免疫療法とは、がん治療に革命をもたらした新しい治療法です。肺がんに対する有効性が認められており、近年では多くの医療機関が導入しています。
しかし、免疫療法の仕組みや特徴を知らない方も少なくありません。
本記事では、肺がんの概要・主な症状・従来の治療法のほか、免疫療法の種類や費用などを詳しく解説します。
免疫療法に関する知識を深めて、肺がんの治療法の選択肢を広げましょう。
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肺がんとは?

肺がんとは、肺の気管・気管支・肺胞の細胞に発症するがんです。
喫煙をはじめ、大気汚染・有害化学物質などで細胞の遺伝子が傷つき、がん化するケースが多いです。
また、加齢による肺機能と免疫力の低下や、肺がんの家族歴も深く関与していることがわかっています。
近年では、日本人の男性の10人に1人、女性の21人に1人の確率で肺がんになるといわれおり、肺がんの罹患数は増加傾向です。※1
はじめに、肺がんの種類や主な症状、ステージ別の5年生存率を詳しく紹介します。
肺がんの種類
肺がんは、組織型により性質や発症部位が異なり、次の4つに分類されます。
- 腺がん
- 扁平上皮がん
- 小細胞肺がん
- 大細胞がん
腺がんは、肺がんのなかで最も一般的なタイプです。肺がん全体の50%以上を占め、主に肺野部(肺の奥)から枝分かれした先に発症します。※2
初期の自覚症状に乏しく、非喫煙者や女性でも発症するケースがあります。
次いで多いタイプは扁平上皮がんです。全体の25~30%を占めており、大半は肺門部(肺の入り口)で発症します。※3
最大の原因は喫煙であり、咳・血痰などの症状が現れやすいことが特徴です。
小細胞肺がんは、扁平上皮がんと同様に肺門部に発症しやすいタイプです。発症頻度は10%程度ですが、がん細胞の成長スピードが速く、転移しやすい性質があります。※4
腺がん・扁平上皮がん・小細胞肺がん以外のタイプは、大細胞がんに分類されます。非常に稀で、発症頻度は肺がん全体の数パーセント程度です。※5
主な症状
ここで、肺がんの主な症状を紹介します。
- 咳
- 痰・血痰
- 喘鳴(ぜんめい)・呼吸困難
- 動悸・胸痛
- 発熱
比較的、早い段階から出現する症状は咳と痰です。がんが気管支を圧迫すると咳・痰が出現し、周囲の血管が傷ついた際には血痰が出ます。
がんにより気道が狭くなることで、ヒューヒュー・ゼーゼーなどの呼吸音が現れる喘鳴(ぜんめい)が現れて、息苦しさが伴います。
肺がんが進行すると、肺への空気の通り道が完全に塞がる閉塞性肺炎や、胸に水が溜まるがん性胸膜炎を合併し、呼吸困難や動悸・胸痛が生じるケースも少なくありません。
そのほか、声帯の神経に広がった場合はかすれ声、肝臓に転移した際には黄疸・倦怠感などが現れます。
肺がんは、初期の自覚症状がわかりにくく、風邪や肺炎、アレルギー性鼻炎などと非常によく似ています。症状が2週間以上続く場合は、医療機関に相談しましょう。
ステージ別の5年生存率
肺がん全体の5年生存率は34.9%で、全がんの58.6%の6割以下です。※6
ステージ別の5年生存率は、下記のとおりです。
ステージ1 | ステージ2 | ステージ | ステージ4 | |
---|---|---|---|---|
5年生存率 | 74.0% | 46.2% | 26.6% | 7.4% |
ステージ1は、がんのサイズが3cm以下であり、リンパ節やほかの臓器への転移がない状態を指します。がんが肺に留まっているため、手術による切除が可能です。
しかし、ステージ2以降は手術の対象にならない症例が多く、生存率は急激に低下します。
ステージ4まで進行すると、症状を和らげたり、進行を遅らせたりと、生活の質を保つための治療が中心になり、根治的な治療はおこないません。
肺がんに対する従来の治療法

肺がんの従来の治療法は、下記に大分されます。
- 手術療法
- 放射線療法
- 薬物療法
次章では、それぞれの治療法について詳しく解説します。
手術療法
手術療法とは、がんをすべて取り除いて根治を目指す治療法です。肺がんの手術療法には、次の3種類があります。
- 肺葉切除術
- 縮小手術
- 肺全摘術
肺葉切除術は、がんが発症した肺葉を丸ごと切除するもので、最も一般的です。がんの位置やリンパ節への転移の有無に応じて、2つの肺葉を切除するケースがあります。
縮小手術とは、肺葉のがんのある区域やがんとその周辺を楔形に取り除く方法と、がんのある部位のみを切除する手法があります。
肺全摘術では、がんのある片側の肺全体をすべて取り除く手法です。術後の呼吸機能の低下や、心臓に大きな負担がかかるため、健康状態が良好な方のみが受けられます。
肺がんの手術療法は、腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんのステージ1・2、ステージ3の一部に適応されます。
放射線療法
放射線療法は、次の目的に用いられます。
- がんの根治
- 症状の緩和
- 転移・再発の防止
手術療法によるがんの切除が不可能な場合、体の外からX線を照射してがん細胞を死滅させる放射線療法を検討します。
より治療効果を高めるために、化学療法と併用する化学放射線療法をおこなうケースがありますが、副作用が相乗的に強く出ることも報告されています。
また、局所進行型の非小細胞肺がんに対する単独治療にも有効です。
そのほか、放射線療法にはがんによる痛み・炎症などの症状の緩和や、がん細胞の増殖を抑えて転移・再発を予防する作用もあります。
がんの部位・ステージにより異なりますが、放射線療法の回数は1日1回、週5回の合計30~35回です。
薬物療法
薬物療法は、薬剤を全身に行き渡らせてがん細胞を攻撃する治療法です。
主に、手術療法が困難な場合に単独、または放射線療法と併用しておこないますが、一部、手術の前後に追加されるケースもあります。
薬物療法の種類は、次の3種類です。
- 抗がん剤
- 分子標的治療薬
- 免疫チェックポイント阻害薬
抗がん剤は、がん細胞の分裂・増殖を妨げます。肺がんの場合、プラチナ製剤と第3世代抗がん剤の2種類の薬剤を組み合わせて治療します。
分子標的治療薬とは、がん細胞に関わる特定の遺伝子のタンパク質に作用する薬剤です。
がん細胞への増殖の指令をブロックするチロシンキナーゼ阻害薬と、血中から酸素・栄養を補給するための新生血管の産生を抑える血管新生阻害薬があります。
免疫チェックポイント阻害薬は、本来の免疫細胞の力を回復させてがん細胞を攻撃する治療薬です。状態に応じて、プラチナ製剤やほかの抗がん剤と併用して効果を高めます。
肺がんに対する免疫療法とは?

免疫療法とは、手術療法・放射線療法・薬物療法に次ぐ「第4のがん治療法」として有効性が認められている、革新的な治療法です。
本来の免疫の力を取り戻してがん細胞への攻撃力を高める作用があり、従来の治療法が困難な場合や再発に対しても一定の効果が期待できます。
次章では、免疫療法の概要を詳しく解説します。
免疫の働きでがん細胞を攻撃
体内には、病原菌やウイルスなどの異物を排除する免疫細胞が存在しており、正常な細胞ががん細胞に変化した場合にも、免疫細胞が攻撃して死滅させます。
しかし、一部のがん細胞は、免疫細胞の働きにブレーキをかけて攻撃から逃れることがわかっています。
薬剤でがん細胞によるブレーキを解除し、免疫細胞の力を回復させて攻撃力を高めることが可能です。
この治療法はがん免疫療法と呼ばれており、従来の治療法と併用すれば相乗効果が得られることがわかっています。
また、手術療法や放射線療法が適用されない症例や、再発した場合にも選択できます。
一部の免疫療法のみ保険適用
免疫療法にはさまざまな種類があり、大きくわけて下記の3つに分類されます。
- 保険適用の免疫療法
- 自由診療の免疫療法
- 研究段階の医療としておこなわれる免疫療法
臨床試験・治験を経て、効果が認められた薬剤に限り、「効果が証明された免疫療法」として保険が適用されます。
現在では、免疫チェックポイント阻害薬の一部と、エフェクターT細胞療法のCAR-T(カーティー)療法のみが保険適用です。
そのほかの免疫療法は、国の承認を受けるための全段階を満たしておらず、有効性が公的に確認されていないため、自由診療になります。治療費は自己負担であるうえに、有効性・安全性が証明されていないため慎重な判断が必要です。
現在、さまざまな医療機関で免疫療法に関する研究開発が進んでいます。そのため、臨床試験や治験など研究段階の医療として免疫療法を受けることも可能です。
免疫療法の種類と副作用

代表的な免疫療法は、次の2種類です。
- 免疫チェックポイント阻害薬
- 免疫細胞療法
次章では、それぞれの免疫療法の内容と副作用を紹介します。
免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞が免疫細胞による攻撃から逃れないようにする薬剤です。
本来、免疫細胞には正常な細胞にダメージを与えないよう、ブレーキ機能が備わっています。しかし、がん細胞はブレーキ機能を悪用して攻撃を防ぐ性質があります。
免疫チェックポイント阻害薬を用いれば、ブレーキ機能を解除して免疫細胞による攻撃を回復させることが可能です。
下記の免疫チェックポイント阻害薬は、有効性が認められているため保険が適用されます。
- PD-1阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)
- CTLA-4阻害薬(イピリムマブ)
- PD-L1阻害薬(デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ)
がん細胞のみに作用する免疫チェックポイント阻害薬ですが、稀に「免疫関連有害事象(irAE)」と呼ばれる副作用が起こる可能性があります。
副作用は、皮膚の赤み・かゆみなどをはじめ、倦怠感・食欲不振・貧血・咳・発熱・嘔吐・動悸・息切れ・手足のしびれなど、幅広い症状が報告されています。
免疫細胞療法
免疫細胞療法には、主に下記の種類があります。
- CAR-T細胞療法
- NK細胞療法
- 樹状細胞ワクチン療法
CAR-T細胞療法とは、がん細胞を認識・攻撃するT細胞を体外に取り出し、遺伝子を組み入れて体内に戻すことで、がん細胞への攻撃力を強化する治療法です。
細胞が活性化し過ぎると、副作用としてサイトカインによる全身の炎症が生じる場合があります。
NK細胞療法は、がん細胞をいち早く発見して攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を体外で培養・活性化させて攻撃力を強化する手法です。
樹状細胞ワクチン療法では、異物を認識して攻撃の指示を出す樹状細胞を活性化させ、免疫細胞にがん細胞の情報を伝えて攻撃させます。
NK細胞療法と樹状細胞ワクチン療法は、ともに発熱・発疹・倦怠感などの副作用が報告されています。
転移・再発が不安な方にマイクロCTC検査がおすすめ

マイクロCTC検査は、血中に漏れ出したがん細胞を捕捉し、個数を明示する全身のがんリスク検査です。
がん細胞そのものを捉えることが可能であるため、CT・MRI・PETなどの検査に比べて非常に早い段階でのがんリスクがわかることから、がんの転移・再発が不安な方におすすめです。
ここからは、マイクロCTC検査の魅力と受診方法を詳しく解説します。
採血のみで全身のがんリスクを判定
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクが明確になるため、次の方におすすめです。
- 多忙でがん検査を受ける時間がない
- 体の負担が少ない検査を受けたい
- 事前の準備が不要な検査を探している
一般的に、人間ドックや健康診断のオプション検診などで全身のがんを調べる場合、検査に半日~1日の時間がかかります。
そのため、受診のハードルが高いと感じる方も多いでしょう。
マイクロCTC検査の所要時間は1回5分と非常にスピーディーです。スキマ時間を利用したり、通勤途中に受診したり、気軽に検査が受けられます。
また、検査の苦痛や医療被ばくのリスクは一切なく、食事制限や検査薬の投与などの事前の準備も不要です。
マイクロCTC検査は、手軽かつ体に負担をかけずに受診できるため、症状が現れにくい超早期のがんや、転移・再発の早期発見にもつながります。
高い精度と迅速な検査体制を確立
マイクロCTC検査は、米国MDアンダーソンがんセンターが開発したCSV抗体を用いた独自の検出方法を導入しており、特異度94.45%を誇る高い精度を実現しています。※7
そのため、従来のCTC検査では検出が困難な、浸潤・転移する能力がある悪性度の高いがん細胞のみを捉えることが可能です。
CT・MRI・PETなどの画像検査では、がんが1cm以上に成長しない限り、発見が難しいとされています。
しかし、マイクロCTC検査は、増殖の過程で血中に漏れ出したがん細胞そのものをキャッチするため、1cm未満のがんの発見につながります。
そのほか、国内に民間初となる検査センターを設けることで迅速な検査体制を整えていることもマイクロCTC検査の特徴の一つです。
全国で採取した血液検体は速やかに検査センターに届けられ、AIによる分析と専門の検査技師による解析のダブルチェックをおこなっています。
正確性に優れた納得感のあるがんリスク検査を受けたい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
全国の提携クリニックで検査可能
マイクロCTC検査は、全国の提携クリニックで導入しています。
住居地や勤務地の付近など、自身の都合のよい場所で検査が受けられることから、専門の医療機関や遠方の大学病院などに出向く必要はありません。
クリニックの検索をはじめ、受診予約・問診票の記入・支払い・検査結果の確認がすべてWebでおこなえます。
マイクロCTC検査の受診を希望する方は、公式サイトにアクセスしましょう。
万が一、がん細胞が検出された方は、マイクロCTC検査センター長、および代々木ウィルクリニックの太田医師による無料相談が受けられます。
無料相談の主な内容は、下記のとおりです。
- 検査結果の詳細
- 受けるべき検査
- 専門医・医療機関の紹介
また、相談後に画像診断や内視鏡検査などを受診してもがんが発見されなかった場合は、再度無料相談が受けられます。
肺がんにおける免疫療法に関するよくある質問

最後に、肺がんにおける免疫療法に関するよくある質問を紹介します。
同じ疑問を抱いている方や免疫療法を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
免疫療法の費用は?
免疫療法は、使用する薬剤や容量により変わります。主な費用の目安は、下記のとおりです。
治療法 | 費用 | 3割負担額 |
---|---|---|
免疫チェックポイント阻害薬 | 310,000~560,000円 | 90,000~170,000円 |
CAR-T細胞療法 | 35,000,000~43,000,000円 | 7,000,000~12,000,000円 |
NK細胞療法 | 300,000~400,000円 | – |
樹状細胞ワクチン療法 | 1,700,000~1,900,000円 | – |
免疫チェックポイント阻害とCAR-T細胞療法の一部の薬剤に限り、保険が適用されて高額療養費支給制度も利用できます。
NK細胞療法や樹状細胞ワクチン療法などは自由診療扱いとなり、全額自己負担です。
診察料・入院費が別途かかる場合があるため、免疫療法を受ける際は治療費の総額を確認しましょう。
すべての方に効果がある?
免疫療法の治療効果は、がんの種類・ステージ、全身の状態、遺伝的要因、生活習慣や体質などにより個人差があります。
そのため、ほかの標準治療と併用するケースが多くあります。
治療に必要な期間は?
免疫療法の治療期間は、治療法・薬剤によってさまざまです。
免疫チェックポイント阻害薬は、2~4週間に一度点滴で投与し、効果が認められた場合は2年間ほど継続します。
CAR-T細胞療法は、体から取り出した細胞を専用の製造施設に搬送し、遺伝子導入や細胞の培養をおこなうため、投与まで1~2か月程度かかります。
投与後は経過観察のために1か月程度の入院が必要です。退院後、少なくとも4週間は指定された医療機関を受診しましょう。
NK細胞療法は3~6週間、樹状細胞ワクチン療法は1~2週間に1回のペースで投与し、一般的に6回を1クールとします。
まとめ

本記事では、肺がんの概要をはじめ、免疫療法の仕組みや種類・副作用、肺がんにおける免疫療法に関するよくある質問を解説しました。
肺がんは、特有の自覚症状がないことから進行した状態で見つかるケースが少なくありません。そのため、全がんに比べて5年生存率が著しく低いです。※8
近年では、手術適用外や再発した肺がんに対する免疫療法が注目されており、有効性・安全性が認められた治療法は保険診療で受けられます。
一方、自由診療の免疫療法は、治療効果のみならず安全性も証明されていないため、慎重に検討しましょう。
肺がんの転移・再発が不安な方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクが判明する画期的な血液検査です。
血中を循環する悪性度の高いがん細胞そのものを捉えるため、画像検査より早い段階でのがんの発見につながります。
定期的にマイクロCTC検査を受診して、がんの転移・再発の早期発見を目指しましょう。
関連記事
〈参考サイト〉
※1:国立がん研究センター がん統計|最新がん統計
※2、※3、※4、※5:肺がんの種類:肺がんとともに生きる|肺がんのタイプ
※6、※8:公益財団法人 がん研究振興財団|がん統計’15
※7:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査