大腸がんは、早い段階で発見・治療すれば、5年生存率はほぼ100%と、非常に高い確率で根治が可能です。
しかし、初期の自覚症状がほぼなく、定期的に検査を受けることが大切です。
本記事では、大腸がんを早期発見するためのポイントから、大腸がんの自覚症状や、検査方法・治療法を詳しく解説します。
大腸がんについての知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
大腸がんとは?
大腸がんとは、大腸に発生するがんです。
大腸がんの50%以上は、結腸の左半分にあるS状結腸と、便を貯留する直腸に発生し、良性のポリープががん化する場合と、正常な粘膜から直接がんが発生するケースがあります。※1
ここからは、大腸がんの概要・原因・症状を詳しく解説します。
患者数が最も多いがん
大腸がんは、患者数が最も多いがんです。下記は、がん罹患数の順位(2019年)です。
順位 | 部位 | 罹患数 |
---|---|---|
1位 | 大腸 | 155,625人(男性:87,872人、女性:67,753人) |
2位 | 肺 | 126,548人(男性:84,325人、女性:42,221人) |
3位 | 胃 | 124,319人(男性:85,325人、女性:38,994人) |
4位 | 乳房 | 97,812人(男性:670人、女性:97,142人) |
5位 | 前立腺 | 94,748人(男性のみ) |
毎年、15万人以上が大腸がんと診断されており、男性の10人に1人が、女性の12人に1人が生涯で大腸がんになるリスクがあるといわれています。※2
また、大腸がんは罹患数とともに、死亡数も増加しており、2020年には男性の27,718人、女性の24,070人が大腸がんで亡くなっています。※3
大腸がんの原因
ここで、大腸がんの原因につながる危険因子について、詳しく解説します。
食生活
日本人の大腸がんの罹患数が増えた大きな原因は、食生活の欧米化です。
動物性タンパク質や脂肪分を多く摂り、食物繊維が多く含まれた食物や野菜・果物が不足している食生活は、大腸がんのリスクを高めます。
また、発がん性が疑われる肉や魚などの焼き焦げ、カビ毒の摂取も大腸がんのリスクにつながります。
運動不足
運動不足により、腸の働きが悪くなると、便の通過時間が長くなります。結果、腸内で発がん物質にさらされる時間が増し、大腸がんを発症しやすくなるといわれています。
長時間、座る体制や座位労働をしている方は、注意が必要です。1日3時間以上、歩く・立つなどの身体活動をおこなうよう心がけましょう。
喫煙・飲酒
喫煙者は、非喫煙者に比べて、大腸がんの発生率が1.4倍と、累積喫煙指数(1日喫煙箱数×喫煙年数)や喫煙本数・期間が多くなるほど、大腸がんのリスクは高くなります。※4
また、飲酒についても同様です。1日のアルコール摂取量が15g増えるごとに、大腸がんのリスクが10%増えると推定されています。※5
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)
免疫機能に異常が起こり、大腸の粘膜に炎症や腫瘍が生じる炎症性腸疾患は、治療の過程で大腸がんを誘発する可能性があります。
治療が長期化するほど、大腸がんを合併するリスクが高まります。
家族歴
すべての大腸がんの約70%は、生活習慣や環境因子が発症原因といわれていますが、遺伝子の一部の異常により発症する「遺伝性大腸がん」も存在します。※6
遺伝性大腸がんの特徴は、40歳未満で発症する、大腸がんを繰り返す、大腸・胃・小腸に多数のポリープができるなどです。
主な自覚症状
大腸がんは、初期の自覚症状が少なく、進行するとさまざまな身体の異変が現れます。大腸がんの主な自覚症状は、下記のとおりです。
- 血便:便に赤黒い血が付着している、または真っ赤な出血が出る
- 排便習慣の変化:便が通過する道が狭くなるため、便秘や下痢が生じる
- 残便感:直腸の内腔が狭くなると、便の排泄後も便意をもよおす
- 貧血:がん部位から慢性的に出血しているため、貧血を起こす
- 腹痛や嘔吐:腸閉塞を合併し、便が出ないことで腹痛や嘔吐の症状が現れる
一つでも当てはまる場合、大腸がんが疑われます。早めに医療機関を受診しましょう。
大腸がんのステージ別でみる生存率
大腸がんの生存率は、ステージで大きく異なります。
ステージとは、がんの進行度合いを表す言葉です。がんが到達している深さ(T要因)、リンパ筋への転移の有無(N因子)、ほかの臓器への転移の有無(M因子)で決定します。
大腸がんの場合、各ステージの状態は下記のとおりです。
- ステージ1:がんが、固有筋層(筋肉の層)に留まっている
- ステージ2:がんが、固有筋層(筋肉の層)を超えて、周囲に広がっている
- ステージ3:がんが到達している深さは関係なく、リンパ筋に転移している
- ステージ4:がんの深さやリンパ筋の転移にかかわらず、ほかの臓器に転移している
次章では、大腸がんのステージ別の5年生存率の推計値を紹介します。
ステージ別の5年生存率
大腸がんのステージ別の5年生存率は、下記のとおりです。
ステージ1 | ステージ2 | ステージ3 | ステージ4 | |
---|---|---|---|---|
5年生存率(相対生存率) | 98.8% | 90.9% | 85.8% | 23.3% |
大腸がんのステージ1・2の場合、9割以上が治癒可能であるため、5年生存率は100%に近く、一方でステージ4になると5年生存率は著しく低下します。
ほかのがんの5年生存率と比べてみましょう。
がんの種類 | 5年相対生存率(2009~2011年)平均 |
---|---|
大腸がん | 71.4 %(男性72.4 %、女性70.1 %) |
胃がん | 66.6 %(男性67.5 %、女性64.6 %) |
肺がん | 34.9 %(男性29.5 %、女性46.8 %) |
肝臓がん | 35.8 %(男性36.2 %、女性35.1 %) |
大腸がんは、胃がん、肺がん、肝臓がんと比べて5年生存率が高く、比較的治りやすいがんといえます。
早期発見が重要
大腸がんは、日本人の患者数が最も多いがんですが、自覚症状が乏しく、気付かないうちに進行しているケースも少なくありません。
大腸がんの多くは、初期段階であれば根治が可能です。
また、早期にがんを発見した場合、内視鏡下で病変を切除したり、高周波電流で病変を焼き切ったりと、日帰り~数日で手術が受けられるメリットもあります。
身体的・経済的な負担を軽減するためにも、大腸がんの早期発見は重要です。
大腸がんを早期発見できる検査方法
大腸がんの早期発見につながる検査方法は、おもに下記の4種類です。
- 便潜血検査
- 大腸内視鏡検査
- CTコロノグラフィー
- カプセル内視鏡
次章では、それぞれの検査方法について詳しく解説します。
便潜血検査
便潜血検査とは、便の中の血液反応を調べる検査です。腸内の出血の有無を確かめるためにおこないます。
目にみえない僅かな出血の検知が可能なことから、大腸がんや大腸ポリープの発見に有効です。食事制限や検査中の苦痛はなく、便の採取は自宅でおこなえます。
国が推奨する大腸がん検診のおもな検査項目にも定められており、40歳以上を対象に、1年に一度の検査を推奨しています。
大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、便潜血検査に異常がみられた場合におこなう最初の精密検査です。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の全部位を観察してがんやポリープの有無を確認します。
がんやポリープの場所や大きさにより、そのまま切除も可能です。
食事制限や下剤の服用が義務づけられていますが、近年では検査時の苦痛に配慮し、お腹の張りを軽減する炭酸ガスや、麻酔または鎮静剤を使用する医療機関も増えています。
CTコロノグラフィー
CTコロノグラフィーは、CTにて大腸を詳しく調べる検査方法です。
炭酸ガスで大腸を膨らませたうえでCT撮影をおこない、専用のコンピューターで画像を3D処理し、がんやポリープの有無を調べます。
CTコロノグラフィーは、内視鏡が届かない場所も観察できることが特徴です。
また、大腸内視鏡検査より、服用する下剤の量が少ないことや、検査の所要時間が短いため、身体的な負担も少ないでしょう。
しかし、すべての医療機関でCTコロノグラフィーを導入しているわけではありません。
カプセル内視鏡
カプセル内視鏡は、超小型カメラが内臓されたカプセル型の内視鏡を飲み込み、腸の内部を撮影する検査方法です。
カプセルは使い捨てタイプで、1日程度で自然に肛門から排出されます。
検査時の痛みはもちろん、下剤や鎮静剤も不要であり、医療被ばくの心配もないことから、身体的な負担が少ない検査といえます。
一つのカプセルで消化管すべての観察はできません。小腸用と大腸用のカプセルがあり、保険適用が可能です。
マイクロCTC検査は血液で大腸がんを早期発見
マイクロCTC検査は、大腸がんをはじめ、全身のがんリスクの早期発見につながる検査方法です。
増殖の過程で、血中に漏れ出したがん細胞を直接捉えるため、従来の画像検査より早い段階でがんのリスクがわかります。
また、特異度94.45%の高精度であるため、従来のスクリーニング検査と比べて正確性に優れている点も、マイクロCTC検査の特徴です。※7
ここからは、マイクロCTC検査の概要と検査方法を紹介します。
血液検査で全身のがんリスクを判定
マイクロCTC検査は、血液検査で全身のがんリスクを判定する先進的な検査です。
血中に漏れ出した、浸潤・転移を起こしている、または起こそうとしている悪性度の高いがん細胞のみを捉え、個数を明示し、がんリスクを判定します。
がん細胞の検出においては、特異度94.45%と非常に高い精度を誇る「CSV(細胞表面ビメンチン)」抗体を利用している点も強みです。※8
検査に要する時間は1回5分と、非常に短時間であるため、スケジュールの調整が難しいビジネスマンや、家事・育児に忙しい方でも気軽に検査が受けられるでしょう。
採血の際に、チクっとした軽い痛みが生じるのみで、薬剤の投与や食事の制限はありません。
身体の負担を最小限に抑えながら、スピーディーかつ、信頼できるがんのリスク検査を受けたい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
全国各地のクリニックで受診可能
マイクロCTC検査は、全国各地のクリニックで受診が可能です。
現在、マイクロCTC先進医療研究所の所長、太田剛志氏が院長を務める「代々木ウィルクリニック」をはじめ、全国156ヶ所のクリニックでマイクロCTC検査を導入しています。※9
マイクロCTC検査は、マイクロCTC公式サイトから簡単に予約が可能です。
クリニック検索にて、住居地や勤務地など、都合のよい場所の医療機関を選択し、採血・検査予約へ進みます。
必要事項を入力のうえ、採血の希望日を第1希望から第3希望まで設定して申し込み終了です。担当者から連絡があり、予約が完了します。
早期発見した大腸がんの治療法
大腸がんを早期に発見した場合、内視鏡による切除手術が可能です。
開腹手術と比べて身体の負担が少なく、日帰り~数日間の入院で済むため、日常生活への影響も最小限に抑えられるでしょう。
手術後は、食生活に注意をしながら、できる限り早く手術前の生活に戻るよう心がけることが大切です。
次章で詳しく解説します。
内視鏡による切除手術
大腸がんの内視鏡による切除手術には、おもに3つの方法があります。
内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)
15mm以内の、キノコのように隆起した病変の切除方法です。内視鏡の先端から輪状の細いワイヤー(スネア)を出し、病変を絞めつけながら高周波電流で粘膜を焼き切ります。
前がん病変の場合、高周波電流は使用せず、そのままスネアで病変を切り取る「コールドポリペクトミー」がおこなわれます。
ポリペクトミー、コールドポリペクトミーともに、日帰り手術が可能です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
2cm未満の小さい病変に対しておこなわれる切除方法です。輪状の細いワイヤー(スネア)で病変を絞めつけながら、高周波電流で病変周辺の粘膜を切開し、病変をはがします。
多くの場合、日帰り手術が可能ですが、一部3~4泊の入院が必要になるケースもあります。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
EMRで切除が難しい、2cm以上のがんの治療法です。病変の粘膜下層に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどを注入し、がんを浮き上がらせたあと電気メスで切除します。
入院期間は、10日程度です。
治療後の生活・注意点
大腸がんの治療後は、患部からの出血や、食道・胃に穴が開く穿孔、腸閉塞などの合併症が起こる可能性があります。
吐き気・嘔吐、頭痛、めまいなどの症状が現れた際は、医師に相談しましょう。
また、大腸がんの再発を防ぐために、タンパク質・糖質・塩分の多い食事や、食物繊維が多く含まれている食材、アルコールの摂取量に気をつけましょう。
そのほか、毎日の生活に30分程度の運動を取り入れて、適正体重を保つよう心がけることも大切です。
大腸がんに関するよくある質問
最後に、大腸がんに関するよくある質問を紹介します。
大腸がんになりやすい方の特徴は?
大腸がんの発症には、生活習慣が深く関係しています。
- 動物性脂肪の多い肉類や加工肉を多く摂り、野菜・果物・魚の摂取量が少ない
- 運動不足であり、肥満、または適正体重を超えている
- 喫煙やお酒を飲む習慣がある
上記に該当する方は、大腸がんになりやすいといえます。
また、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)や、大腸ポリープの既往がある方、大腸がんを患った家族がいる方も、大腸がんになりやすい傾向にあります。
予防する方法はある?
大腸がんを予防するためには、下記の生活習慣を心がけることが大切です。
バランスのよい食生活
牛肉・豚肉の赤肉、ハム・ソーセージなどの加工肉の摂取量を減らし、野菜・果物・イモ類・豆類など、食物繊維が含まれている食材を積極的に摂りましょう。
身体活動・運動習慣
厚生労働省は、歩行を含む軽い運動を1日60分、汗をかく程度の運動を1週間に60分おこなうよう推奨しています。
適正体重の維持
太りすぎ・痩せすぎは、大腸がんのリスクにつながります。適正体重は、体重kg÷身長mの2乗で算出するBMI値が目安です。
男性はBMI値21~27、女性は21~25の範囲になるよう、体重を管理しましょう。
節酒
1日あたりのアルコール摂取量は、23gを超えないよう気をつけましょう。
アルコール23gは、日本酒1合、ビール大瓶(633ml)1本、焼酎(原液)1合の2/3、ウィスキー(ダブル)1杯、ワイン(ボトル)1/3程度です。
禁煙
たばこは、大腸がんのみならず、多くのがんのリスクを高めます。がんを予防するためには、禁煙が最も効果的です。
内視鏡検査前に気をつけるべき点は?
内視鏡検査は、大腸全体をよく観察するために、下剤で腸内を空にしてからおこないます。
便が残っている場合、検査の精度が低くなり、がんやポリープの見落としにつながる可能性があります。
便秘症の方や、大腸に便が残っていると指摘された方は、下剤の量を調整する、数日前から下剤を服用するなどの工夫が必要です。
内視鏡検査を受ける前に、医師・看護師に相談しましょう。
まとめ
大腸がんは、日本人の患者数が最も多いがんである一方、早期に発見した場合の5年生存率は100%に近く、比較的治りやすいがんでもあります。
しかし、大腸がんは自覚症状が乏しいことから、血便、排便習慣の変化、残便感、貧血、腹痛、嘔吐などの症状が現れた際は、すぐに医療機関を受診しましょう。
医療機関を受診する時間がない方や、検査を受けることに抵抗がある方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで、大腸がんをはじめとする全身のがんリスクが明確になる先進的な検査です。
全国の提携クリニックで受診が可能であることから、仕事や家事の合間、お出かけのついでにも検査が受けられます。
大腸がんの早期発見・早期治療のために、定期的に検査を受けましょう。
〈参考サイト〉
※1:日本消化器がん検診学会全国集計委員会|平成26年度消化器がん検診全国集計
※2:国立がん研究センター|がん統計
※3:国立がん研究センター|がん種別統計情報 大腸
※4:国立がん研究センター がん対策研究所|お酒・たばこと大腸がんの関連について
※5:国立がん研究センター がん対策研究所|飲酒と大腸がんリスク
※6:日本大腸肛門病学会|遺伝性大腸がん
※7、※8:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査
※9:マイクロCTC検査|クリニック一覧