食道がんになる女性は多い?原因・注意したい初期症状や早期発見する方法を解説

食べ物を口から胃まで運ぶ役割を担う食道は、生命維持に重要な臓器の一つです。万が一、食道にがんが発症し進行した場合、満足に飲食できなくなります。

食道がんの罹患者は、50歳以降の男性が圧倒的に多いです。しかし、30~40代の女性も食道がんになる可能性があります。※1

本記事では、食道がんが疑われる症状をはじめ、食道がんになりやすい女性の特徴、食道がんの検査方法・治療法などを詳しく解説します

食道がんの知識を深めることは、予防にもつながります。ぜひ参考にしてみてください。

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食道がんとは?

食道がんとは、主に食道を覆う粘膜(扁平上皮)から発症するがんです。

がんが粘膜内に留まっている状態を「早期食道がん」、粘膜下層まで浸潤しているものを「食道表在がん」と呼びます。

飲酒・喫煙のほか、逆流性食道炎や食道の慢性的な炎症が食道がんの危険因子です。

50歳を過ぎると男女ともに罹患リスクが上昇し、70歳で発症のピークを迎えます。※2

はじめに、食道の構造・働きや、食道がんの種類を解説します。

食道の構造・働き

食道とは、喉(咽頭)と胃をつなぐ、長さ約25cmの管状の臓器です。

飲食物を口から胃に送る大切な役割を担っており、生命維持に重要な心臓、大血管、気管、肺などの臓器に接しています

食道の構造は、下記のとおりです。

  • 頸部食道
  • 胸部食道
  • 腹部食道

食道の入り口から胸骨上縁までの約3~5cmの範囲を、頸部食道といいます。頸部食道は、飲食物が気管に入らないよう防いでいます。

胸部食道の場所は、頸部食道の下から横隔膜までの約20cmです。食道のなかで最も長く、上部・中部・下部にわけられます。横隔膜の下から胃の入り口までを腹部食道といいます。

食道がんの種類

食道がんには、下記の2つのタイプがあります。

  • 扁平上皮がん
  • 腺がん

扁平上皮がんは、食道の粘膜を構成する扁平上皮に発症するがんです。日本人の約90%は扁平上皮がんといわれています。※3

腺がんは、粘膜を分泌する食道腺の細胞ががん化したものです。胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎」を背景に発症し、欧米では食道がんの半数以上を占めていますが、日本の発症率は全体の7%程度です。※4※5

食道がんは、発症した場所により下記の3つに分類されます。

  • 頸部食道がん
  • 胸部食道がん
  • 腹部食道がん

頸部食道がんの発症頻度は、約5%と比較的稀な病気です。※6

胸部食道がんは、食道がん全体の7~8割を占めています。最も多い発症部位は、胸部中部食道の46.5%です。次いで、胸部下部食道が28.2%、胸部上部食道が12.1%です。※7

腹部食道がんは、胃との境目に発症するため「食道胃接合部がん」と呼ばれる場合もあります。発生頻度は8.5%程度です。※8

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食道がんになる女性は多い?

2019年に、食道がんと診断された女性は4,663人です。一生のうち、192人に1人の女性が食道がんになる可能性があるといわれています。※9※10

決して多い数値ではありませんが、20年前(1999年)と比べると約2倍に増えており、近年も緩やかに増加気味であることから、注意が必要です。※11

ここからは、食道がんの男女別罹患数・死亡数をはじめ、発症リスクが高い年齢、食道がんの5年生存率を紹介します。

罹患数・死亡数は圧倒的に男性が多い

食道がんの罹患数・死亡数は、下記のとおりです。

罹患数死亡数
男性21,719人8,978人
女性4,663人2,003人
※2019年(参考:国立がん研究センター がん統計|食道

罹患数・死亡数ともに男性が圧倒的に多く、男性の43人に1人が食道がんと診断されるリスクがあり、102人に1人が食道がんで命を落としています。※12

下記は、食道がんの罹患率の年次推移です。

2016年2017年2018年2019年
男性34.7%34.3%34.7%35.4%
女性6.8%6.7%7.0%7.2%
※2016~2019年(参考:国立がん研究センター がん統計|集計表

男性の罹患率は横ばい、女性は緩やかな増加傾向にあることがわかります。

死亡率に関しては、近年男女ともに増えており、高齢化や生活習慣の影響が考えられます。

50代から急激に増え始める

食道がんの発症ピークは60~70歳代で、全体の約74%を占めています。※13

しかし、急激に増え始める年齢層は、男女ともに50歳代です。

下記は、年齢別の罹患数です。

40~49歳50~59歳60~69歳70~79歳
男性354人1,859人6,103人9,003人
女性187人538人1,132人1,524人
※2019年(参考:国立がん研究センター がん統計|集計表

50歳代から増加する理由は、飲酒、喫煙、生活習慣などの危険因子をもっている方の割合が高くなることが考えられます。

また、逆流性食道炎になりやすい年齢層と同じであることも、理由の一つといえます。※14

食道がんの5年生存率

食道がんの5年生存率は、41.5%(男性:40.6%、女性45.9%)です。※15

下記は、ステージ別の5年生存率です。

ステージ0ステージⅠステージⅡステージⅢステージⅣ
5年生存率88.6%79.5%52.9%29.2%11.4%
(参考:日本食道癌総合登録|臨床病期別生存率(図7)全がん協加盟施設の生存率協同調査|全がん協生存率

食道がんのステージ0は、がんが食道の粘膜内に留まっている状態です。食道を温存できるケースが多く、5年生存率は88.6%にも上ります。

一方、ステージⅣの場合、がんは食道外層まで広がり、肺や気管、大動脈などの周囲臓器に転移しているため、5年生存率は11.4%と低い数値です

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食道がんになりやすい女性とは?

ここからは、食道がんの原因や食道がんになりやすい女性の特徴を紹介します。

食道がんにならないためには、リスク要因を減らすことが大切です。ぜひ参考にしてみてください。

主な原因は生活習慣

食道がんの発症は、下記の生活習慣に深く関係しています。

  • 飲酒・喫煙
  • 熱いものや辛いもの
  • 野菜や果物の摂取量
  • 運動不足

アルコールの飲酒量が多い方は、お酒を飲まない方と比べて約4.6倍、食道がんのリスクが上がることがわかっています。※16

また、非喫煙者と比較すると、現在喫煙している方のリスクは3.7倍、過去に喫煙していた方のリスクは3.3倍に増加し、喫煙指数が高ければ高いほどリスクが上昇します。※17

熱い飲み物・食べ物は、食道の細胞を傷つけてがん化させる恐れがあるため、控えることが大切です。辛いものも同様に、食道に刺激を与えます。

野菜や果物の摂取、身体活動量は、食道がんのみならず、すべてのがんのリスクを下げる効果があります。

普段、野菜や果物を食べない方、運動不足の方は、がん予防の観点からリスクが高いといえるでしょう。

食道がんになりやすい女性の特徴

ここで、食道がんになりやすい女性の特徴を紹介します。

  • タバコを吸う
  • 飲酒量が多い
  • お酒を飲むと顔が赤くなる
  • 頭頚部がんの既存歴がある
  • 食道に疾患をもっている

自身がタバコを吸う方のみならず、受動喫煙にさらされる環境にある方も、食道がんになりやすいといえます。

食道がんは、アルコール摂取量が多いほどリスクが上昇します。1日あたり約20gのアルコールを摂取した方に対し、40g以上摂取した方の発症リスクは4.6倍です。※

とくに、顔が赤くなる体質の方はアルコールを分解する能力が弱く、体内に発がん性物質であるアセトアルデヒドが蓄積しやすいため、注意が必要です。

また、頭頚部(鼻・副鼻腔、口腔・咽頭・喉頭、唾液腺、甲状腺)に発症したがんは、食道がんを誘発する場合があります。既存歴がある方は、定期健診の受診が重要です。

そのほか、逆流性食道炎、食道アカラシア、パレット食道、腐食性食道炎などの疾患も、食道がんに無関係ではありません。定期的に食道がんの検査を受けましょう。

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食道3がんの初期症状は?

食道がんは、早期発見が非常に重要であり、体の異変を感じた際は直ちに検査を受けることが大切です。

ここからは、食道がんの初期症状と進行した場合に現れる症状を紹介します。

初期はほぼ症状がない

多くの場合、初期の食道がんの自覚症状はありません。検診や人間ドック、内視鏡検査、バリウム検査などをきっかけに、発見されるケースが多いです。

稀に、食事の際の違和感や胸やけなどで医療機関を受診したときに、食道がんが見つかることもあります

進行した場合に現れる症状

食道がんが進行した場合、下記の症状が現れます。

  • 胸の違和感
  • 飲食物のつかえ感
  • 体重減少
  • 胸や背中の痛み
  • 咳・声のかすれ

胸の違和感は、比較的早期の段階で現れるケースが多く、食道がんの早期発見のためにはサインを見逃さないことが重要です。

飲食物を飲み込む際に、胸の奥がチクチク痛む、熱いものがしみるなど、胸の違和感がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう

がんが大きくなると、食道内が狭まるため飲食物のつかえ感が生じます。飲み込みづらくなるため、自然と食事の摂取量が減り、体重減少につながります。

食道のがんが肺・背骨・大動脈に広がると、胸の奥や背中に痛みが生じ、また、気管・気管支・喉頭に転移すると、咳が出る、声がかすれるなどの症状が現れます。

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食道がんの検査方法・治療法

ここからは、食道がんの診断に必要な検査方法と、ステージやがんの状態別の治療法を解説します。

食道がんのリスクが高い方は、万が一に備えて知識を深めておきましょう。

検査方法

食道がんの確定診断や病期判定には、下記の検査が用いられます。

  • 上部消化管内視鏡検査
  • 上部消化管造影検査
  • 超音波内視鏡検査
  • CT検査・MRI検査

上部消化管内視鏡検査は、いわゆる胃カメラ検査です。鼻や口から挿入したカメラで食道の粘膜を直接観察し、病変の組織を採取して生検をおこない確定診断につなげます。

一方、上部消化管造影検査は、バリウムが食道を通過する様子をX線で撮影し、食道はもちろん、胃や十二指腸の状態も調べることが可能です。

超音波内視鏡検査とは、内視鏡の先端に超音波(エコー)を発する装置をつけて、食道の内壁・外壁を詳しく調べる手法です。

がんの浸潤程度や広がり具合、リンパ筋への転移の有無が把握できるため、食道がんの病期判定に役立ちます。

CT検査・MRI検査は、X線や磁気を利用して体の内部の断面を画像化する検査です。

がんの深さやリンパ筋への広がり、肺、肝臓などへの転移を調べ、食道がんの進行度を判定します。

治療法

食道がんには、主に4つの治療法があります。

  • 内視鏡的治療
  • 手術
  • 化学放射線療法
  • 薬物療法

治療法は、ステージや全身状態、切除可能・不可能により異なります。

がんが粘膜内に留まっており、がんの大きさが5cm以下のステージ0の場合、食道を温存できる内視鏡的治療が可能です。

がんのサイズ、茎やくびれの有無により、ポリペクトミー、EMR(粘膜切除術)、ESD(粘膜下層剥離術)を検討します。

ステージⅠは、手術が推奨されていますが、体の状態により化学放射線療法を選択します。化学放射線療法とは、抗がん剤による治療と放射線治療を併用する手法です。

ステージⅡ・Ⅲは、抗がん剤でがんを小さくしてから手術をおこないます。

体の状態が悪く、手術ができないと判断された場合は化学放射線療法を、年齢や臓器機能により抗がん剤が使用できないときは、単独で放射線治療を実施します。

ステージⅣは、手術によるがんの切除が不可能であり、ほかの臓器への転移がみられることから化学放射線療法の選択が不可欠です。

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マイクロCTC検査で全身のがんを早期発見

マイクロCTC検査は、食道がんをはじめとする、全身のがんの早期発見に有効な血液検査です。

1回5分の採血のみで、従来の検査では発見が難しいサイズのがん細胞を検出し、リスクを明確にします

ここからは、マイクロCTC検査の概要・魅力を紹介します。

早期発見できれば生存率は大幅に上昇

多くの場合、がんは早期発見できれば、大幅に生存率が上昇します。また、身体的・精神的・経済的な負担が少ない治療法の選択も可能です。

がんの早期発見には、マイクロCTC検査がおすすめです。マイクロCTC検査は、血液がんを除くすべてのがんリスクが早期に判明します

ほぼ全身のがんがわかる検査と聞くと、PET検査を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、PET検査には苦手とする部位やケースがあり、食道がんの発見は困難です。

マイクロCTC検査は、従来の検査では発見できない小さながんや、画像に写りにくい部位の早期発見に役立ちます。

検査は1回5分の採血のみで短時間

がん検診や人間ドックは、検査に半日~1日程度かかりますが、マイクロCTC検査の場合、1回5分の採血のみで終了します。

  • 仕事・家事の合間に検査を受けたい方
  • 通勤・買い物の途中に受診したい方

上記の方におすすめです。自身の都合がよいタイミングで検査が受けられます。

また、検査時の苦痛はなく、事前準備や食事制限、検査着への着替えなども不要です。

過去の検査で嫌な思いをした方はもちろん、気軽・手軽にがんリスク検査を受けたい方は、マイクロCTC検査を活用しましょう

全国の提携クリニックで検査が可能

マイクロCTC検査は、全国に提携クリニックがあります。※18

検査を受けるために、遠方の医療機関や待ち時間が長い大きな病院へいく必要はありません。

住居地や勤務先に近いクリニックが選べ、スピーディーに検査が受けられることも、マイクロCTC検査の魅力の一つです。

各地のクリニックで採取した血液検体は、国内の自社検査センターに送られるため、引っ越し・転勤などで住居地が変更になった際も、同様の精度の検査が受けられます

また、マイクロCTC検査は、アフターフォローにも力を入れています。

検査でがん細胞が検出された方には、マイクロCTC検査先進医療研究所所長および、代々木ウィルクリニックの院長である太田医師による、無料相談が受けられ、オンライン面談も可能です。

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女性の食道がんに関するよくある質問

最後に、女性の食道がんに関する質問を紹介します。

より食道がんの知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

げっぷは食道がんの初期症状?

げっぷは、食事や生活習慣などの影響を受けて出る場合が多いです。しかし、食道がんが原因でげっぷが出やすくなることもあります。

がんにより食道内壁が硬くなると、胃の内容物やガスが食道に逆流するため、とくに食後や就寝時にげっぷが増えた場合は、食道がんが疑われます

また、1日10回以上げっぷが出る、会話中にもげっぷが出るなどの場合は、食道がん以外の下記の病気が隠れている可能性があるでしょう。

  • 逆流性食道炎
  • 空気嚥下症
  • 食道裂孔ヘルニア
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍

げっぷは生理現象と軽く考えずに、医療機関に相談しましょう。

食道がんに罹患した女性芸能人は?

女優の秋野暢子さんは、65歳のときにステージⅢの頸部食道がんと診断されました。

秋野さんは喉に違和感を覚え、人間ドックや内視鏡検査、腫瘍マーカー検査を受けたそうですが、異常は見つからず、当時の診断結果は逆流性食道炎でした。

喉の違和感から半年後、再び内視鏡検査を受けて頸部食道に複数のがんが見つかり、4か月半に及ぶ闘病生活を乗り越えて、現在は仕事に復帰しています

男性では、歌手の桑田佳祐さんや野口五郎さんが、食道がんに罹患した経験があります。

30代女性でも食道がんになる?

食道がんは、50歳以降の男性に多いがんです。しかし、30代の女性が発症する可能性も否定できません

2016年では30代女性の罹患数は15人でしたが、2019年には2倍の30人まで増えています。※19

増加した原因は、主に飲酒と喫煙です。週3回以上飲酒する女性は、30~70歳代の幅広い年齢層で増大しており、女性の喫煙率は横ばいです。※20※21

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まとめ

本記事では、食道がんの概要・原因・検査方法・治療法を中心に、初期の症状や進行した場合の症状、食道がんになりやすい女性の特徴などを解説しました。

食道がんは、50歳以降の男性に多いがんですが、近年、女性の罹患率も緩やかに上昇しています。

食道がんの原因は、飲酒や喫煙をはじめとする生活習慣です。また、逆流性食道炎や慢性的な食道の炎症にも深く関係しているといわれています。

進行した場合、リンパ筋、肺、肝臓、気管、大動脈などに転移するため、5年生存率は著しく低下します。

しかし、食道がんの初期は無症状なケースが多く、早期発見・早期治療は容易ではありません。

食道がんをはじめ、全身のがんの早期発見には、マイクロCTC検査がおすすめです。

マイクロCTC検査は、従来の検査では見つけにくい部位・大きさのがん細胞を、直接捉えて個数までも明示し、全身のがんリスクを判定します。

検査は1回5分と非常に短時間であり、また、全国の提携クリニックで導入していることから、仕事・家事・プライベートなどに忙しい方でも気軽に受けられます

マイクロCTC検査を活用し、定期的に自身のがんリスクを把握しましょう。

〈参考サイト〉
※1、※11、※13、※20:国立がん研究センター がん統計|集計表
※2、※9、※15:国立がん研究センター がん統計|食道
※3、※4:国立がん研究センター がん統計|食道がんについて
※5:がん研有明病院 がんに関する情報|食道がん
※6:日本食道学会|食道がんの治療
※7、※8:日本食道学会|食道がんの疫学・現状・危険因子
※10、※12:国立がん研究センター がん統計|最新がん統計
※14:東大沢整形外科内科リハビリテーションクリニック|逆流性食道炎
※16、※17:国立がん研究センター|飲酒と食道がんの発生率との関係について
※18:マイクロCTC検査|クリニック一覧
※20:e-ヘルスネット(厚生労働省)|わが国の飲酒パターンとアルコール関連問題の推移
※21:国立がん研究センター|たばこを吸う人の割合と禁煙目標

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