卵巣がんの症状や原因とは?進行した場合に現れる異常や早期発見できる検査方法を解説

「最近、お腹が痛くて何かの病気ではないかと心配している」

「卵巣がんになると、どのような症状が出るのか」

上記のような不安や疑問をかかえていないでしょうか。

卵巣がんは50~60代の方に多く発生するがんであり、進行すると死亡率が高い特徴がある疾患です。(※1)

本記事では、卵巣がんの症状や原因、進行した場合に現れる異常や早期発見できる検査方法についてもあわせて紹介します

卵巣がんの症状について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

参照元(※1):子宮がん・卵巣がん検診|筑波大学附属病院 つくば予防医学研究センター

卵巣がんとは?

卵巣がんは、子宮の左右にある卵巣に発生するがんです。

卵巣がんの原因はいまだ明確ではありませんが、排卵回数が多いほどリスクが高まるとされています

また、食生活をはじめとする生活習慣や肥満、子宮内膜症やチョコレート嚢胞などの婦人科系の疾患も原因のひとつです。

最近では、特定の遺伝子に変異がある家族において、遺伝性の卵巣がんの発症リスクが高いこともわかってきています。(※2)

参照元(※2):子宮がん・卵巣がん検診|筑波大学附属病院 つくば予防医学研究センター

卵巣がんの初期症状は?

卵巣がんは「サイレントキラー」とも呼ばれ、初期症状がほぼない点が特徴です。

そのため、がんに気づいたときにはすでに進行している場合が多く、死亡率も高い傾向にあります。

初期は自覚症状が少ない

卵巣がんの症状には腹痛やお腹の張り、頻尿などが挙げられますが、初期には自覚症状がない場合が大半です。

そのため、発見されたときにはがんが進行していることもめずらしくありません。

死亡率が高い

日本では、年間約10,000人が卵巣がんにかかり、約4800人が卵巣がんにより死亡しています。(※3)

また、卵巣がんの死亡率は、子宮頸がんや子宮体がんなどの女性性器がんと比較しても極めて高い傾向にあります。(※4)

卵巣がんの死亡率が高い原因には、初期症状がほぼない点と、進行による物理的な異変を感じにくい点が挙げられるでしょう。

卵巣は女性の骨盤の奥深い部位にある臓器で、一般的な大きさは手の親指の頭ほどです。

そのため、大きくなるまで異変を感じにくいといえます。

参照元(※3):卵巣・卵巣癌について|卵巣がん|独立行政法人 国立病院機構 四国がんセンター

参照元(※4):卵巣がんの怖さを知っていますか?|卵巣がんのお話|日本医療機能評価機構認定病院 地方独立行政法人 筑後市立病院

卵巣がんが進行した場合の症状

卵巣がんは初期段階では症状に乏しいものの、進行すると次のような症状が現れる場合があるでしょう。

  • お腹・腰の痛み
  • 腹水によるお腹の張り
  • 便秘・頻尿
  • ひどい生理痛・月経異常
  • 短期間での体重の増減
  • 咳・息苦しさ

それぞれの症状の原因や特徴について詳しく解説します。

お腹・腰の痛み

卵巣がんが進行すると、肥大したがんが周りの臓器を圧迫し、腹痛や腰痛などを感じる場合があるでしょう。

また、卵巣がんが大きくなると、頻度は低いものの、卵巣捻転(卵巣がねじれた状態)や卵巣破裂により、激しい痛みを引き起こすこともあります

腹水によるお腹の張り

卵巣がんが進行すると、腹水によりお腹の張りが見られ、妊婦のようにお腹が前に大きく突き出る場合もあります。

腹水とは、たんぱく質を含む水がお腹に溜まった状態のことです。

がんの肥大化や腹膜播種(腹膜への広がり)が生じると、がん細胞による炎症を和らげるために腹腔内に腹水が溜まります

お腹の張りを感じても、太ったと思って見落とされがちです。しかし、お腹のみ出てきた場合は、卵巣がんが大きくなっている影響なのかもしれません。

また、腹水が溜まると周りの臓器を圧迫するため、お腹や腰などに痛みを感じる場合もあります。

便秘・頻尿

卵巣がんの肥大化や腹水の貯留により腸や膀胱が圧迫されると、便秘や頻尿を引き起こす場合があります。

便秘や頻尿は、生活習慣の乱れやストレス、加齢などによっても起こりうる症状です。

症状がひどい場合や頻度が多い場合は、卵巣がんでなくても、ほかの病気が隠れている場合があるため、我慢せずに婦人科の医師に相談しましょう。

ひどい生理痛・月経異常

卵巣は左右に2つあるため、片方にがんが発生しても、もう片方が正常に機能していれば基本的にひどい生理痛や月経異常などの症状は見られません。

そのため、ひどい生理痛や月経異常などが現れるころには、卵巣がんのステージがⅠB期(がんが卵巣の両側にある状態)以降まで進んでいる可能性があります。(※5)

普段よりも生理痛がひどかったり、不正出血見られたりする場合は早めに婦人科を受診しましょう。

参照元(※5):表1 卵巣がん・卵管がんの手術進行期分類|1.病期と治療の選択|卵巣がん・卵管がん治療|がん情報サービス

短期間での体重の増減

卵巣がんになると、比較的短期間の間に体重の増減が見られる場合があります。

たとえば、がんの進行により腹水が溜まると、その分体重が増える傾向にあるでしょう。

卵巣がんの進行により食欲不振をともなう場合、体重が減少する場合もあります

生活習慣を大きく変えていないにもかかわらず、半年の間に体重が5%以上減少する場合は注意が必要です。(※6)

日頃から体重を測定する習慣をつけておくと、体の変化に気づいていち早く対策できるでしょう。

参照元(※6):表2 : EPCRCによるがん悪液質のステージ分類|1.3 がん悪液質の3つのステージと早期介入|第1章 がん悪液質とは 6P

咳・息苦しさ

卵巣がんが肺に転移した場合、咳や息苦しさなどの症状が現れる場合があります。

また、咳や息苦しさにより、疲れやすくなったり、体力の低下を感じたりすることもあるでしょう。

卵巣がんの初期は症状に乏しいため、息切れや息苦しさを感じて初めて異常に気づくケースも少なくありません。

卵巣がんの検査方法

卵巣がんの検査方法には、主に次のようなものがあります。

  • 内診・触診
  • 超音波検査
  • CT・MRI検査
  • 腫瘍マーカー検査
  • 細胞診

卵巣がんは、初期には自覚症状がない場合が多い疾患です。

そのため、早期発見や早期治療には定期的な検診の受診が重要だといえます。

内診・触診

卵巣がんの内診や触診では、医師が腹部を触ったり、腟に指を入れたりして子宮や腟などに異常がないかどうかを確認します。

検査中は、お腹のあたりからカーテンが引かれ、医師や看護師と対面しないように工夫されていることが大半です。

検査時には痛みや違和感を感じることがありますが、力を入れると痛みが増す可能性があるため、なるべくリラックスして受けましょう。

超音波検査

卵巣がんの検査時には、超音波(エコー)を使用した検査が用いられる場合もあります。

超音波検査とは、超音波を体の表面に当て、臓器で反射した超音波の様子を画像にする検査です。

婦人科検診の超音波検査では、腟内に超音波を発する細い器具を入れることにより、子宮や卵巣の状態を観察します。

子宮がん検診では、基本的には内診と細胞診のみがおこなわれます。

しかし、卵巣がんは腟膣の奥に発生するがんであるため、子宮頸部(子宮の入口)の細胞を観察する細胞診のみでは不十分です。

そのため、卵巣がんを調べる際には、超音波で卵巣の様子を観察できる超音波検査と併用することが重要だといえます。

CT・MRI検査

卵巣がんの検査では、基本的にCT検査とMRI検査を併用します。

CT(Computed Tomography)検査とは、X線を多方向から照射して体の断面を画像化する検査です。

リンパ節への転移や、遠隔転移(卵巣から離れた場所への転移)などを調べるためにおこなわれます。

一方、MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査とは、強力な磁場を発する筒状の装置に入ることで、がんの有無や広がりの程度、多臓器への転移などを調べる検査です。

MRI検査ではX線を使用しないため、放射線被ばくの心配はありません。

卵巣がんに対するMRI検査では、骨盤内部の状況やリンパ節転移の有無、周辺臓器へのがんの広がり度合いなどを詳しく調べられます。

腫瘍マーカー検査

「腫瘍マーカー」とは、がんがつくり出す物質のことで、体内にがんがある場合に異常値を示す血液検査項目です。

腫瘍マーカーはがんの種類ごとに異なり、腫瘍マーカー検査は主にがんの診断補助や、診断後の治療効果の確認などに用いられます

卵巣がんがある場合、血液中において「CA125」と呼ばれる腫瘍マーカーの数値が高くなる傾向にあります。(※7)

ただし、がんの有無は腫瘍マーカーの値のみでは確定できません。

そのため、CT検査やMRI検査、細胞診などの検査結果を組み合わせることで医師が総合的に判断します。

参照元(※7):5.検査を行う主ながん|腫瘍マーカー検査とは|がん情報サービス

細胞診

細胞診とは、がんの一部を採取し、細胞診の専門家が顕微鏡で調べる検査のことです。

卵巣がんは、超音波検査やCT検査、MRI検査などの画像検査のみでは確定診断ができません

そのため、画像検査で卵巣がんの疑いがあると判断された場合、手術で摘出した卵巣の病理診断により卵巣がんかどうかを診断します。

手術をする前に胸水や腹水が確認された場合は、細い針で胸水や腹水を抜き、卵巣がんの可能性があるかを調べる場合もあります。

マイクロCTC検査で全身のがんを早期発見

マイクロCTC検査とは、浸潤や転移の恐れがある悪性度の高いがん細胞を見つけ、その個数まで明確に調べられる検査のことです。(※8)

従来のがん検査で全身のがんを調べると、丸一日以上の時間がかかり、検査費用も非常に高額になります

一方で、マイクロCTC検査は1回5分程度の採血で済み、血液がんを除く全身のがんリスクを比較的安価に調べられます。

参照元(※8):マイクロCTC検査公式サイト

採血のみでがんリスクを診断

マイクロCTC検査は、採血のみで血液がん以外の全身のがんリスクを調べられる、非常に簡便な検査です。

CT検査やMRI検査などのように、X線や放射性の薬剤などによる医療被ばくの心配もありません。

マイクロCTC検査は、仕事や子育てでなかなか長時間の検査が難しい方や、胃カメラやバリウムなどによる身体的な苦痛を避けたい方にもおすすめです。

全国のクリニックで検査可能

マイクロCTC検査は、全国のクリニックで検査が可能です。

マイクロCTC検査における採血できるクリニックについて知りたい方は、こちらのページからご確認ください。

卵巣がんに関するよくある質問

ここでは、卵巣がんに関するよくある質問について回答します。

卵巣がんについてより詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

5年生存率は?

卵巣がんの5年生存率は、がんが卵巣のみに存在する初期の段階では90%です。

しかし、卵巣がんは自覚症状に乏しく、気づきにくいため、40~50%の症例では進行した状態で見つかります。

進行した状態で見つかった場合の5年生存率は40%と低いため、定期的な検診による早期発見や早期治療が極めて重要だといえるでしょう。(※9)

参照元(※9):研究成果のポイント|卵巣がんの治療を困難にする腹膜播種性転移のメカニズムを世界に先駆け解明新たな治療標的かつバイオマーカーとなりうるエクソソームを同定|国立研究開発法人 国立がん研究センター

おりものの異常や不正出血はある?

卵巣がんの初期では症状が現れにくいものの、がんが進行した場合にはおりものの異常や不正出血が出現する場合もあります

月経異常が見られる段階ではすでに卵巣がんが進行している可能性が高いため、普段と異なる症状が続く場合は早めに婦人科を受診したほうがよいでしょう。

主な治療方法は?

卵巣がんの治療では、多くの場合で最初に手術がおこなわれます。(※10)

卵巣腫瘍が良性か悪性かを調べるには、手術で直接腫瘍を採取し、病理検査をする必要があるためです

ただし、胸水や腹水が見られる場合は、溜まった水を針で抜き、胸水や腹水中のがん細胞を調べることで診断がつく場合もあります。

多くの場合、手術後は薬物療法により、残ったがんの治癒を目指します。

卵巣がんは、がんのなかでも抗がん剤治療がよく効くため、抗がん剤の使用により、高い治療効果が期待できるでしょう。

参照元(※10):1)手術|治療|卵巣がんについて|特定機能病院 愛知県がんセンター

まとめ

卵巣がんの症状には、主に次のようなものがあります。

  • お腹・腰の痛み
  • 腹水によるお腹の張り
  • 便秘・頻尿
  • ひどい生理痛・月経異常
  • 短期間での体重の増減
  • 咳・息苦しさ

ただし、卵巣がんの初期には自覚症状がない場合が大半です。

がんの早期発見や早期治療のために、定期的に検診を受けましょう。

仕事や家庭のことで忙しく、なかなか検査の時間を取れない方には、マイクロCTC検査を活用する方法もあります

1回5分の採血のみで、卵巣がんをはじめとする全身のがんリスクを検査できます。

卵巣がんは進行した状態で見つかると予後が悪く、死亡率も高いため、急激なお腹の張りや痛みなどの気になる症状がある場合には、早めに婦人科を受診しましょう。

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