胃がんリスク検査(ABC検診)の特徴や方法とは?血液検査の結果の見方も解説

「胃がんリスク検査は必要なのか」

「胃がんリスク検査と胃がん検診の違いは何か」

上記のような疑問をかかえていないでしょうか。

胃がんリスク検査(ABC検診)とは、胃がんそのものを見つける検査ではなく、採血により胃がんの発症リスクを調べる検査です。

本記事では、胃がんリスク検査(ABC検診)の特徴や方法、血液検査の結果の見方についてもあわせて紹介します。

胃がんのリスクを少しでも減らしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

胃がんとはどのような病気?

胃がんとは、胃壁の内側にある粘膜に発生するがんのことです。

胃は内側から粘膜、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)で構成されており、粘膜または粘膜下層までにとどまるものを「早期胃がん」と呼びます

一方、がんが筋層より深い層まで達したものを「進行胃がん」といいます。

日本の死亡要因1位

がんは日本の死亡要因の1位であり、日本人ががんで死亡する確率は、男性では4人に1人、女性では6人に1人です。(※1)

2022年のデータを元にした国立がん研究センターの発表によると、がんによる死亡数の中で、胃がんは男性で3位、女性で5位です。(※2)

胃がんの好発年齢は60代であり、女性よりも男性において発症しやすい傾向があります。(※3)

胃がんは早期に発見できれば、ほぼ100%治る可能性のあるがんであるため、検診による早期発見、早期治療が重要です。

参照元(※1):1.最新がん統計のまとめ|最新がん統計
参照元(※2):がん死亡数の順位(2022年)|1.最新がん統計のまとめ|最新がん統計
参照元(※3):症状|胃とは|胃がんについて|国立がん研究センター 東病院

主な症状

胃がんは、初期段階では自覚症状がほぼなく、進行しても症状が出ない場合もあります。

胃がんが進行した際にみられる症状には、主に次のようなものがあります

  • 胃の痛み
  • 胃の違和感
  • 吐き気
  • 胸焼け
  • 食欲不振
  • 吐血 など

上記の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

症状があらわれるころには手遅れであるケースも少なくありません。そのため、胃がんの予防や定期的な検査が重要です。

ピロリ菌との関係

胃がんの主な原因は、ピロリ菌への感染です。

ピロリ菌とは、胃粘膜に生息して炎症を起こす、らせん形の細菌です。

細菌は通常、胃の中では強い酸の影響で生存できませんが、ピロリ菌は胃酸を中和する酵素をもつため、胃粘膜に生息できます

ピロリ菌は幼少期に経口感染しやすく、日本で感染している方は少なくとも3,000万人以上です。(※4)

しかし、感染したすべての方が胃がんになるわけではなく、多くの感染者は自覚症状がないまま過ごしています。

参照元(※4):どのくらいの人が感染しているの?|ピロリ菌って何?|北海道

胃がんリスク検査(ABC検診)の方法とは?

胃がんリスク検査(ABC検診)とは、ピロリ菌への感染の有無と、胃粘膜の状態から将来の胃がんリスクを調べる検査です。

胃がんリスク検査は少量の採血のみで完結するため、拘束時間が短く、気軽に受けられる検査であるといえます

検査結果は胃がんに対する危険度を考慮し、主に「A、B、C、D」の4種に分類されます。

血液検査でリスクを分類

胃がんリスク検査は、数mLの採血で胃がんのリスクを調べられる検査です。

血液検査では、ピロリ菌に対する抗体の有無や、胃の消化酵素の元となる物質であるペプシノゲンの値を測定します。

抗体とは、体内に侵入した異物を排除するためにつくられるタンパク質のことです。

ピロリ菌抗体が「陽性」であれば、ピロリ菌に感染していることがわかります。

またペプシノゲンとは、一部が血液中にも放出されている、胃の消化酵素の元となる物質です。

胃の粘膜が炎症を起こすと、ペプシノゲンをつくる組織が縮小し、血液中のペプシノゲン濃度が低下します。

そのため、血液中のペプシノゲン濃度を測ることで、胃粘膜の状態を評価できます。

胃がん検診とは異なる

胃がんリスク検査は、胃がんを発見する検査ではありません。

ピロリ菌感染の有無や、胃粘膜の状態を調べることで「胃がんのリスク」を予測する検査です。

検査結果にもとづき、ピロリ菌除去の必要性や、内視鏡検査(胃カメラ)やバリウム検査などの精密検査を受けるべきかどうかを判断できます。

胃がんリスク検査結果後の対応

胃がんリスク検査では「血清ピロリ菌抗体検査」と「血清ペプシノゲン検査」の結果を元に、胃がんのリスクを「A、B、C、D」の4タイプに分類します。

胃がんのリスクは「A<B<C<D」の順に高く、Bタイプ以上の判定が出た場合は胃がんのリスクが高いといえるため、必ず精密検査を受けましょう

ここからは、各検査結果の解釈の仕方について詳しく解説します。

Aタイプ

Aタイプはピロリ菌に感染しておらず、A~Dタイプすべてのなかで最も胃がんの発生リスクが低いグループです。

Aタイプと判定された場合、基本的に精密検査は不要ですが、ピロリ菌の感染以外の要因で胃に病変が生じる可能性もあります

家族や親戚に胃の疾患をもつ方がいる場合や、胃痛や吐き気などの自覚症状がある場合は、精密検査の実施について担当医師と相談しましょう。

Bタイプ

Bタイプと判定された場合、ピロリ菌に感染していることを示しています。

胃粘膜の萎縮は軽度であるものの、将来胃がんになるリスクを否定できません

そのため、ピロリ菌の除菌治療や定期的な精密検査を受けることが望ましいでしょう。

胃がんリスク検査自体にかかる費用は保険適用されませんが、胃がんリスク検査をおこなったうえで除菌治療や精密検査が必要だと判断された場合には、保険が適用されます。

Cタイプ

Cタイプと判定された場合、ピロリ菌に感染しており、胃粘膜の萎縮が進んでいることを示しています。

胃がんの発生リスクが高いため、ピロリ菌を除菌し、定期的な精密検査を受けることが望ましいでしょう。

Dタイプ

Dタイプは、ピロリ菌が生存できないほど胃の粘膜が弱っている状態です。

胃がんのリスクが非常に高いため、毎年精密検査を受け、注意深く経過観察する必要があります

Eタイプ

Eタイプは、過去にピロリ菌の除菌療法を終えているグループです。

前提として、胃がんリスク検査の対象は「ピロリ菌の除菌治療を受けていない方」です。

除菌済みの方は胃がんリスク検査を受けられないため、通常は問診の時点で除外されます

しかし、除菌後に検査を受ける方がどうしても入り込むケースがあるため、検査後に除菌済みであることが判明した場合はEタイプとして区別しています。(※5)

Eタイプと判定された方は、医師の指示に従い、定期的に精密検査を受けるとよいでしょう。

参照元(※5):胃癌検診リスク分類にはなぜE群があるのか?【胃癌リスク層別化検査後にピロリ菌除菌済みであることが判明した場合に分類】|日本医事新報社

マイクロCTC検査であれば全身のがんリスクを検査可能

マイクロCTC検査とは、浸潤や転移の恐れがある悪性度の高いがん細胞を見つけ、個数まで明確に示せる検査です。

胃がんリスク検査は、あくまで将来的な胃がんのリスクを判定するもので、現在の胃がんの有無はわかりません

マイクロCTC検査であれば1回5分程度の採血のみで、血液がんを除く全身のがんリスクを検査可能です。

マイクロCTC検査をチェック

マイクロCTC検査の仕組み

マイクロCTC検査の特徴は、血液中に存在する悪性度の高い「間葉系がん細胞」と呼ばれる細胞のみを特定して見つけられることです。

マイクロCTC検査では、血液中に流れる悪性度の高いがん細胞を直接検出できるため、検査結果に対する大きな納得感を得られるでしょう

実際に、マイクロCTC検査の特異度は94.45%であり、がん細胞を高精度で検出できます。(※6)

「特異度」とは、がんでない方に対してきちんと「陰性」の判定が出る割合であり、数値が高いほど検査結果が正確であることを示しています。

また、従来の画像診断技術では、がんの大きさが1センチを超えなければ判別できませんでしたが、マイクロCTC検査であれば画像診断よりも早くがんを発見可能です。

参照元(※6):1 結果に対する大きな納得感|マイクロCTC検査が提供する価値|マイクロCTC検査公式サイト

マイクロCTC検査をおすすめできる方

次のような方には、マイクロCTC検査がおすすめだといえます。

  • 忙しくて検査の時間を取れない方
  • なるべく安価に全身のがん検査をしたい方
  • 検査前の食事制限や服薬が面倒に感じる方

マイクロCTC検査は1回5分程度の採血で完結するため、忙しくて検査の時間を取れない方でも気軽に受けられるでしょう。

また、検査費用もほかの検査と比較して安価だといえます。

全身のがん検査を実施する場合、がん検査のひとつであるPET-CT検査や全身MRI検査では、合計で20~30万円弱ほどの費用がかかります。(※7)

一方、マイクロCTC検査は198,000円(税込)と、全身のがんを調べられる検査のなかでは比較的安価です。(※8)

また、マイクロCTC検査では、検査前の食事制限や服薬などが不要であるため、非常に簡便な検査であるといえるでしょう。

参照元(※7):検査費用|国立がん研究センター 中央病院 
参照元(※8):マイクロCTC検査公式サイト

マイクロCTC検査をチェック

胃がんリスク検査に関するよくある質問

ここでは、胃がんリスク検査に関するよくある質問について回答します。

  • 食事や運動の制限が必要なのか
  • 費用は保険適用されるのか
  • 生涯1回のみの検査でよいのか

胃がんリスク検査について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

食事や運動の制限が必要?

胃がんリスク検査を受けるにあたり、とくに食事や運動の制限はありません。

ただし、空腹時血糖値検査や脂質検査など、ほかの検査もあわせて受ける場合は、食事を摂らずに検査を受けるよう指示される場合があるため注意しましょう

費用は保険適用応される?

胃がんリスク検査にかかる費用は保険適用外で、費用は5,000円程度です。(※9)(※10)

基本的には全額自己負担ですが、お住まいの地域や勤務先によっては検査費用に対する補助金が出る場合があります。

胃がんリスク検査をおこなった結果、ピロリ菌の除菌や精密検査などが必要になった場合にかかる費用については、基本的に保険適用されます

参照元(※9):(2)自己負担額:3 参考事項|胃がんリスク検診(ピロリ菌の有無がわかる血液検査)が始まります|津島市健康福祉部健康推進課
参照元(※10):胃がんリスクABC検診|生活習慣病予防健診|独立行政法人 地域医療機能推進機構 星ヶ丘医療センター 健康管理センター

生涯1回のみの検査でよい?

胃がんリスク検査を受ける回数は、基本的に生涯のうち1回のみです。

ピロリ菌への感染は幼少期に起こりやすく、成人してから感染するケースは非常にまれです。

成人後に胃がんリスク検査を受けて「ピロリ菌がいない」と判定された場合、結果が変わることはないため、一生に一度でよいとされています

まとめ

本記事では、胃がんリスク検査(ABC検診)の特徴や方法、血液検査の結果の見方などについて解説しました。

胃がんリスク検査は、将来の胃がんリスクを判定する検査です。

検査後は医師の指示に従い、必要であればピロリ菌の除菌や、内視鏡検査(胃カメラ)をはじめとする精密検査を受けると安心でしょう。

なるべく短時間で簡便に全身のがんリスクを調べたい方には、1回5分程度の採血で済む「マイクロCTC検査」もおすすめです。

将来のがんリスクを少しでも減らしたい方は、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。

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