肝臓がんの進行スピードは他のがんより速い?影響を与える要因や検査方法を解説

肝臓がんは、日本人の男性の約30人に1人、女性の約70人に1人が罹患する国民病ですが、初期の自覚症状がほぼないため、診断が遅れるケースは少なくありません。※1

自身や家族に肝臓がんが疑われる場合、がんの進行スピードや詳しい検査方法、有効な治療法などを知りたい方も多いでしょう。

本記事では、肝臓がんの概要や進行スピード、肝臓がんに関するよくある質問を詳しく解説します。肝臓がんの知識を深めて、早期発見・早期治療につなげましょう。

肝臓がんとは?

肝臓がん(肝がん)とは、肝臓にできるがんです。肝臓から発生する原発性肝がんと、他の臓器から転移する転移性肝がんがあります。

肝臓がんに特有の症状はなく、初期の場合、身体の異変も起こりにくいことから、発見したときにはすでに進行しているケースも少なくありません。

部位別がん統計によると、肝臓がんの死亡数は、肺がん、大腸がん、胃がん、腎臓がんに続いて5番目に多く、毎年約25,000人の方が亡くなっています。※2

しかし、肝臓は再生能力に優れているため、早期に適切な治療をおこなえば、がんの根治が可能です。

次章では、肝臓の特徴をはじめ、肝臓がんの初期の自覚症状や再発について詳しく解説します。

肝臓は最も大きな臓器で再生可能

肝臓は、体内で最も大きな臓器であり、体重の50分の1ほどで、重さは1~1.5kgといわれています。※3

消化管の血液を集める「門脈」、肝臓に栄養や酸素を送る「肝動脈」、血液を心臓に送る「肝静脈」の3つの太い血管により、体内の血液の4分の1が集まります。※4

肝臓は、高い再生能力を持つ唯一の臓器です。

切り取った場合でも、1週間ほどで元の大きさの90%ほどまで戻ります。また、1回のダメージのみならず、何度でも再生を繰り返し、機能を回復する能力を持っています。※5

初期の自覚症状はほぼない

肝臓は、全機能の約80%が低下している状態でも働きつづけるため、症状が現れにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。

肝臓がんにおいても初期の自覚症状がほぼないため、定期的な検診や他の病気の検査をした際に発見されるケースが多いです。

肝臓がんが進行した場合、腹部のしこり・痛み・圧迫感が現れ、著しく肝機能が低下すると、黄疸をはじめ、腹水・むくみ、倦怠感などの症状が伴います。

再発率が高い

肝臓がんは、再発率が高いことが特徴です。

外科手術によりがんを切除した場合でも、1年以内に再発する割合は25~30%と高く、5年の再発率は約80%にも上ります。※6※7

再発の90%以上は、肝臓内で起こる肝内転移です。※8

取り残したがん細胞が、血管を介して肝臓内に転移するケースや、完全にがんを切除した場合でも、肝機能障がいが改善されず、がんが再発するケースがあります。

また、肺やリンパ節、副腎、脳、骨などへ転移する可能性もゼロではありません。

肝臓がんの種類

肝臓がんには、おもに3つの種類があります。

  • 肝細胞がん
  • 胆管細胞がん
  • 転移性肝がん

次章で、それぞれのがん種について詳しく解説します。

肝細胞がん

肝細胞がんとは、肝臓のおもな細胞である肝細胞のがんです。全肝臓がんの90%を占めているため、一般的に肝臓がんは「肝細胞がん」を指します。※9

肝細胞がんの発症の80%以上は、ウイルス感染(B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス)です。※10

また、アルコール性肝障がいや脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変も、肝細胞がんの発症に深く関係しているといわれています。

肝細胞がんの治療は、肝切除、穿刺局所療法、塞栓療法、薬物療法など多岐にわたり、病状次第で放射線治療や肝移植をおこなうことも可能です。

治療法は、がんの進行程度と肝臓の機能を評価する肝予備能を考慮したうえで決定します。

胆管細胞がん

胆管細胞がんとは、肝臓のなかの胆汁の管である「胆管」に生じるがんです。

「原発性肝がん」の一種で、発生頻度は約5%と低いがんですが、近年増加傾向にあるといわれています。※11

胆管細胞がんの原因は、未だ明らかになっていません。肝炎ウイルス感染が関係している場合もありますが、基本的に正常な肝臓に発生するケースが多いです。

初期の症状が出にくく、進行すると黄疸や右脇腹の痛み、体重減少などが現れる場合があります。

胆管細胞がんの治療は、がんを取り除く手術が最も有効です。

手術が困難な場合は、がんの進行度や身体の状態を考慮したうえで、痛み・症状の緩和を目的として薬物療法や放射線治療、胆道ドレナージをおこなう場合があります。

転移性肝がん

転移性肝がんとは、肝臓以外の臓器に発生したがんが進行し、血液の流れに乗り、肝臓に転移したがんです。

おもに、胃がん、大腸がん、膵臓がんなどの消化器がんから転移し、肺がん、卵巣がん、乳がん、腎臓がんから転移する場合もあります

大腸がんの転移性肝がんに対しては、手術による切除が可能です。がんの数が多い、またはがんのサイズが大きい場合は、薬物療法を併用します。

肺がんをはじめ、その他の臓器から転移した肝がんは手術が困難なケースが多く、薬物療法を中心におこないます。

肝臓がんの進行スピードは速い?

肝臓がんは、初期の自覚症状がほぼないため、進行してから発見されるケースが多いです。

ここからは、肝臓がんの進行スピードやステージ別の症状を詳しく解説します。

他のがんより速い

肝臓がんは、他のがんに比べて進行スピードが速いと感じる方は少なくありません

がんは、病期(ステージ)が進むほど、進行スピードが加速する傾向にあります。

多くの場合、肝臓がんの初期は、身体の不調や異変などの自覚症状がありません。

そのため、がんを発見したときには、すでに病期が進んでいるケースが多く、進行スピードが速いと感じるといわれています。

進行スピードの要因

肝臓がんの進行スピードは、下記の要因により異なります。

がんの種類

肝臓にがんが発症する原発性肝がんは、他の臓器からの転移性肝がんより、進行スピードが速いといわれています。

肝臓の機能や健康状態

肝臓の機能や健康状態は、肝臓がんの進行スピードに影響します。とくに、肝臓がんの原因になる慢性肝炎や肝硬変などで肝機能が低下している場合は、進行スピードが加速します。

身体の免疫力

免疫力が低下している場合、体内のがん細胞が増殖し、がんの進行スピードを速めます

肝臓がんのステージ

がんは、がんの深さ・広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無など、国際的な基準「TNM分類」によりステージが決まります。

肝臓がんのみならず、すべてのがん種は、ステージが進むにつれて進行スピードが速まる傾向にあります

ステージ別の症状

肝臓がんのステージ別の症状は、下記のとおりです。

病期状態症状
ステージ1・腫瘍は1つで2cm以下・脈管に広がっていない基本的に無症状。疲労感や食欲不振を感じる場合もある。
ステージ2・腫瘍が1つ、または2cm以下・脈管に広がっていない右上腹部に痛み、食欲不振が生じる。
ステージ3・腫瘍が1つ、または2cm以下・脈管に広がっている腹部の痛み、体重減少、黄疸が生じる。
ステージ4・腫瘍が複数であり、2cm以上・脈管に広がっている激しい腹部の痛みや膨張、疲労感、黄疸が生じ、稀に意識障がいが起こる。

また、リンパ節や他の臓器への遠隔転移の有無でも、現れる症状は異なります。

肝臓がんの検査方法

肝臓がんの検査方法は、下記のとおりです。

  • 超音波検査
  • 腫瘍マーカー検査
  • CT・MRI検査

次章では、検査内容を詳しく解説します。

超音波検査

超音波検査は、腹部に超音波を発する器具をあて、臓器で反射した超音波の様子を画像化する検査です。

検査による身体的な負担や副作用が少ないため、繰り返しおこなうことが可能です。

肝臓の形や状態を観察し、がんの位置・大きさ・個数・広がりや、腹水の有無を調べられます。

画像上で観察しにくい場所や、皮下脂肪が厚い場合は、十分に検査ができないことがあるため、CTやMRIと併用しておこないます。

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査とは、がんの診断の補助や診断後の経過、治療効果の確認を目的とした血液検査です。

肝臓がんを調べる際は、血液中のAFP(アルファ・フェトプロテイン)やPIVKA-Ⅱ(ピブカ・ツー)、AFP-L3分画(AFPレクチン分画)を測定し、評価します。

がんが小さい場合、2種類以上の腫瘍マーカー検査が推奨されています。

腫瘍マーカー検査のみでは、がんの確定診断はできません。多くの場合、画像診断を併用し、確定診断につなげます。

また、肝臓がんの治療方針を決定するうえで、肝機能を調べるために腫瘍マーカー検査をおこなうケースもあります。

CT・MRI検査

CT・MRI検査は、がんの性質や分布、他の臓器への転移や広がりを調べる画像検査です。ともに、造影剤を使用します。

CT検査では、X線で身体の断面を映像化し、腹部全体の状態を観察します。検査時間は10~15分程度であり、苦痛を感じることは少ないでしょう。

しかし、被ばくによるダメージはゼロではありません。

MRI検査は、強力な磁力と電磁波を使用し、身体の内部の断面をさまざまな方向から画像化する検査です。

X線による被ばくの心配はありませんが、体内に金属類が入っている方や閉所恐怖症の方は検査ができない場合があります。

マイクロCTC検査で全身のがんリスクを診断

マイクロCTC検査は、全身のがんリスクを診断する先進的な検査です。

従来の検査と比べて、がんの早期発見につながる可能性が高いため、とくに初期の自覚症状が乏しい肝臓がんの発見に役立ちます

また、身体の負担が少なく、事前の準備や副作用の心配も一切不要なことから、忙しい方でも気軽に受けられる点も、マイクロCTC検査の魅力です。

ここからは、マイクロCTC検査の概要を紹介します。

検査方法は1回の採血のみ

マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかる血液検査です。

増殖の過程で血中に漏れ出した、悪性のがん細胞のみを直接捉えて、個数までも明示します

従来の画像検査では発見が難しい、1cm未満のがんを発見できるため、がんの早期発見・早期治療に大変有効です。

また、従来のスクリーニング検査と比べて正確性に優れていることも、マイクロCTC検査の特徴です。

がん細胞の検出において、特異度94.45%と非常に高い精度を誇る「CSV(細胞表面ビメンチン)」抗体を使用しています。※12

陽性判定の場合、がん細胞が体内に潜んでいる可能性が高いため、医療機関を受診するきっかけになるでしょう。

マイクロCTC検査をおすすめできる方

マイクロCTC検査は、下記に該当する方におすすめです。

忙しくがん検診を受ける時間がない方

仕事や家事が忙しく、がん検診を受診する時間がない方には、マイクロCTC検査がおすすめです。マイクロCTC検査は、1回5分で全身のがんリスク検査が可能です。

検査着に着替える必要がないため、混雑状況にもよりますが、医療機関での滞在時間は30分ほどでしょう。

痛みや苦しさが伴う検査が苦手な方

がん検診には、胃のバリウム検査や内視鏡検査、乳腺を圧迫するマンモグラフィなど、苦痛が伴う検査があります。

苦痛が苦手だからと検査を後回しにしていると、がんが進行するケースも少なくありません

マイクロCTC検査は、採血時にチクっとする痛みがある程度です。痛み・苦しさが苦手で、がん検診を受診していない方は、マイクロCTC検査を活用しましょう。

また、医療被ばくや副作用が一切ないことも、マイクロCTC検査の特徴です。

検査前の食事制限や準備が面倒な方

CT検査を受ける際は、約3時間前から、PET検査の場合は、約6時間前から絶食が必要です。また、がん検診には、自宅で痰、尿、便を採取する事前準備が必要な場合もあります。

マイクロCTC検査は、食事制限や事前準備は不要です。マイクロCTC公式サイトから近隣のクリニックを選び、予約して当日受診するのみです。

肝臓がんに関するよくある質問

最後に、肝臓がんに関するよくある質問を紹介します。

  • 5年生存率
  • 治療法
  • 光免疫療法

次章では、それぞれの質問に回答します。同じ疑問を抱いている方は、ぜひ参考にしてみてください。

5年生存率は?

肝臓がんの5年生存率は35.8%と、全がんの5年相対生存率68.4%と比べて低い値です。※13※14

ステージ別では、ステージ1で64%、ステージ2で40.8%、ステージ3で15.2%、ステージ4では3.7%まで落ち込みます。※15

肝臓がんは、初期段階の発見が難しく、また、再発率が高いことから、早期発見と治療後の経過観察が非常に重要です。

治療法は?

肝臓がんのおもな治療法は、下記のとおりです。

肝切除

肝臓のがんと周辺組織を切り除く治療法です。がんの大きさに制限はなく、10cm以上の大きながんの切除も可能です。腹水がある場合は、肝切除は選択できません。

穿刺局所療法

ラジオ波焼灼療法(RFA)と呼ばれる、腹部の皮膚から針をがんに刺す局所的な治療法で、肝切除に比べて身体の負担が少ないことが特徴です。

がんが3cm以下・3個以下の場合、おこなわれます。

塞栓療法

X線を使用し、肝動脈までカテーテルを入れておこなう治療法で、肝動脈化学塞栓療法(TACE)と肝動脈塞栓療法(TAE)があります。手術が困難な場合に選択します

薬物療法

肝切除、穿刺局所療法、塞栓療法が難しい、進行性のがんに対しておこなう治療法です。身体の状態に応じて、複数の薬物を用いる場合があります。

光免疫療法とは?

光免疫療法とは、がん細胞をピンポイントに攻撃する治療法です。がん細胞のみに付着し、光に反応する薬剤を投与したあと、光を照射してがん細胞を破壊します。

薬物療法や放射線療法と異なり、正常な細胞にダメージを与えることなく、がんの治療が可能です。

また、光免疫療法により破壊したがん細胞は、がんに対する特有の物質(がん抗原)をばら撒くため、同じがん細胞に対する免疫が活性化するメリットもあります。

しかし、光免疫療法の対象は「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」に限られているため、すべてのがん治療に有効ではありません。

まとめ

本記事では、肝臓がんの概要・種類・進行スピードをはじめ、検査方法やよくある質問について解説しました。

肝臓がんの発症には、B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスの持続感染や、生活習慣による慢性的な肝臓の炎症・肝硬変が深く関係しています

肝臓は、再生能力に優れた臓器であるため、何度でも回復が可能ですが、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど異常を感じにくく、初期の自覚症状はほぼありません。

そのため、肝臓がんは発見したときにはがんが進行しているケースが多く、また、再発率も高いことから5年生存率が著しく低いです。

肝臓がんをいち早く発見するためには、マイクロCTC検査がおすすめです。

マイクロCTC検査は、従来の画像検査より早期に全身のがんリスクがわかります。

1回5分の採血のみで検査が終了するため、仕事やプライベートを優先しながらでも全身のがんリスクを調べられます。

肝臓がんをはじめ、がんの早期発見・早期治療につなげるために、定期的にマイクロCTC検査を受けましょう。

※本記事の情報は2024年5月時点のものです。

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〈参考サイト〉
※1:国立がん研究センター|がん統計
※2、※13:国立がん研究センター|がん統計 肝臓
※3、※5、※6:がんプラス|肝臓がんの治療方針、治療の特徴は?
※4:よくわかる!肝機能ナビ|肝臓の数値の意味がわかるサイト
※7:がんナビ|肝がんとともに
※8:国立がん研究センター|がん情報サービス 肝臓がん(肝細胞がん)
※9:信州大学 医学部外科学教室|肝がん 肝胆膵疾患
※10:国立がん研究センター 東病院|肝細胞がん
※11:国立がん研究センター 東病院|肝内胆管がん(胆管細胞がん)
※12:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査
※14:国立がん研究センター|全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について
※15:全がん協生存率|全がん協加盟施設の生存率協同調査

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