CT検査はがんをはじめ、さまざまな疾患の診断や病態の確認に用いられます。
病院でおこなわれる検査のひとつとして、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし病院でCT検査をおこなう際、目的や費用を知らないと不安に感じるものです。また、CT検査による体への負担が気になる方もいるでしょう。
そこで本記事ではCT検査の目的や検査の流れ、注意点、MRI検査との違いなどについて解説します。
詳細を把握したうえで安心してCT検査を受けたい方、がんのリスクを知るためのより手軽で安全な検査法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
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CT検査とは
CT検査は、X線により体の内部を描き出す検査です。
CT検査はComputed Tomography(コンピュータ断層撮影)によりおこなわれます。該当部位の輪切り画像を撮影し、コンピュータにより再構成して体の内部をチェックしています。
まずはCT検査の特徴について詳しく解説します。
CT検査で発見できるがん
CT検査の用途のひとつに、がんの発見があります。CT検査は次のようながんの検査に用いられます。
- 上咽頭がん、下咽頭がん、中咽頭がん
- 舌がん
- 食道がん
- 甲状腺がん
- 胃がん
- 肝臓がん(肝細胞がん)
- 膵臓がん
- 腎臓がん(腎細胞がん)
- 胆道がん(胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がん)
- 大腸がん(結腸がん、直腸がん)
- 腎盂がん、尿管がん
- 膀胱がん
- 前立腺がん
- 子宮頸がん
- 子宮体がん(子宮内膜がん)
- 卵巣がん、卵管がん
- 乳がん
- 肺がん
- 脳腫瘍(成人)
- 神経膠腫(グリオーマ)
CT検査はがんの診断の基本となる検査であり、ほぼすべてのがんに使用されることがわかるでしょう。
CT検査の方法
CT検査ではベッドの上へあおむけになったまま自動で大きな筒形の装置へ入り、さまざまな方向から体にX線を当てます。
水分や骨、脂肪、空気など、体内の成分にはそれぞれX線の吸収率に差があるため、X線の吸収率の違いをコンピュータで画像化できます。
連続で撮影した画像の再構成により、体内の様子の立体的な把握が可能です。
検査の目的により、臓器や血管にコントラストをつけて画像を見やすくする必要がある場合には、造影剤を使用します。
検査時間の目安は、造影剤を使用しない場合は約5分、造影剤を使用する場合は約10分です。
CT検査の種類
CT検査には造影剤を使用しない単純CT検査と、造影剤を使用する造影CT検査の2種類があります。各検査の特徴は次の表のとおりです。
単純CT検査 | 造影CT検査 | |
造影剤 | 使用しない | 使用する |
所要時間 | 約5分 | 約10分 |
注射 | 不要 | 必要(造影剤の注射) |
食事制限 | 検査数時間前から絶食 (腹部の場合) | 検査数時間前から絶食 |
副作用 | なし | 造影剤の副作用が出る場合がある |
造影CT検査は単純CT検査よりも、臓器や血管を詳細に確認できるメリットがあります。
しかし検査時の注射や検査前の絶食が必要であり、また造影剤による副作用が出る場合もあります。
また喘息やアレルギーがある方や基礎疾患のある方、授乳中の方などは造影剤の使用に注意が必要です。事前に必ず医師に相談しましょう。
CT検査の種類
CT検査の費用の目安は次のとおりです。
検査内容 | 診療総額 | 1割負担 | 3割負担 |
CT(単純) | 20,000~27,000円 | 2,000~2,700円 | 6,000~8,000円 |
CT(造影) | 30,000~40,000円 | 3,000~4,000円 | 9,000~12,000円 |
冠動脈CT(造影) | 30,000~54,000円 | 3,000~5,400円 | 9,000~16,000円 |
病気の疑いがあり医師の指示でおこなう場合と、人間ドックや自由診療でおこなう場合では負担する金額が異なるため、事前に確認しましょう。
CT検査の流れ
CT検査自体は約5~15分で完了しますが、患者に事前の準備が必要な場合があるため、CT検査の流れの把握は重要です。
まず造影CT検査や腹部の単純CT検査をおこなう際、患者は検査の数時間前から食事を経つ必要があります。固形物の摂取を避け、水やお茶などの水分補給のみに留めましょう。
事前の説明を確認のうえ来院し、問診のあとでCT検査が始まります。
患者は検査着に着替えてから検査室に入り、ベッドの上へあおむけになります。
造影CT検査の場合は血管への造影剤の投与がおこなわれますが、単純CT検査の場合には検査時の特別な処置はありません。
検査が終了したら着替えを済ませて退出します。
CT検査の特徴
X線を用いるCT検査には、特有のメリットやデメリットがあります。
ここからはCT検査の特徴や注意点について解説します。CT検査のメリットとデメリットを理解し、納得のうえで検査を受けましょう。
検査時間が短い
CT検査自体にかかる時間は約5~10分であり、短時間で終えられる点が大きなメリットです。
ただし狭心症を診断するための検査である冠動脈CT検査のように、事前準備や息止めの練習などの時間を含めると30分以上かかるケースもあります。
検査部位や目的、条件により全体にかかる時間は異なるため、事前に確認を取りましょう。
広範囲を検査できる
CT検査ではX線により体の内部を詳細に描き出せるため、検査を広範囲にわたりおこなえます。
とくにX線の検出器の数を増やしたマルチスライスCTでは、複数の方向からX線を当てられるため、短時間に広範囲かつ詳細な撮影が可能です。
検査がより短時間で終わる、被ばくの影響をさらに抑えやすい、などのメリットもあります。
マルチスライスCTはより広い範囲をより正確に、かつ安全に検査できるため、近年のCT検査の主流として用いられています。
放射線を使用する
CT検査はX線を当てておこなわれます。X線は放射線であるため、被ばくのリスクがともないます。
CT検査による放射線の被ばくは、胸部X検査による被ばく量よりも多いため、不安に感じる方もいるでしょう。
しかしCT検査で使用する放射線は、身体に影響が出るとされている量よりもはるかに少なく抑えられています。
またマルチスライスCTのような、被ばくの影響の少ないCT検査の導入も進んでいます。
そのためCT検査を複数回受けても、放射線の被ばくによるリスクを心配する必要はありません。
CT検査とMRI検査の違い
CT検査と同じく、詳細な画像による精密検査が可能なものにMRI検査があります。
CT検査とMRI検査では、検査方法や対象疾患、検査時間や体への負担などが異なるため、事前に把握したうえで受けるとよいでしょう。
ここからはCT検査とMRI検査の違いについて解説します。
検査方法
CT検査もMRI検査も、ベッドに横になった状態で、トンネル状の装置に入りおこなわれます。
X線を当てて体内の画像を作成するCT検査とは異なり、MRI検査では強力な磁石と電波により発生させた磁場により体の断面が画像化されます。
造影CT検査では造影剤を投与しますが、MRI検査では造影剤の投与は不要です。
しかし食事に関する制限がある点は、造影CT検査や腹部の単純CT検査と共通しています。MRI検査では検査の3時間前からの絶食の指示が一般的です。
なお、MRI検査をおこなう際には、撮影部位にコイルと呼ばれる専用の用具の装着が必要です。
主な対象疾患の種類
MRI検査は、がんのような病変部分と正常な組織との違いを画面上で区別しやすいため、さまざまな部位の疾患に用いられています。
脳や脊髄をはじめ、肝臓、子宮、卵巣や前立腺などの骨盤内の病変や、筋肉、腱、靭帯など、骨以外の軟部組織への使用が一般的です。
がんにおいてはCT検査と同じく、ほぼすべてのがんの診断に使用できます。
とくに、CT検査では正常な組織と区別がつきにくい臓器に生じるがんの診断や、ほかの組織への転移の発見に有用です。
さらにMRI検査は造影剤を使用せずに血管の走行を3D構築した画像が得られるため、血管の病変の発見にも適しています。
体への負担
MRI検査ではCT検査のように、造影剤の注射をおこなう必要がありません。
またMRI検査はX線を使用しないため、被ばくの影響がない点も大きなメリットです。
一方で、MRI検査の検査時間は15~60分と、CT検査の5~10分と比較して長めにかかります。
またMRI検査の機械の動作音は大きく、ストレスを感じる方もいるでしょう。
さらに強力な磁石や電波による事故を防ぐため、時計や眼鏡のような取り外せる金属類はすべて取り外す必要があります。
ペースメーカーやインプラントなどが体内にある場合は事前に必ず医師に伝えましょう。
火傷のリスクを防ぐため、化粧やマニキュアなどはすべて落とすことも重要です。
▼関連記事:マイクロCTC検査とMRI検査の違い|がん検査の特徴や注意点もわかりやすく解説
CT検査に関するよくある質問
CT検査を受けるにあたり、不安や疑問を感じる方も多いでしょう。
そこでここからは、CT検査に関する質問のなかから、よく寄せられるものについて回答します。
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検査前の食事はしてもよいでしょうか?
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頭部や首、胸部、四肢などの単純CT検査では食事制限はありません。
ただし造影CT検査や腹部の単純CT検査を受ける場合には、検査の数時間前から食事をやめる指示が出されます。
一方、特別な指示がない限り、水分の摂取には制限がありません。検査前は乳製品やジュースを避け、水やお茶などを飲みましょう。
食事や水分の摂り方について不安がある場合には、事前に医師に相談しましょう。
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造影剤を使用する際に注意することはありますか?
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造影剤を投与する際、造影剤が血管の外に漏れると刺入部に痛みを感じる場合があります。痛みがある場合はすぐに報告しましょう。
造影CT検査のあとに、皮膚の症状や息苦しさ、吐き気や嘔吐などを生じた場合、アレルギー症状の可能性があるため注意深い観察が必要です。
造影剤は尿とともに排泄されるため、造影CT検査のあとは水分を多めに摂りましょう。
なお、次のような方は造影剤の使用に慎重になる必要があります。
- ヨードやヨード造影剤にアレルギーがある方
- 薬や注射でのアレルギーの既往がある方
- 喘息の既往がある方
甲状腺疾患や心臓病など、治療中の疾患がある方や、服用中の薬がある方も注意が必要です。事前に必ず医師へ報告しましょう。
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授乳中でも検査を受けられますか?
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造影剤を使用したあとは48時間は授乳の中止を推奨している病院もあります。
造影剤を使用しない単純CT検査であれば、授乳中の方でも問題なく受けられます。
しかし造影CT検査の場合、日本で使用されている造影剤の添付文書には「授乳中の女性への造影剤投与後24時間または48時間は授乳をさけること」の記載があるため、造影剤の投与後48時間は授乳の中止を推奨する病院もあります。
一方、ヨード造影剤の投与後24時間以内の母乳に造影剤が移行する量は投与量の1%未満であるというデータから、日本医学放射線学会は、造影剤使用後の授乳による影響は非常に小さいという見解を出しています。
授乳中の方で造影CT検査をおこなう場合は、授乳の中断について医師に相談するとよいでしょう。
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被ばくが心配ですが大丈夫ですか?
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CT検査による放射線の被ばく量は、1回あたり約5~30mSvに抑えられています。
健康に影響を与えることが確認されている放射線の1回量は100mSv以上であるため、複数回CT検査を受けたとしても、被ばくの影響を過度に心配する必要はないでしょう。
また、CT検査により被ばくしてダメージを受けた細胞の大半は、そのたびに修復されて正常な細胞に戻ります。
原則、CT検査は被ばくの影響よりも、がんの発見や病気の治療の効果の確認などをおこなえるメリットの方が大きい場合にのみおこなわれます。
不安な場合は医師に相談のうえで、必要と判断された場合にはCT検査を受け、がんの発見や治療の効果の確認に役立てましょう。
身体的負担を抑えるならマイクロCTC検査
CT検査はがんの検診にも用いられる検査方法ですが、被ばくや造影剤の注射などによる身体への負担を不安に感じる方もいるでしょう。
より少ない負担で全身のがんリスクを検査したい方には、気軽に受けられて安全かつ高精度の「マイクロCTC検査」がおすすめです。
ここからはマイクロCTC検査について詳しく解説します。
被ばくリスクがない
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクを検査できます。
CT検査のようにX線を使用しないため、放射線の被ばくを不安に感じる必要もありません。
CT検査での放射線の被ばくによる身体への影響は少ないとされていますが、少量でも放射線の被ばくがあること自体に不安を感じる方もいるでしょう。
被ばくのリスクなく安心して受けられる検査として、マイクロCTC検査は優秀です。
また造影剤を使用する必要もないため、造影剤の投与による痛みや副作用を不安に感じる方にもマイクロCTC検査はおすすめです。
事前準備なしで検査可能
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクを検査できます。
造影CT検査のような事前の食事制限や、造影剤を投与するための注射、検査着への着替えなども必要ありません。
検査自体も短い時間で終了するため、仕事や家事、育児などで忙しく、まとまった時間を作りにくい方でも検査を受けやすいでしょう。
特異度94.45%の高精度
マイクロCTC検査は1回5分と手軽におこなえることに加え、非常に高精度である点も特徴的です。
マイクロCTC検査に導入されているCSV抗体は、がんではない方が陰性判定となる確率を示す特異度が94.45%と非常に高く、正確性に優れていることがわかります。
また、マイクロCTC検査では血液中に漏れ出した悪性度の高い間葉系がん細胞のみを検出するため、全身のがんリスクがより明確化されます。
手軽さと正確さを両立した高精度の検査を受けたい方にも、マイクロCTC検査はおすすめです。
まとめ
CT検査はがんの健診や病気に対する治療の効果の確認など、さまざまな場面で広く用いられています。
検査のメリットとリスクを把握したうえで、必要に応じて適切にCT検査を受けることが重要です。
がんのリスクをより短時間で、かつ身体への負担がより少ない方法で検査したい場合には、マイクロCTC検査がおすすめです。
1回5分で高精度な検査が受けられるため、忙しく検査の時間が十分に摂れない方や、より安心して受けられる検査を探している方は、ぜひマイクロCTC検査を試してみましょう。
<参考文献>
AIC画像検査センター (adic.or.jp)|検査料金について
北条病院|X線と被曝 ~各種レントゲン検査やCT検査をたくさんしても大丈夫?~
愛知医科大学病院|よくあるご質問 造影剤を使うといわれましたが,造影剤について教えてください