咽頭がんの初期症状とは?のどの部位別の特徴・原因や検査・治療方法も解説

「鼻づまり」「喉の痛み・違和感」「声のかすれ」「食べ物が飲み込みにくい」などの症状がある場合、まずは風邪を疑うかもしれません。

しかし、咽頭がんの初期にも同様の症状が現れるため、症状が長引いている方は注意が必要です。

咽頭がんの罹患数は年間3,000人程度と、発症頻度は決して多くありません。※1

しかし、初期症状が風邪と似ていることから、大半は見過ごされ、進行した状態で発見されます。

咽頭がんは、進行すると食事や発声などの機能が失われ、QOL(生活の質)が低下する恐れがあるため、早期発見が非常に重要です。

本記事では、咽頭がんの特徴・原因をはじめ、主な初期症状のチェック方法、検査法・治療法、後遺症への対応などを詳しく解説します

咽頭がんに関する知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

咽頭がんの特徴・原因とは?

咽頭がんとは、空気や食べ物の通り道である咽頭(鼻の奥から食道に至るまでの管腔)に発症するがんです。

年間で約3,000人の方が咽頭がんと診断されており、近年では罹患率・死亡率ともに増加傾向にあります。※2※3

咽頭がんの好発年齢は50~60歳代ですが、比較的若い方で発症するケースも少なくありません。※4

咽頭がんは、がんが発症する部位により下記の3つに分類されます。

  • 上咽頭がん
  • 中咽頭がん
  • 下咽頭がん

次章では、咽頭がんの種類別の特徴・原因を紹介します。

上咽頭がん

上咽頭がんは、鼻の奥の突き当り、脳を支える頭蓋底のすぐ下にある部位(上咽頭)に発症します

リンパ節に転移しやすい特徴があり、初診時に上咽頭がんと診断された方の70%は、首(頸部)リンパ節への転移が確認されています。※5

発症頻度は人口10万人あたりに1人と非常に稀で、罹患数は年間300~400人程度です。※6

多くの場合、とくに60歳代の男性に発症し、また、15~39歳のAYA世代や40~70歳代の女性にも発症するリスクがあります。※7

上咽頭がんの原因は、次のとおりです。

  • ウイルス感染
  • 喫煙
  • 過度な飲酒

上咽頭がんの発症には、唾液を介して感染するEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)が関与しているといわれています。

また、喫煙、過度な飲酒も上咽頭がんのリスクを増加させます。

中咽頭がん

中咽頭がんは、口を開けたときに見える、口・喉の奥の壁や舌の付け根に発症します。

大半は、側壁にあたる口蓋扁桃(扁桃腺)の粘膜表皮の扁平上皮がんです。上咽頭がん同様、リンパ節に転移しやすい特徴を持っています。

毎年、2,000~3,000人の方が中咽頭がんと診断されており、圧倒的に男性が多く、好発年齢は50~60歳代です。※8

中咽頭がんの原因の一つは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。

とくに、ハイリスク型といわれるHPV16においては、中咽頭がん患者の85~90%から検出されています。※9

また、中咽頭がんの発症には、喫煙や大量のアルコール摂取も関与しているといわれています。

下咽頭がん

下咽頭がんとは、食道と気管につながる喉頭(のど仏)に隣接する部位に発症するがんです。

下咽頭がんの90%以上は、粘膜から発症する扁平上皮がんであり、口腔、喉頭、食道などの他の臓器と同時にがんが見つかるケースが少なくありません。※10

罹患数2,000~3,000人の大半は男性であり、50歳代から増えはじめ、60~70歳代にピークを迎えます。※11※12

咽頭全体のなかで、下咽頭は最も飲酒や喫煙によるダメージを受けやすいため、長年の喫煙歴や大量に飲酒する習慣がある方は、下咽頭がんになりやすいといわれています。

咽頭がんの初期症状は?

ここで、咽頭がんが疑われる初期の自覚症状と、咽頭がんのチェックの方法を詳しく紹介します。

気になる症状がある際は、できる限り早く医療機関を受診し、咽頭がんの早期発見につなげましょう。

主な初期症状

咽頭がんの初期は、無症状なケースと、がんの種類により下記の症状が現れるケースがあります。

種類自覚症状
上咽頭がん・鼻づまり、鼻血
・耳の閉塞感、違和感
・ものが見えにくい、二重に見えるなどの脳の症状
・首のしこり
中咽頭がん・喉の異物感、違和感、激しい痛み
・口が開けにくい、舌を動かしにくいなどの症状
・口の奥、喉、首のしこり
下咽頭がん・嚥下障害(ものが飲み込みにくい)
・喉の異物感、違和感、激しい痛み
・声がれ、息苦しさ、血痰などの症状
・首のしこり

上咽頭がんは、隣接する鼻・耳に症状が現れ、進行すると脳神経の障害を引き起こし、ものが見えにくかったり、二重に見えたりと、目に症状が現れます。

中咽頭がんの場合、喉の異物感・違和感が伴い、口や舌の動作に異変を感じるケースが多いです。

下咽頭がんの代表的な症状は、ものが飲み込みにくい、声がかすれる、息が苦しいなどです。

いずれの場合も、がんがリンパ節に転移した際には、口・喉・首にしこりが現れます。

初期症状のチェック方法

咽頭がんの初期症状は、風邪と非常に似ていますが、風邪は7~10日で完治する場合が多く、長引く咳でも2~3週間で治まるといわれています。※13

鼻・喉の違和感や痛み、声のかすれなどの症状が1か月以上続くようであれば、医療機関を受診し、医師に相談しましょう。

また、咽頭がんが頸部リンパ節に転移している場合、首にしこりが現れます。

自身で、首の横から鎖骨の上までの側方、耳の周囲、耳から顎にかけてのラインを丁寧に触り、しこりがないか確認しましょう。

しこりには良性・悪性があり、見極めることが重要です。しこりを発見した際は、医師による触診や画像検査、細胞診などを受けましょう。

咽頭がんは早期発見が重要

空気や食べ物の通り道である咽頭は、生命の維持に欠かせない臓器です。

咽頭がんは、進行すると食べ物を飲み込む機能や声を出す機能が損なわれる可能性があり、

また、生存率も大きく低下します。

一方、早期の咽頭がんは、手術や放射線治療により根治が可能であるため、できる限り早く発見し、適切な治療を受けることが大切です。

次章では、咽頭がんの生存率をはじめ、検査・診断・治療の方法、後遺症への対応などを解説します。早期発見のために、咽頭がんに関する知識を深めましょう。

早期発見で生存率が高まる

咽頭がんの生存率は、ステージにより大きく異なります。

種類別・ステージ別の5年生存率は、下記のとおりです。

ステージⅠステージⅡステージⅢステージⅣ
上咽頭がん92%84%67%52%
中咽頭がん86%80%65%50%
下咽頭がん70%62%60%35%
(参考:日本頭頸部外科学会|上咽頭がん中咽頭がん(HPV関連)下咽頭がん

上咽頭がん・中咽頭がんの場合、ステージⅠの生存率は90%前後と高い数値ですが、ステージⅣまで進行すると生存率は半分ほどに低下します。

下咽頭がんは、ほかの臓器にもがんが発症している重複がんであるケースが多く、5年生存率は咽頭がんのなかで最も低いです。

ステージⅠの5年生存率は70%をキープしていますが、ステージⅣは35%まで下がります。

検査・診断方法

主な咽頭がんの検査・診断方法は、下記の3つです。

  • 触診
  • 内視鏡検査
  • 生検

咽頭がんは、頸部リンパ節に転移しやすい特徴があるため、触診にて首周辺のしこりの有無を確認します。

次いで、上咽頭には頭頸部内視鏡を、中咽頭・下咽頭には内視鏡(咽喉頭ファイバー)を用いて、がんの有無を確認します。

咽頭がんの確定診断には病理検査が必要です。がんが疑われる場合、内視鏡で病変の組織・細胞を採取して、顕微鏡で詳しく調べます。

必要に応じて、がんの広がりや転移を確認するために、CT検査やMRI検査などの画像検査を実施する場合があります。

治療法・後遺症への対応

咽頭がんの治療法・後遺症への対応は、がんの種類により異なります。

種類主な治療法後遺症への対応
上咽頭がん・放射線治療
・化学放射線療法
・治療前に胃ろうをつくり、栄養状態の改善を目指す
中咽頭がん・手術
・放射線治療
・化学放射線療法
・切除した機能を補う再建手術をおこなう
・声帯を切除した場合、発声法や代用音声などのリハビリを実施する
下咽頭がん・手術
・放射線治療
・咽頭や食道を切除した際、再建手術をおこなう
・喉頭全摘術後は、食道音声やシャント発生などのリハビリを実施する

上咽頭がんは、切除不能であるため放射線治療が標準治療です。必要に応じて、シスプラチン(抗がん剤)を併用します。

放射線治療をおこなう前に胃ろうをつくり、栄養不良による体力低下を防ぎます

中咽頭がん・下咽頭がんは、手術による治療が一般的です。

がんの切除術に加え、リンパ節を取り除く頸部郭清術、下咽頭喉頭の全摘術など、ステージや体の状態、温存希望の有無などを考慮したうえで選択します。

必要に応じて、QOL(生活の質)を保つために、再建手術や発声のリハビリをおこないます。

マイクロCTC検査で全身のがんリスクを判定

マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかる画期的検査です。

従来の検査と比べて、複数のメリットがあります。

  • 短時間で全身のがんリスクが調べられる
  • 超早期のがん発見につながる
  • 高い精度を実現し、高品質を保っている

次章では、マイクロCTC検査の仕組みや検査精度、流れ・費用について詳しく解説します。

マイクロCTC検査の仕組み

マイクロCTC検査は、血中に漏れ出したがん細胞をキャッチし、全身のがんリスクを明示する血液検査です。

特殊なCSV抗体を用いることで、血中の不要な細胞を認識・除去し、悪性度の高い間葉系がん細胞のみを検出します

また、がん細胞の個数までも明確になるため、全身のがんリスクはもちろん、がんの進行度の把握にも有用です。

一般的に、がん細胞は1cmまで成長しない限り、発見は難しいとされています。

一方、マイクロCTC検査の場合、増殖を開始して血中に漏れ出した時点のがん細胞の検出が可能です。

従来の検査より早期のがん発見につながり、治療の選択肢が広がります。

高い精度と迅速な体制を実現

マイクロCTC検査では、世界有数のがん治療・研究施設である「米国MDアンダーソンがんセンター」の抗体を使用した検査方法を導入しています

そのため、特異度94.45%と非常に高い精度でがん細胞の検出が可能です。※14

また、国内に民間初となる検査センターを設け、全国から届けられた血液検体を迅速に検査する体制を整えています。

海外に輸送する必要がないため、血液が劣化したり、がん細胞が死滅したりと、分析結果に影響を与えることはありません。

検査に対する大きな信頼・納得感が得られることも、マイクロCTC検査の魅力の一つです。

検査の流れ・費用

マイクロCTC検査の流れは、次のとおりです。

  1. クリニック検索
  2. 予約確定
  3. 検査
  4. 検査結果の確認

マイクロCTC検査は、Web上で予約から検査結果の確認まで可能です。まずは、公式サイトでクリニックを検索し、都合のよい日時を予約しましょう。

受診に必要な問診票の記入、支払い方法の選択をおこない、予約を確定します

マイクロCTC検査は完全予約制であるため、検査当日は10分前には来院し、受付を済ませましょう。

混雑状況により前後する可能性がありますが、検査の所要時間は1回5分、受付から会計まで30分程度です。

約1週間で登録先のメールアドレスに検査確定の通知が届き、マイページから検査結果の確認ができます。

がん細胞が検出された方に向けて、無料相談を実施しており、検査結果の詳細から精密検査の内容、専門医・医療機関の紹介まで対応しています。

マイクロCTC検査は、1回198,000円(税込)です。※15

咽頭がんに関するよくある質問

最後に、咽頭がんに関するよくある質問を紹介します。

咽頭がんの知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。

何科を受診すべき?

咽頭がんが疑われる症状がある場合、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳鼻咽喉科では、咽頭がんの診察・検査が可能です。

また、一部の医療機関では、首から上の領域(脳と目は除く)を診療する頭頸部外科にて、専門医による診療が受けられる場合があります。

咽頭がんの進行速度は?

咽頭がんの大半は、粘膜組織から発症する扁平上皮がんです。

扁平上皮がんは、比較的ゆっくり進行するタイプであるため、咽頭がんの進行速度も決して速くはありません

しかし、咽頭がんはリンパ節に転移しやすい特徴があり、転移した場合はほかの臓器にがんが広がり、急速に進行します。

男性より女性に多い?

咽頭がんの男女比率は、下記のとおりです。

種類男女比率
上咽頭がん2~3:1
中咽頭がん4~5:1
下咽頭がん10:1
(参考:ユビー 咽頭がん|咽頭がんは女性でも見られますか?

咽頭がんは、男性が発症しやすいがんの一つです。しかし、女性でも発症するリスクがあり、近年増加傾向にあります。※16

女性の罹患数が増えている理由として、飲酒量や喫煙率、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染の増加が考えられています。※17※18※19

まとめ

本記事では、咽頭がんの種類別の特徴・原因をはじめ、主な初期症状やチェック法、検査・診断方法・治療法などを解説しました。

咽頭がんは、発症した部位により上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がんに分類されます。共通する危険因子は、喫煙と飲酒です。

また、上咽頭がんはEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)、中咽頭がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染も発症に関与しています。

初期の咽頭がんは無症状な場合が多く、また、症状が現れても風邪と非常に似ているため、受診が遅れ、進行した状態で見つかるケースが少なくありません

鼻・耳・口・喉の症状が続く際は、自己判断せずに医療機関に相談しましょう。

咽頭がんをはじめ、全身のがんリスクを調べたい方には、マイクロCTC検査がおすすめです。

高い精度と迅速な検査体制を実現し、1回5分の採血のみで従来の検査より超早期にがんリスクが把握できます。

忙しくて検診に行けない方をはじめ、がん家系でがんが心配な方、がんの高リスク群と指摘された方は、マイクロCTC検査を活用して定期的に体をチェックしましょう。

〈参考サイト〉
※1、※2、※10:大垣市民病院 がんに関する情報|咽頭がん
※3:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会|学会事務局
※4:国立がん研究センター 集計表|全国がん罹患データ
※5:金沢大学附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科|上咽頭癌とEpstein-Barrウイルス 発癌機構から臨床へ
※6:愛知県がんセンター|上咽頭がん
※7:一般社団法人 頭頸部癌学会|全国悪性腫瘍登録報告書
※8:厚生労働省|令和元年 全国がん登録罹患数・率報告(2019年)
※9、※16:耳鼻咽喉科・頭頸部外科|HPV関連中咽頭がん
※11:順天堂大学医学部附属順天堂医院 耳鼻咽喉・頭頸科|下咽頭がん
※12:OHNCC 岡山大学病院頭頸部がんセンター | 各種頭頸部がんの解説
※13:エスエス製薬|知りたい!風邪のこと
※14、※15:マイクロCTC検査 | 血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査
※17:キリンホールディングス 女性とお酒|年齢・性別でリスクも変わる
※18:ソニー健康保険組合|タバコが及ぼす女性への影響
※19:国立がん研究センター|子宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス (HPV)関連 がんの予防ファクトシート

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