PET検査に危険性・副作用はある?被ばくのリスクや検査を受ける際の注意点を解説

日本人は男女共に2人に1人以上が、がんと診断されると報告されています。

特に大腸がんは最もかかる方が多く、次に肺がん、胃がんと続きます。死亡率も高いため、定期的に検査を受け、早期発見が大切です。

がんの検査にはCT検査やMRI線検査など、さまざまな種類の検査があります。なかでもPET検査は、全身のがんを手軽に調べられる画像検査の一つです。

治療をはじめる前に、がんの有無や広がりを調べられるほか、他臓器への転移や治療効果の確認、再発の有無もわかります。

本記事ではPET検査の仕組みやメリット、デメリットについて紹介します。とくにPET検査に不安を感じる方は、ぜひ参考にしてください

PET検査とは?

PET検査とは、「陽電子放出断層撮影法(Positron Emission Tomography)」の略称です。

検査では、FDGと呼ばれるブドウ糖に類似した放射線物質を血管内に注入して、がん細胞に取り込まれたFDGの分布を撮影してがんを調べます

がんの精密検査にはさまざまな種類がありますが、検査により見つけやすいがん、見つけにくいがんが異なるため、検査の仕組みを知ることが大切です。

PET検査の仕組み

がんの検査には大きくわけて画像検査、病理検査、バイオマーカー検査の3種類があります。

がん検査検査例
画像検査PET検査
CT検査
X線検査
MRI検査
超音波検査
病理検査細胞診検査
穿刺吸引
細胞診
骨髄検査
リンパ節生検
組織診検査
センチネルリンパ節生検
バイオマーカー検査遺伝子検査
腫瘍マーカー検査
細胞表面マーカー検査
染色体検査

PET検査は画像検査の一種ですが、CT検査やMRI検査と検査方法が異なります。CT検査を例に、両検査の違いを挙げていきます。

検査方法
PET検査静脈にFDGを注射FDGの分布を撮影一度に全身のがんを調べられる検査にかかる時間は2~3時間(撮影自体は20~40分)
CT検査身体の周囲からX線を照射身体の断面を撮影できる検査にかかる時間は10~15分造影剤を使用する場合がある

PET検査は、FDGを注射し、がん細胞に取り込まれたFDGの分布を撮影して、がんの有無や広がりを調べます。

がん細胞は、正常な細胞に比べてブドウ糖を多く取り込む性質があり、悪性度が高いがんほど、ブドウ糖が集中します。

PET検査で注入するFDGはブドウ糖に類似した放射線物質であり、身体にFDGを注射して撮影するとがん細胞に取り込まれたFDGが光り、がんの発見が可能です。

見つけやすい・見つけにくいがん

PET検査には見つけやすいがんと、見つけにくいがんがあります。

見つけやすいがん甲状腺がん
頭頸部がん
肺がん
乳がん
大腸がん
食道がん
膵がん
子宮体がん
卵巣がん
悪性黒色腫
悪性リンパ腫
見つけにくいがん脳心臓胃や腸などの消化管肝臓咽頭の粘膜膀胱や腎盂、尿管などの泌尿器

「FDG-PETがん検診ガイドライン第3版」では、PET検査をおこなったとき、がんのなかでも甲状腺がんや、肺がん、大腸がんなどは陽性率が高かったと報告されています。

一方、がんと関係なくブドウ糖が集まりやすい脳や心臓などの部位では、PET検査が難しいでしょう。

検査時間と料金相場

PET検査にかかる時間は、2~3時間程度です。PET検査を受けるときの、検査当日の流れは次のとおりです。

  1. FDGを静脈に注射
  2. 全身に薬剤が行き渡るまで、1時間ほど暗室で安静
  3. 機器の寝台にあおむけになり撮影
  4. 身体に取り込んだFDGを排泄するために、水分を積極的に摂取して安静にする

PET検査では、撮影自体は20~40分ほどですが、FDGを注射したあとは、しばらく安静にしなければなりません。

動いてしまうと、注射したFDGが筋肉に集まるため、正確な検査結果が得られなくなります。

そのためスマートフォンの操作や電話、読書なども禁止です。

また検査前日に激しい運動をしても同様にFDGが筋肉に集中するため、ジョギングのような軽めの運動も控える必要があります

PET検査は早期胃がんを除く悪性腫瘍の場合、保険適用です。

【悪性腫瘍でPET検査が保険適用になる条件例】

  • 治療前の病期診断
  • 手術術前の病期診断
  • 転移や再発を疑う場合

保険が適用された場合、PET検査の料金は約75,000円で、3割負担の方は約22,500円です。

一方、がんを発見するためにPET検査を受ける場合は自費診療となり、全額自己負担となります。

自費診療でPET検査を受けるとき、料金は医療機関により異なりますが、自費診療の場合のPET検査料金は10万円ほどです。

ほかの検査と組みあわせて「がん基本プラン」を設けている医療機関もあります。

がん検診は自治体から補助が出るため安く検査を受けられますが、各がんにより検査内容が決められており、PET検査は対象外です。

【がん検診で対象になる検査】

がん検診対象となる検査対象年齢受診間隔
乳がん検診マンモグラフィ検査(X線検査)40歳以上2年に1回
子宮頸がん検診子宮頸部の細胞診および内診20歳以上2年に1回
胃がん検診X線検査または胃内視鏡検査50歳以上いずれか一方を2年に1回
大腸がん検診便潜血検査40歳以上1年に1回
肺がん検診胸部X線検査および喀痰細胞診40歳以上1年に1回

PET検査のメリット・デメリット

ここではPET検査にはメリット、デメリットがあるため、おさえておく必要があります。PET検査のメリット・デメリットを解説します。

メリット

PET検査のメリットは次のとおりです。

  • 一度に全身のがんを調べられる(見つけにくいがん以外)
  • 検査に伴う痛みや違和感がない
  • CT検査と組み合わせて、より精度の高い検査ができる
  • がん細胞の活動状況がわかる
  • 転移や再発を調べられる

PET検査では、一度の検査で全身のがんを調べられ、がん細胞の活性状況がわかります。

そのため、CT検査やMRI検査で見落としていたがんも発見が可能です。PET検査とCT検査を組みあわせたPET-CT検査をおこなう医療機関もあります。

また静脈注射と撮影のみのため、痛みや違和感を伴うこともありません。

デメリット

PET検査のデメリットは次のとおりです。

  • 検査に時間がかかる
  • 医療被ばくのリスクがある
  • 胃や肝臓など見つけにくいがんがある
  • 血糖値が高いと、精度が低下する
  • がんの発見で検査する場合、自費診療となる

PET検査は、検査に時間がかかります。

前項で紹介したがん検診は、X線検査のように時間がかからない検査も多くありますが、受診率はわずか半数ほどです。

受診率が低い理由として、「検査を受けに行く時間がない」「検査の必要性を感じない」などが挙げられます。

PET検査は撮影時間のみでは20~40分ですが、すべての流れを含めると2~3時間かかるため、検査に抵抗のある方もいるでしょう。

また、FDGにはわずかですが放射性物質が含まれています。そのため医療被ばくのリスクを避けられません。

ほかにも血糖値が高い方は注意が必要です。血糖値が150mg/dl以上の場合、検査に影響が出る恐れがあり、さらに200mg/dlを超えると、がんの病変が見えにくくなると報告されています。

糖尿病の方がPET検査を受けるときは、事前に医師に相談し、検査前に血糖降下薬やインスリンを使用するのはやめましょう。

またPET検査の場合、がん検診の対象外となるため、がんの予防で検査をおこなうときは、自費診療となり全額自己負担しなければなりません。

PET検査の危険性・副作用は大丈夫?

PET検査はCT検査やMRI検査と異なり、放射性物質であるFDGを身体に注射するため、不安を抱く方もいるでしょう。

PET検査の危険性や副作用など、注意点は次のとおりです。

薬剤・CTの被ばく量は人体に影響ない

PET検査では放射性物質を含むFDGを注射して撮影しますが、薬剤、CTの被ばく量は、人体に影響がないと報告されています。

人間の健康に影響する放射線量は、1回あたり100mSv以上です。PET検査で使用するFDGに含まれる放射線量は3.5mSvです。

体内に取り込まれた放射線量は時間と共に減少し、多くは尿と共に体外へ排出されます。

さらにCT検査を組みあわせると被ばくする放射線量が増えますが、被ばく量はわずかであり、被ばくによりダメージを受けた細胞は、修復されて正常な細胞に戻るでしょう。

検査直後は妊婦・乳幼児に近づかない

PET検査後も、身体のなかに放射線物質が残るため、完全に排泄されるまで時間がかかります。

そのため検査当日は、妊産婦や乳幼児と接触を控えましょう。

放射線物質の量は、注射後2時間で半分に、4時間で4分の1にまで下がります

また母乳にも放射線物質が移行しているため、検査後24時間は授乳をやめましょう。

授乳するときは一度搾乳し破棄してから、授乳してください。検査後12時間は、幼児を含め、長時間の抱っこもできるかぎり避けましょう。

PETの危険性が不安な方にマイクロCTC検査がおすすめ

PET検査の危険性が不安な方には、マイクロCTC検査がおすすめです。

マイクロCTC検査について解説します。

1回の採血のみで全身のがんリスクを検査

マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで、肺がんや大腸がんなど全身のがんを調べられます。

ただし次のがんは対象外です。

【マイクロCTC検査で調べられないがん】

  • 白血病
  • 悪性リンパ腫
  • 多発性骨髄腫
  • 上皮性がん細胞

マイクロCTC検査を受ける流れは次のとおりです。

  1. 対象の提携医療機関に連絡し、マイクロ検査を受けたい旨を伝えて予約
  2. 医療機関を受診し、採血を受ける(1回5分)
  3. 検査結果を待つ(検査期間は1週間程度)
  4. 採血を受けた医療機関に検査結果を聞きに行く

マイクロCTC検査は、検査に時間がかからないため、仕事で忙しい方も受診しやすいです。

高品質・低料金での検査が可能

CT検査やMRI検査では、がんが1cm以上の大きさになるまで見つけられません。

一方、マイクロCTC検査では、血中のがん細胞を直接補足するため、小さながんでも発見が可能です。

がん細胞には次のように上皮性がん細胞と、間葉系がんの2種類があり、性質が異なります。

がん細胞性質
上皮性がん細胞初期のがん細胞細胞同士の接着が強い転移しない自己免疫で消える場合もある
間葉系がん細胞接着が弱まり、運動性能が高い他臓器へ浸潤、転移の恐れがあるがんを進行させる

がんができる仕組みは、何らかの原因により遺伝子が変異した結果による、異常な細胞の増殖が原因です。

5~20年かけて30回分裂し、がんの大きさが1cmになる頃には、異常のあるがん細胞が10億個にも増殖します。

上皮性がん細胞は上皮間葉転換を起こすと、間葉系がん細胞に変化し、形質が変わります。

間葉系がんになると、細胞同士の接着が弱まり運動性能が高くなるため、転移や浸潤を起こし、注意が必要です。

マイクロCTC検査は間葉系がんのみを捉え、すでに転移し浸潤しているがんや、これから転移、浸潤を起こそうとしている悪性度の高いがん細胞の有無を調べられます。

特許を取った独自の検査手法により、検査の特異度は94.45%と報告されており、高い精度が認められています。

また、マイクロCTC検査の料金は198,000円(税込)です。

予防を目的にがん検査を受けるとき、自費診療となり、PET検査を受ける場合でも10万円前後の料金がかかります。

PET検査のみでは、胃や肝臓などのがんは見つけにくいため、全身のがんを調べようと思うと、別の検査も必要となり、結果的に料金も高くなります。

【ある医療機関のがん検査の料金】

がん検査のコース料金
単独検診PET-CT140,800円
肺がん39,400円
消化管がん79,200円
乳がん31,200円
大腸がんCT57,200円
子宮がん40,700円
※料金はすべて税込表示です。

マイクロCTC検査は1回5分の採血で、罹患者数が多い大腸がんや肺がん、胃がんも同時に調べられます。

全国のクリニックで検査できる

マイクロCTC検査は、全国の147件の提携医療機関で受けられます。

マイクロCTC検査対象の提携医療機関件数
東京都38件(渋谷区、新宿区、中央区など)
大阪府19件(大阪市、藤井寺市、豊中市など)
愛知県4件(名古屋市、岡崎市)

奈良県や島根県、長崎県など一部の県では、対象の提携医療機関がない場合もあるため、自身の住んでいる地域で受けられるか事前に確認しておきましょう

また提携医療機関は大病院ではなく、個人のクリニックが多いです。平日仕事や育児で忙しい方でも土曜日の診察が受けられるため、通院しやすいメリットもあります。

PET検査を受ける際の注意事項

PET検査を受けるときは、次の点に注意が必要です。

検査前日から過度の運動をしない

検査前日から過度の運動をすると、検査結果に影響が出るため控えましょう。

運動により筋肉に負荷がかかると、ブドウ糖の取り込まれる量が多くなります。そのため同様にFDGも筋肉に集まり、検査の精度が落ちてしまいます。

検査前日は、ジョギングのような軽めの運動も避けましょう。

検査前は絶食が必要になる

検査の6時間前から食事は控え、ガムや飴、ジュースなども禁止です。水による水分補給は問題ありません。

さらに6時間以上前でも、炭水化物や糖質を多く含む食事を摂ると、検査の精度が落ちる可能性があるため、検査の前日は通常よりも食事の量を減らしておきましょう。

検査を受けられない方がいる

次のような方はPET検査を受けられません。

  • 血糖値が200mg/dlを超える方
  • 妊娠中

糖尿病の方は、血糖値をコントロールできていれば、PET検査を受けられます。

ただし受診する際は医師に相談し、検査当日、糖尿病の飲み薬やインスリンの摂取は検査が終わるまで控えましょう

妊娠中は、胎児にも医療被ばくのリスクが及ぶため、PET検査のみでなくX線検査、CT検査は推奨されません。

さらに気づかずに妊娠している可能性を考慮して、月経開始から10日以内に受けることが望ましいとされています。また授乳中にPET検査を受ける場合、24時間授乳を中止しましょう。

検査前後に水分摂取する

検査前後に水分摂取すると、尿中にFDGが排出され、被ばく量を減らせます。

ただし検査前に大量に水分摂取すると、腸が刺激されて働きが促進し、FDGが散らばる恐れがあります

検査前の水分補給量の目安は200mlとし、飲み過ぎないようにしましょう。検査後はFDGを排出する必要があるため、積極的に水分摂取をおこないましょう。

PET検査の危険性に関するよくある質問

最後に、PET検査の危険性に関するよくある質問について紹介します。

がんを早期発見できる?

PET検査は、CT検査やMRI検査など従来の画像検査と異なる手法のため、レントゲンに写らない1cm以下の小さながんでも見つけられ、早期発見ができると報告されています

また、CT検査やMRI検査はがんの疑いのある部分のみを撮影しますが、PET検査は全身のがんを一度に調べられるため、予想外の場所に転移している場合も発見できるでしょう。

痛みはある?

PET検査は、静脈注射の痛み以外ありません。FDGを静脈に注射後、機器の寝台にあおむけになり撮影します

がん検査のなかには痛みや違和感が伴うものもありますが、PET検査ならば痛みに不安がある方にもおすすめです。

毎年受けたほうがよい?

PET検査を受ける頻度には、現時点で明らかなエビデンスがありません

毎年PET検査を受けるよう推奨する病院もあれば、2年間毎年受け、そのあとは2~5年に1回推奨している病院もあります。

まとめ

PET検査は同じがん検査でもCT検査やMRI検査と異なり、FDGを注射し、全身のがん細胞の広がりを調べることができ、画像検査では確認できない1cm以下の小さながんでも発見できます。

ただしPET検査に使用するFDGは放射線物質であり、医療被ばくのリスクを伴います。

ほかの検査と同様に妊婦はPET検査の受診を推奨されておらず、授乳は24時間あけ、検査後すぐは乳幼児と接触を控えなければなりません。

マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんを調べられます。医療被ばくのリスクもなく、検査時間もかかりません

PET検査と同様に、画像検査には写らない1cm以下の小さながんを発見できるほか、マイクロCTC検査ではがんのなかでも悪性度の高い間葉系がん細胞を見つけられます。

全国147件の医療機関で受けられるので、仕事や育児で忙しい方はぜひ検討してください。

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