肺がんの原因は喫煙のみ?タバコ以外のリスク要因や女性特有の危険因子を解説

肺がんが、がんのなかでも特に「恐いがん」といわれるのは、最も死亡率が高いがんであり、なおかつ罹患率が大腸がんに次いで高いからです。

これだけ恐い病気でありながら「肺がんの原因は喫煙」と単純に理解している人が少なくないようです。肺がんの原因は、タバコ以外にもあります。

そこでこの記事では、肺がんのリスク要因を紹介するとともに、女性特有の危険因子についても解説していきます

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肺がんとは?

まずは肺がんの正体を明らかにしていきましょう。

肺は、酸素を体に取り入れて、体のなかの二酸化炭素を排出する、ガス交換の役割を担っています。人はガス交換をしないと生存できないので肺はとても重要な臓器です。

肺がんは、ガス交換をする場所である肺胞や、酸素や二酸化炭素の通り道である気管支の細胞ががん化する病気です。がん化とは、遺伝子の変化によって無制限に増える細胞になる現象です。

男女ともに死亡率の高いがん

もし、肺がんは男性に多い病気、と思っていたら、その印象は半分正しく、半分間違っています。肺がんによる死亡率は、男性は1位ですが、女性でも2番目となっていて男女ともに死亡率が高いがん、といえるからです。

2022年のデータによると、がん死亡率(がん死亡リスク)の高い順番は以下のとおりです。

■男性のがん死亡率上位5つ(何人に1人か)

1)肺がん:17人に1人

2)大腸がん:32人に1人

3)胃がん:34人に1人

4)すい臓がん:46人に1人

5)結腸がん:49人に1人

■女性のがん死亡率上位5つ(何人に1人か)

1)大腸がん:38人に1人

2)肺がん:41人に1人

3)すい臓がん:47人に1人

4)結腸がん:50人に1人

5)乳房がん:57人に1人

なお、すべてのがんについてみると、その死亡率は男性は4人に1人、女性は6人に1人となっていて、男性のほうが高いことがわかります。

肺がんの主な症状

肺がんの症状は、一般的な呼吸器の病気でみられる症状と、それ以外の症状にわかれます。

■肺がんの症状

  • 一般的な呼吸器の病気と同じ症状:咳、痰、血痰、胸の痛み、動いたときの息苦しさ、発熱)
  • 一般的な呼吸器の病気ではみられず、肺がんの場合にみられる症状:頭痛、ふらつき、麻痺、肩の痛み、背中の痛み、声のかすれ、顔のむくみ

肺がんの初期症状は、上記の一般的な呼吸器の病気と同じものになるのですが、症状がない場合もあります。そのため、症状がなくても肺がん検査が必要になるわけです。

初期症状で顕著なのは咳と痰で、風邪でもないのに咳と痰が2週間以上続いたら、医療機関を受診したほうがよいとされています。血痰が出た場合はすぐにでも受診してください。

一般的な呼吸器の病気ではみられず、肺がんの場合にみられる症状は、これだけでは「肺がんかもしれない」と思うことはできないでしょう。このことからも肺がん検診の重要性がわかります。

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肺がんの原因とは?

肺がんの原因について、喫煙と喫煙以外にわけて解説します。まずは喫煙についてですが、やはり肺がんリスクを最も高めるのはタバコです。

一番の原因は喫煙

喫煙による肺がんリスクは、タバコを吸わない人より、男性で4.4倍、女性で2.8倍にもなります。肺がんの一番の原因は喫煙、といえるでしょう。

喫煙が肺がんの原因になるのは、タバコの煙に発がん物質などの有害物質が多く含まれているからです。タバコの煙は、肺がんが発生する肺胞や気管支に触れるので、肺がんが発生してしまうのです。

がん細胞は、通常の細胞のなかの遺伝子が傷つくことによって生じます。タバコのなかの発がん物質が遺伝子を傷つけることで、がん細胞が生まれてしまいます。

受動喫煙もリスク要因

肺がんのリスクは自分がタバコを吸わなくても、周囲の人が喫煙しているとその煙を吸うことで高くなってしまいます。これを受動喫煙といいます。

喫煙者は、周囲の人に受動喫煙をさせないためにも禁煙しなければなりませんし、周囲の人は自分が受動喫煙しないためにも、喫煙者に禁煙をすすめたほうがよいわけです。

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喫煙で肺がんリスクが高くなる原因

喫煙が肺がんリスクを高めるメカニズムをさらに詳しく解説します。ここでは次の4つの原因をみていきます。

■喫煙で肺がんリスクが高くなる4つの原因

  • 遺伝子の損傷
  • 炎症と酸化
  • せん毛の働きの低下
  • 免疫力が弱まる

一つずつ確認していきます。

遺伝子が損傷する

タバコに含まれる発がん物質が細胞の遺伝子を傷つけることで、がん細胞が生じるわけですが、ではなぜ傷がつくとがん細胞になるのでしょうか。実はがん細胞は、がん患者さんではない人も持っています。

通常の細胞は、コピーされることで増えていきます。これが成長です。さらに通常の細胞が死滅しても、コピーされた細胞が存在するので臓器や組織は存続し続けることができます。

問題となるのが、コピーミスです。つまり、通常の細胞とは異なる細胞が生まれてしまうのですが、これががん細胞です。がん細胞は、健康な人でも1日5,000個ほど生まれているとされています。

「がん細胞が体内にあること」と「病気としてのがんが発症すること」は異なる現象です。

ではなぜ健康な人は1日5,000個のがん細胞が生まれても、病気としてのがんを発症しないのでしょうか。

健康な人ががん細胞を持っていても、免疫機能ががん細胞を攻撃したり、がん細胞がアポトーシス(計画的な細胞死)を経て自然に消滅したりするので、病気としてのがんになりません。

したがって、免疫機能が弱まったり、アポトーシスが正常に働かずにがん細胞が生き残ったり増殖したりすると、がん細胞が無制限に増殖し腫瘍(かたまり)を形成します。腫瘍には良性と悪性があり、悪性腫瘍をがんと呼びます。

炎症・酸化を引き起こす

喫煙が炎症や酸化を引き起こすことも、肺がんの原因になりえます。炎症と酸化も遺伝子を傷つけることがあるので「喫煙→炎症・酸化→遺伝子の損傷→がん化」という順番でがんが発症します。

炎症とは、体内に侵入した異物などに対する防御反応で、症状としては赤み、腫れ、痛みが出るでしょう。タバコの煙にはニコチンやタール、一酸化炭素、重金属といった、自分の体にとっての異物が含まれているので炎症が起きるわけです。

タバコの煙には活性酸素や酸化物質が含まれており、これにより体内が酸化しやすくなります。人の体には酸化に対抗する抗酸化防御機能がありますが、その機能を超えて酸化が進行すると、酸化ストレスと呼ばれる状態に陥ります。この酸化ストレスが細胞の遺伝子を損傷し、がんの発生リスクを高めるわけです。

せん毛の働きが低下する

喫煙がせん毛の働きを低下させることも、肺がんの原因です。せん毛とは、呼吸器の細胞の表面にある毛のようなもので、波打つように動いて侵入した異物を外に出す働きがあります。

タバコの煙に含まれる有害物質はせん毛の構造を直接的に傷つけるので、異物が肺に侵入することを許してしまいます。このような現象が遺伝子を損傷し、がんをつくってしまうのです。さらに、せん毛の機能低下によって、肺に入った異物がいつまでも肺にとどまり蓄積していきます。これにより炎症が持続的に起こり、がんにつながりやすくなってしまうのです。

免疫力が弱まる

免疫ががん細胞の増殖を抑えているわけですが、喫煙は免疫力を弱めます。

免疫機能を担うのは、白血球、リンパ球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞などの細胞です。タバコの煙はこれら免疫に関わる細胞の増殖を抑制するので、がんが発生しやすい体になってしまうのです。

また免疫力が弱まると感染症リスクが高まり、感染症を発症するとさらに免疫力が低下するという負のスパイラルが起き、最終的にがんを引き起こします。

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タバコ以外の肺がんの原因

タバコや喫煙以外の肺がんの原因には次の4つがあります。

■喫煙以外の肺がんの原因

  • アスベスト
  • 大気汚染
  • 遺伝
  • 女性ホルモン

一つずつみていきましょう。

アスベスト

アスベストは繊維状の鉱物で、今は使用や製造などが法律で禁止されていますが、かつては建材や耐火製品などに使われていました

アスベストの繊維を吸い込むと肺に蓄積され、炎症や遺伝子の損傷を引き起こします。アスベストは有力な発がん性物質の一つです。

大気汚染

大気汚染によって人がいる空間に有害物質が漂うことになります。有害物質とはPM2.5などの微小粒子物質や二酸化窒素、一酸化炭素などです。

人がこれらの有害物質を吸い込むと、アスベストと同様に「肺に蓄積される→炎症や遺伝子の損傷→がん化」という順番でがんを引き起こします。

遺伝

「がんが遺伝する」とは正しくは「がんに関わる遺伝子の変化が遺伝する可能性がある」という意味になります。人の遺伝子は2万種類以上あり、そのなかに、変化するとがんを誘発する遺伝子があります。

この「がんに関わる遺伝子の変化」を遺伝によって生まれつき持っていると、がんのリスクが高まってしまうわけです。このがんが、遺伝性のがんです。

遺伝性のがんに関わる遺伝子は、BRCA1、BRCA2、MLH1、APCなどです。

女性ホルモン

女性ホルモンのうちエストロゲンは、肺がんの発生や進行に影響を与える可能性が指摘されています。

エストロゲンは女性の生理周期や乳腺の発達に関与し、さらに心臓や血管の健康や性ホルモンのバランスにも役立っています。エストロゲンは男性にも、女性ほど多くはありませんが、存在するので注意が必要です。

エストロゲンは、エストロゲン受容体と呼ばれるタンパク質と結合することで機能を発揮します。肺に生まれたがん細胞にもエストロゲン受容体があり、これがエストロゲンと結合するとがん細胞の増殖を助けてしまうことがある、とされています。

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肺がんの検査・治療方法

肺がんが疑われたら検査を行います。また、疑われる前に肺がんの検査を行うことも大切です。検査によって肺がんがみつかったら治療に取りかかります。

肺がんの検査と治療を箇条書きで紹介します。

検査方法

肺がんの検査方法は次のとおりです。

  • 胸部X線:肺に異常な影がみつかると、肺がんが疑われます。
  • PETやCT:胸部X線と同じように、肺の異常をみつけます。
  • 生検:肺がんの疑いがある人を対象に、肺の異常な場所から組織の一部を取り出して、組織のなかの細胞を顕微鏡で観察します。生検でがんかどうか確定します。

治療方法

肺がんと診断されたら、次の治療を受けることになるでしょう。

  • 外科治療:手術で肺がんを取り除きます。
  • 放射線療法:放射線をがん細胞に当てます。肺がんの完治を目指す場合と、症状を和らげるために行う場合があります。
  • 薬物療法:抗がん剤、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使って治療します。がんを小さくすることを目指す場合と、遠隔転移を予防する場合、症状を和らげるために行う場合があります。
  • 緩和ケア:患者さんの気分の落ち込みやストレス、不安に対応するケアです。緩和ケアは肺がんと診断された段階から必要になるでしょう。症状が悪化して痛みが強まったら、その痛みを和らげることもします。

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マイクロCTC検査で肺がんの早期発見が可能

当社、株式会社セルクラウド(本社・東京都渋谷区、代表・中島謙一郎、CTC検査事業責任者・太田剛志(医学博士、元順天堂大学医学部先任准教授))のマイクロCTC検査は肺がんの早期発見を期待することができます。

検査は1回の採血のみで短時間

マイクロCTC検査は、検査対象者の血液のなかにがん細胞があるかどうかで、がんの存在の有無を調べる検査です。検査は、採血を1回するだけなので短時間で終わります。

検査対象者はセルクラウドと提携するクリニックに行き、採血してもらうだけです。クリニックが採血した血液をセルクラウドに送り、当社でがん細胞の有無を調べます。

全身のがんリスクを判定

体内にがんが発生すると、がん細胞が血液に漏れ出てくることがあります。この現象は、早期がんでも、超早期がんでも起きる可能性があることがわかっています。

マイクロCTC検査は、血液中のがん細胞の有無を確認できるだけでなく、がん細胞があった場合はその個数もわかる検査です。

従来の早期がんをみつけるスクリーニング検査は、がんにつながる因子があるかどうかを調べますが、因子は因子であり、がん細胞ではありません。

つまり、従来のスクリーニング検査は、がん細胞をとらえて「がんの疑いがある」と判定しているわけではないのです。

しかし、がん細胞を直接補足するマイクロCTC検査なら、がん細胞をとらえたうえで「がんの疑いがある」と判定できるのです。

マイクロCTC検査が対象とするがんは肺がんだけでなく、血液がん以外の、全身のがんのリスクがわかります。

検査の流れ・費用

マイクロCTC検査の料金は1回税込198,000円です。

検査の流れは以下のとおりです。

■マイクロCTC検査の流れ

  1. 検査対象者がセルクラウドのサイトから会員登録を行う
  2. 検査対象者がクリニックに行き採血してもらう(検査対象者が行うことはこれで終わり)
  3. クリニックが採血した血液をセルクラウドに送る
  4. セルクラウドがマイクロCTC検査を実施して、がん細胞の有無を調べる
  5. セルクラウドが検査対象者に結果を知らせる

結果は、会員登録したセルクラウドのサイトのマイページで確認することができます。

がん細胞が発見された場合、希望者は、医師であるマイクロCTC検査センター長の相談を受けることができます。この相談は無料で、オンラインでも可能です。

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肺がんの原因に関するよくある質問

肺がんの原因に関するよくある質問に回答します。

エアコンのカビで肺がんになる?

カビがすぐにがんを誘発することはないでしょう。したがって、エアコン内で発生したカビが室内に飛散して、健康な人がそれを吸い込んで肺がんになる、ということは考えにくいといえます。

しかし、免疫力が低下している人がカビを吸い込むと肺の組織に異常をきたすことがわかっています。この異常が肺がんにつながらない、とは断言できません。

このことから、健康を維持する観点からも、エアコンを定期的に洗浄することは推奨されます。

高齢者は肺がんになりやすい?

加齢は肺がんリスクになりえます。年齢層別の肺がんの罹患率(10万人当たりの罹患者数)は次のように推移します。

■肺がんの年齢層別の罹患率(10万人当たりの罹患者数)

●男性

40~44歳:9人

50~54歳:39人

60~64歳:159人

70~74歳:427人

●女性

40~44歳:7人

50~54歳:26人

60~64歳:72人

70~74歳:167人

男性も女性も年齢が増えるにつれて加速度的に罹患率が上昇していることがわかります。特に男性の罹患率の上昇スピードは相当高いといえます。

肺がんを予防するための生活習慣は?

肺がんを予防するには、まずはタバコを吸わないことです。吸っている人は禁煙しましょう

そのほかには、節度ある飲酒、バランスの取れた食事、適度な運動、肥満予防、感染予防が肺がんの予防に寄与すると考えられます。

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まとめ

肺がんの第一の原因は喫煙です。タバコの煙は、がん細胞を生み出す遺伝子の損傷、炎症・酸化、せん毛の働きの低下、免疫力の弱体化といった現象を引き起こすからです。

また、タバコ以外にもアスベストや大気汚染、遺伝、女性ホルモンも肺がんの原因になりえます。

つまり肺がんリスクはいたるところに存在するといえ、したがって肺がんを予防するには健康診断を受けるなどして、定期的に肺を調べることが必要になります

しかし従来の肺がん検診は、早期がんや超早期がんをみつけることは必ずしも得意ではありません。そこで提案したいのが、マイクロCTC検査です。

マイクロCTC検査では、検査対象者はクリニックで採血してもらうだけです。当社が採血した血液のなかにがん細胞が「あるか・ないか」を調べます。がん細胞があれば、がんがある可能性が高くなるわけです。

しかもマイクロCTC検査は、肺がんだけでなく、血液がん以外の全身のがんのリスクがわかります。がんが気になった人におすすめできる検査といえるでしょう。

参照:
「分野別治療方針 肺がん」(国立がん研究センター)
「肺がんとはどのような病気ですか」(日本肺癌学会)
「最新がん統計」(がん情報サービス)
「がんと遺伝の関係性について」(がん研有明病院)
「がん種別統計情報 肺」(がん情報サービス)

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