を受ければ、がんになる前の段階で見つけられる可能性が高いです。
子宮頸がんの特徴と症状
子宮頸がんと診断される女性は日本では1年に10,000人程度で、約3000人が死亡しています。
また2000年以後、患者数も死亡率も増加しています。
症状は前がん状態のCINやAISの時期には無症状が多く、おりものや出血、痛みもありません。
そして子宮頸がんが進行すると、不正出血が出る場合があります。
症状は月経中でないときや性交時に出血したり、においを伴う濃い茶色い膿のようなおりものがでたり、水っぽいおりものや粘液が多く出たりします。
がんが子宮の外に広がると、多量の出血やほかの臓器に広がり、 骨盤や下腹部、腰の痛み、尿や便に血が混じる、下肢のむくみといった症状がでる場合もあるでしょう。
子宮頸がん検診は20歳から
子宮頸がん検診は、ほかのがん検診よりとくに早く、20歳からの検診が推奨されます。
なぜなら、子宮頸がんは若い年代から発症しやすいからです。
本章では、子宮頸がんがなぜ若い女性に多いのか、若いうちに検診をうける必要があるのかについて解説します。
子宮頸がんを発症しやすい年齢
子宮頸がんの特徴の一つに、発症しやすい年齢が若い点があげられます。
子宮頚がんの発症は、20代より急速に増加し、30代後半から50代前半と若い年代に罹患する方が多い点が特徴です。
若く、妊娠を望む世代に重大な影響を及ぼします。
ただし、20代の病変は大半が早期がんであり、子宮温存が可能な場合も多いと考えられます。
子宮頸がんの原因はHPVの感染が多い
子宮頸がんは、原因の多くにHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関連しています。
HPVは性交渉で子宮頸部に感染し、男性女性かかわらず感染するありふれたウイルスです。
実際、性交経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染の機会があるといわれます。
したがって、妊娠可能な若い年代で発症する方も多いです。
もしHPVに感染しても、90%の方においては免疫の力でウイルスが自然に排除されます。
しかし、10%の方ではHPVが排除されずHPV感染が長期間持続します。
さらにHPV感染が自然治癒しない一部の方は、CINとよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行する経過をたどります。
子宮頸がんの予後
限局した状態で見つかれば5年相対生存率は95.7%と予後がよいものの、身体のほかの部分にまで広がっていた場合には22.5%と下がります。
5年相対生存率とは、なんらかのがんと診断された方が5年後に生きている方の割合が、日本人全体で5年後に生きている方の割合に比べてどのくらい低いのかを示す値です。
どの程度進行しているかにより治療法が大きく変わります。
限局していれば手術で腫瘍を取り除けますが、進行してほかの臓器まで広がった場合すべてを取り除くことが難しいためです。
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自治体の住民検診の受け方
若いうちから定期的な子宮頸がん検診受診の重要性を解説してきました。
厚生労働省は自治体に、子宮頸がん検診をはじめとするがん検診を実施するよう推進しています。
本章では、実際に自治体の検診を受ける際の手続きや費用、所要時間、検査を受けるときの注意点を解説します。
住民検診の対象者
厚生労働省によると、住民健診の対象者は次のとおりです。
種類 | 対象者 | 受診間隔 |
---|---|---|
胃がん検診 | 50歳以上 | 2年に1回 |
子宮頸がん検診 | 20歳以上 | 2年に1回 |
肺がん検診 | 40歳以上 | 年1回 |
乳がん検診 | 40歳以上 | 2年に1回 |
大腸がん検診 | 40歳以上 | 年1回 |
がん検診は、がんを早期発見したうえで適切な治療をおこない、がんで亡くなる方を減少させるという目的があります。
すなわち、無症状のうちにがんを見つけることが、がん検診の重要な点です。
症状のある方は、検診を受けるのではなくすぐに医療機関を受診しましょう。
住民検診の流れ
住民検診を主導しているのは各市町村です。
がん検診を受けるには、検診日、予約の必要の有無、予約方法を市町村から郵送されてくる案内や公式サイト、広報誌で確認します。
予約が必要な場合は予約して、医療機関や検診センターで検診を受けられます。
がん検診の目的は、健康な方に対する精密検査の必要性の判定です。
要精密検査と判断された方は、さらに詳しく調べる精密検査で診断します。
反対に精密検査不要の場合は、定期的に次回の検診を受診しましょう。
住民検診の主な検査方法と費用・所要時間
がんの種類により、検査方法が異なります。
検査方法は次のとおりです。
種類 | 検査項目 |
---|---|
胃がん検診 | 問診に加え、胃部X線検査か胃内視鏡検査のいずれか |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線検査および喀痰細胞診 (喀痰細胞診は50歳以上で過去の喫煙者を含めて 喫煙指数が600以上の方のみ) |
乳がん検診 | 問診および乳房X線検査(マンモグラフィ) |
大腸がん検診 | 問診及び便潜血検査 |
※喫煙指数:1日に吸うたばこの本数×喫煙年数
市区町村が実施しているがん検診の費用は無料の自治体と有料の自治体があり、いずれも補助があります。
市区町村により自己負担する金額は異なるため、各自治体の公式サイトや広報誌で確認しましょう。
たとえば、東京都では無料の区も多く、新宿区では検診の種類により600~2000円、江東区では500~1500円です。
大阪市では肺がん検診のみ無料、ほかの検診は300~1500円です。
さらに、一定の年齢の方を対象に子宮頸がんと乳がん検診が無料になるクーポンが国から配布されています。
各検査の所要時間は通常10~20分ですが、内視鏡の鎮静を選択した場合や医療機関で検診して待ち時間がある場合、検査が難しい体質だった場合にはさらに時間がかかるでしょう。
住民検診を受ける際の注意点
各検診により、検査を受けられない方がいます。
バリウムを使った胃部X線検査が場合により受けられない方は、妊娠中、バリウム検査のアレルギー、腹部の手術後、水分制限がある、重度の高血圧、インスリンポンプを使用中の方です。
乳がん検診も、授乳中や妊娠中は受けられませんし、ペースメーカーを挿入している方や豊胸手術をしている方も画像に移りこんでしまうため検診を断る施設もあります。
ほかに、事前準備が必要な検診があります。
胃がん検診の胃部X線検査および胃内視鏡検査は、検査当日の朝から検査が終了するまで飲食できません。
大腸がん検診の便潜血検査は、検査のための採便を2日間おこない、当日に生理中だった場合は検査ができません。
検査や自治体ごとに注意事項があるため、受診の前に公式サイトを確認しましょう。
子宮頸がん検診を受ける際によくある質問
子宮頸がん検診を受けようと考えたとき、初めての場合や久しぶりの受診の場合、不安や疑問が浮かぶでしょう。
本章ではよくある質問について解説します。受診の前にぜひ参考にしてください。
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子宮頸がん検診は痛いですか?
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子宮頸がん検診では、実際に触れて診察する検査は子宮頸部の細胞診と内診のみです。
細胞診では、診察台に横になり、クスコと呼ばれる金属の器具で膣腟を広げ、綿棒やブラシなどで頸部の細胞を軽くこすります。
そしてあとから、得られた検体を顕微鏡で確認する検査です。
クスコを挿入するときや広げるとき、痛みや異物感といった違和感があったり、金属の冷たさを不快に感じたりする方もいます。
子宮頸部は痛みの感覚が弱いため、検査のときの痛みはほぼないと言われます。
しかし痛みの感じ方は人それぞれで、当日の体調や検査室の雰囲気、緊張の度合いが影響し、痛みを増減させることもあるでしょう。
たとえば、緊張しすぎてお腹に力が入ると、痛みや違和感が強くなる場合もあります。
検査前に深呼吸をおこないできるだけ体の力を抜くとリラックスして検査を受けられ、痛みも軽減する可能性があります。
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子宮頸がん検診は生理中でも受けられますか?
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生理中の場合でも検査できる施設もありますが、正しい結果が得られない場合があります。
できる限り生理期間を避けたほうがよいでしょう。
生理期間は受診できないと定めている自治体や施設も多く、受ける自治体や施設で注意事項の確認が必要です。
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子宮頸がん検診は妊娠中でも受けられますか?
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妊娠中の方は、かかりつけの産婦人科での受診がおすすめです。
妊娠中でも検査は可能としている自治体、施設が多いです。
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子宮頸がん検診を受けるのが恥ずかしいです。
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女性にとって、デリケートな部分の診察とはいえ人目に触れたり、器具が入ったりするのは恥ずかしいと感じたり違和感があったりするのは当然のことです。
しかし、20代から罹患する確率の高いがんのため、検査を受けるメリットは非常に高いと考えられます。
診察の際には恥ずかしい気持ちがやわらぐよう、視線をあわせないようにカーテンが設置されています。
数分間で終わる検査のため、恥ずかしい気持ちを少し抑えて検査を受けるメリットに目を向けてみてもよいでしょう。
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子宮体癌検診との違いはなんですか?
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子宮体癌とは、子宮体部から発生したがんです。
子宮体癌は子宮頸がんより子宮の内部に位置し、大半が子宮内膜から出てくる子宮内膜がんです。
したがって、子宮体癌の検査では子宮口から細い器具を挿入し、子宮内膜の細胞をとります。
子宮頸がん検診では子宮の入り口をこすり細胞をとるため、細胞をとる位置と使用する器具が異なります。
まとめ
子宮頸がん検診はデリケートな部分のがんであり、検診を怖いと感じたり恥ずかしいと感じたりする方もいるでしょう。
しかし、子宮頸がんは早期発見で治療が奏功する可能性の高いがんです。
本記事をぜひ参考にして、定期的に子宮頸がん検診を受診してください。
<参考文献>
子宮がんの基礎知識 | 日本対がん協会
子宮頸がん | 公益社団法人 日本婦人科腫瘍学会
子宮頸がん|公益社団法人 日本産科婦人科学会
子宮頸部|国立がん研究センター がん統計
子宮がん|がん研有明病院
子宮頸がん 予防・検診|国立がん研究センター
子宮頸部|国立がん研究センター がん統計
がん検診|厚生労働省
がん検診について もっと詳しく|国立がん研究センター がん情報サービス
がん検診ってどうやって受けるの?知っておきたいがん検診 |日本医師会
がん検診について|国立がん研究センター がん情報サービス
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子宮頸がん検診Q&A 知っておきたいがん検診|日本医師会
子宮がん検診 がん検診|公益財団法人東京都予防医学協会
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