PET検査とは?検査の方法や特徴・流れについて詳しく解説!

PET検査とは?検査の方法や特徴・流れについて詳しく解説!

がんの検査にはX線検査をはじめ、CT検査、MRI、PET検査など数多くの検査があります。

検査に種類がある理由は、検査により見えやすいがんや見えにくいがんなど、向き・不向きがあるからです。

検査を受けるとき、なぜその検査を受けるのか、目的や検査の特徴を知れば、病気への理解にもつながるかもしれません。

本記事ではがん検査のなかでも、ブドウ糖を使うPET検査について、PET検査をおこなう目的や特徴、検査費用などについて紹介します。

PET検査に興味がある方は、ぜひ参考ください。

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PET検査とは

ここではPET検査の目的をはじめ、次の内容を紹介します。

  • PET検査の目的
  • PET検査の方法
  • PET検査の診断精度

PET検査の目的

PET検査とは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略であり、放射能を含む薬剤を用いる核医学検査の一種です。

PET検査は日本で1994年にはじめて導入され、一度に全身のがん細胞を調べられることから、次の目的で検査が行われます。

PET検査が行われる目的

  • 治療前にがんの有無や広がりを確認
  • がん細胞の転移を調べるため
  • 抗がん剤の治療効果を判定
  • 治療後の再発がないのかを確認
  • がん細胞の大きさや場所の特定
  • 腫瘍が良性か悪性なのかを判断

一般的にがんが1cm以上の大きさであれば、PET検査での発見が可能です。

体内を断面的に撮影するCT検査やMRIと比べ、PET検査は生体内でのがん細胞の動きを撮影します 。

そのためPET-CT検査やPET-MRI検査など、ほかの検査とくみ合わせ、検査の精度を向上させます。

PET検査の方法

PET検査は、静脈にFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を注射し、がん細胞に取り込まれたFDG分布を画像に撮影する方法です。

がん細胞は正常な細胞に比べ、多くのブドウ糖を取り組む特性があります。

がんの悪性が高いがん細胞ほど、多くのブドウ糖が取り込まれます。

がん細胞に取り込まれたFDGには放射性があり、放射線を放出するため、身体の外から撮影が可能です。

放射線は人体組織を透過して身体の外まで届くため、身体の奥にがん細胞が隠れていても見つけられます。

PET検査の診断精度

PET検査の診断精度は高く、従来のがん検診のがん発見率は0.1~0.3%に対し、PET検査のがん発見率は約10倍の2.2%です。

2008年、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターが報告したPETによるがん検診の精度評価に関する研究では、次の結果が出ました。

【PET検診指標】

陽性率8.58%
発見率0.96%
特異度95.15%
正診率87.94%

PET検査によるがん検診の発見率は0.96%であり、良好な数字であると評価され、現在のがん診療では欠かせない検査です。

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PET検査の特徴

ここではPET検査の特徴として、次の4つを紹介します。

  • 全身のがんの有無を調べられる
  • 治療中の効果を判定できる
  • がんの転移や再発を検査できる
  • 少ない苦痛で検査できる

全身のがんの有無を調べられる

PET検査では、FDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を注射し、FDGががん細胞に取り込まれ、全身のがんの有無を調べられます。

X検査やCT検査などの画像検査は、通常、胸部や腹部など部位を絞り撮影しますが、PET検査の場合、一度の検査で全身の把握が可能です。

さらに画像検査では形の異常をみますが、PET検査ではブドウ糖代謝の機能から異常をみます。

画像のみではわからないときでも、PET検査では機能をみて判断が可能です。

そのため最近ではPET検査単独ではなく、PET検査と画像検査を組みあわせたPET-CT検査やPET-MRI検査などが行われます。

治療中の効果を判定できる

PET検査では抗がん剤の治療効果を判定できます。

抗がん剤治療の効果判定には通常、CT検査やMRIが一般的ですが、PET検査の場合、CTやMRIより早く治療効果の判定が可能です。

その理由は、がん細胞が小さくなる前にブドウ糖の代謝を低下するためです。

治療中の効果判定が早くできれば、不必要な治療を避け、そのあとの治療方針を速やかに決定できるでしょう。

がんの転移や再発を検査できる

PET検査は全身のがんを調べられるため、ほかの場所にがんが転移していないか、がんの転移や再発を調べるときに有用です。

さらにPET検査では、血液やリンパに運ばれたがん細胞も見つけられます

10mm以下の小さなリンパ節への転移の場合、CT検査やMRIなどの画像検査では異常を見つけられない場合があります。

PET検査の場合、ブドウ糖の代謝機能をみることで、転移の診断が可能です。

少ない苦痛で検査できる

PET検査の場合、FDGの注射のみのため、少ない苦痛で検査ができます

FDGの注射は、5分~10分ほど時間をかけて点滴の要領でおこないます。

まれにFDGを注射すると、吐き気やかゆみの副作用が報告されますが、大半の方は注射の間、何も感じない場合が多いでしょう。

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PET検査で発見しやすいがんと発見しにくいがん

ここではPET検査で発見しやすいがんと発見しにくいがんについて紹介します。

  • PET検査で発見しやすいがん
  • PET検査で発見しにくいがん

PET検査で発見しやすいがん

PET検査で発見しやすいがんは次のとおりです。

PET検査で発見しやすいがん

  • 甲状腺がん
  • 咽頭がん
  • 乳がん
  • 肺がん
  • 卵巣がん
  • 大腸がん
  • すい臓がん
  • 悪性骨腫瘍
  • 転移性肝がん
  • 悪性リンパ腫

PET検査では、がんの進行や病気を調べられます。

とくに肺がんや大腸がんなどはFDGが集まりやすいため、早期の発見が期待できます。

PET検査で発見しにくいがん

PET検査で発見しにくいがんは次のとおりです。

PET検査で発見しにくいがん

  • 胃がん
  • 膀胱がん
  • 腎臓がん
  • 前立腺がん
  • 肝細胞がん
  • 胆道がん
  • 尿管がん

PET検査は、体内に注射するFDGががん細胞に集まることで撮影が可能です。

そのためがんと関係なくFDGが集まる場所や、FDGが集積しにくい場所では、PET検査が適しません。

前立腺や肝臓はFDGが集まりにくいため、PET検査では発見しにくいでしょう。

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PET検査の費用と流れ

ここではPET検査の費用と流れについて紹介します。

  • PET検査の費用
  • PET検査の流れ

PET検査の費用

PET検査の費用は、保険診療と自費診療で異なります。

PET検査のなかでも、18F-FDG を用いたPET/CT検査は、早期胃癌を除く悪性腫瘍を調べるとき、保険が適応されます。

保険適応されるPET検査の条件は、次のとおりです。

保険適応されるPET検査の条件

  • がんあるいはがんの疑いがあると診断された方
  • ほかの検査や画像診断で病期診断、転移・再発の診断が確定できない場合
  • 悪性リンパ腫の治療効果判定

保険診療におけるPET検査の費用は、国が定める診療報酬で75,000円(税込)(自己負担は、そのうち1割~3割)と決められています。

保険診療の場合、PET検査費用の他に、診察代や処方せん代なども上乗せされますが、実質支払う金額は医療費の1割~3割分です。(※年齢や年収で異なります)

一方、「はじめからPET検査でがんがあるか診てもらいたい」や、「がん検診をPET検査で受けたい」場合などは、自費診療です。

自費診療の場合、全額自己負担となります。

一部の医療機関を例に、PET検査費用をまとめましたので、参考にしてください。

【がん検診のPET検査費用】

医療機関料金(税込)
医療法人 聖授会PET検査+腫瘍マーカー:99,500円
PET検査+CT+MRI+腹部エコー:161,700円
新百合ヶ丘総合病院PET-CTがんドック:110,000円
北海道がんセンターPET検診:78,000円
白河厚生総合病院PET検査:94,875円
※料金はすべて税込表示です。

PET検査の流れ

PET検査の流れは次のとおりです。

  1. 絶食する
  2. 検査薬(放射性薬剤FDG)を注射する
  3. 安静にする
  4. 撮影する

1:絶食する

PET検査で注射するFDAにはブドウ糖が含まれているため、検査前に血糖値の測定が必要です。

そのため検査前には、検査を受ける医療機関の指示に従い絶食としましょう。

検査前の6時間から絶食が必要で、絶食中は糖分を含むスポーツドリンクや脂質を含む牛乳も摂取できません。

PET検査前の血糖値測定で血糖値が高すぎると検査が中止になる場合があるため、病院の指示を必ず守りましょう。

また日頃から血糖値が高い方は、検査前に主治医に相談が必要です。

2:検査薬(放射性薬剤FDG)を注射する

検査薬であるFDGを注射するときは、点滴と同じ要領で5~10分間、時間をかけて注射します。

FDGの成分により、吐き気やかゆみなどの副作用を引き起こす場合があります。

【FDGの副作用】

頻度
嘔気0.7%
そう痒感0.4%
尿潜血陽性1.9%
尿蛋白陽性1.7%
尿糖陽性1.7%
血中カリウム増加0.9%
血圧上昇0.7%

3:安静にする

PET検査では、注射後1時間は安静にしなければいけません。

その間、スマートフォンを操作したり読書をしたり、筋肉や眼を動かして脳を働かせると、FDGの機能が落ち、検査の精度が下がるため注意が必要です。

安静にしている間も、積極的に水分補給をしておきましょう。(但し、糖分を含まない。)

十分に水分補給すると、検査時に良好な画像を撮影でき、さらに注射したFDGの排出を促進できます。

4:撮影する

撮影中は検査台のうえに仰向けになり、何もせず目を閉じて安静にしましょう。

検査台が自動で動き、PETスキャナーのなかを通過し、全身の断面を撮影します。

必要に応じて2回撮影する場合があり、2回目を撮影するときは、1回目の撮影が終わり1時間ほど安静にしてから再度撮影します。

2回撮影すると、より高精度の診断が可能です。

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【高精度・迅速に検査可能】マイクロCTC検査

がん発見率が高いとされているPET検査ですが、単体では発見しにくいがんも複数あります。

全身のがん検査をする場合、追加で検査が必要となるため金銭的・時間的に受診が難しいケースも多いでしょう。

実は、がん検査のなかにはPET検査のように高精度でありながらも迅速に検査ができる「マイクロCTC検査」と呼ばれるものもあります。

国内では聞きなれない方も多いのかもしれませんが、海外の研究機関では当然のように利用されている先端検査です。

ここでは、高精度で迅速に全身のがんリスクをチェックできるマイクロCTC検査について詳しく解説します。

検査は1回5分の採血のみ

マイクロCTC検査でおこなう項目は、1回5分の採血のみです。

ほかの検査は一切必要ないため、働き盛りの世代から高齢者までどなたでも気軽に受けられます。

また仕事帰りや買い物帰りなど、スキマ時間を活用して検査を受けられるのもマイクロCTC検査のメリットです。

検査における身体的負担が少ないから安心

PET検査は検査前6時間からは絶食にする、注射後1時間は安静にしなければならないなどの制限があります。

さらに少量ではありますが放射線被ばくのリスクもあり、妊娠中・授乳中の方は受診できません

対してマイクロCTC検査は1回5分の採血のみであるため、絶食や安静時間を設けたり放射線被ばくを受けたりせずに全身のがんリスクを検査できます。

身体的な負担が非常に少ないため、妊娠中~授乳中の方・子ども・高齢者までどのような方も安心して受けることが可能です。

がん再発の予兆を早期発見できる

米国の「MDアンダーソンがんセンター」によると、マイクロCTC検査は画像診断よりも早くがんの再発を発見できるといわれています。

また、通常はがんの手術や抗がん剤治療終了後5年間は半年ごとに画像検査をおこなう必要がありますが、PET検査・CT検査などの画像検査は放射線被ばくを受けると新たながんを発症するリスクも負ってしまいます。

対してマイクロCTC検査では採血しかおこなわないため、放射線被ばくのリスクが一切ありません。そのため、安心してがん再発の有無をチェックすることが可能です。

ぜひ下記のリンクから自身が足を運びやすい医療機関を見つけ、マイクロCTC検査を受けてみてください。

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PET検査に関するよくある質問

最後にPET検査に関するよくある質問について次の内容を紹介します。

  • PET検査とPET-CT検査の違いはなんですか?
  • PET検査を受ける際の注意点はありますか?
  • PET検査の副作用にはどのようなものがありますか?

PET検査とPET-CT検査の違いはなんですか?

現在は、PET検査とCT検査を組み合わせたPET-CT検査が広く行われています。

PET-CT検査とは、がん細胞の集積を撮影できるPET検査と臓器の形状を撮影できるCT検査、両方の特徴を活かした検査です。

PET-CT検査では、一度の検査でPET検査、CT検査の画像を重ねて表示します。

PET-CT検査は1cm前後の早期のがんから、がんの広がり、悪性度などPET検査より高精度で調べられます。

PET検査を受ける際の注意点はありますか?

PET検査を受ける際は次の点に注意しましょう。

注意点理由
検査前は激しい運動は禁止検査前に運動すると、ブドウ糖が筋肉に集積し、正しい評価ができないため
注射後1時間は安静検査後、体内の放射性物質を半減させるため
PET検査では見つけにくいがんがあることを理解ブドウ糖が集積しにくい場所や、がんと関係なくブドウ糖が集積する場所は診断が不可
血糖値が高いと正しい評価ができない血糖値が高いと、がんの検出が不可
少量の被爆がある放射性の薬剤を使うため
生理中は子宮がんや卵巣がんの判断が困難月経中または排卵期には子宮や卵巣にFDGが集積しやすく、正しい評価ができないため
検査後の授乳は不可放射線の被爆があるため

PET検査を受ける際は、PET検査の特性を理解し、医療機関からの指示を守りましょう。

PET検査の副作用にはどのようなものがありますか?

PET検査の副作用は次のとおりです。

PET検査の副作用

  • 少量の被爆
  • 吐き気や痒み

PET検査で注射するFDGには放射性があるため、少量ですが被爆します。

FDGから出る放射線の量は3.5mSvで、PET-CT検査のように組みあわせて検査をおこなうと、さらにCT検査による被爆1.4~3.5mSvが加わります。

人体に影響を及ぼす被爆量は100mSv以上です。

わたしたちは日中浴びる紫外線で、1年間に平均2.1mSvの放射線を受けています。

そのためPET検査で受ける被爆量は少量であり、医師が判断した場合、検査を受けましょう。

FDGには、吐き気やかゆみなどの副作用が報告されています。副作用の頻度は低く、吐き気が903例中6例、かゆみが903例中4件です。

PET検査では造影剤は使わないため、身体が熱くなるような副作用はありません。

PET検査は安全性が高い検査と評価されています

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まとめ

PET検査はがん細胞の特性を利用し、FDGの注射のみで一度に全身のがんを調べられる検査です。

従来のCT検査やMRIと組みあわせてPET検査をおこなうことで、高精度にがんの発見が可能です。

がん検診でPET検査を検討している方は、ぜひ参考ください。

▼関連記事:【マイクロCTC検査とPET検査の違い】がん検査を比較して早期リスク発見へ!

<参考文献>
PETがん検診の精度評価に関する研究
PET検査とは:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
PET-CTとは|国立国際医療研究センター病院
PET検査とは:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]
IF_FDG.pdf
受診方法とQ&A|国立国際医療研究センター病院
よくあるご質問 – 近畿大学高度先端総合医療センター(PET分子イメージング部)
IF_FDG.pdf
PET-CTとは|国立国際医療研究センター病院
PET/CT検査の保険適応について(患者さん向け) | 国立がん研究センター 東病院
E101-2ポジトロン断層撮影 | 医科診療報酬点数表 | しろぼんねっと
健診コース一覧|健診|医療法人 聖授会
専門ドックのご案内|新百合ヶ丘総合病院
PET検診 – 各種検診のご案内 | 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター
PET検査の料金|PET画像診断センター|各種健診|JA福島厚生連 白河厚生総合病院
「PET検査」ってどんな検査なの? 受けるとどんなことが分かるの? | メディカルドック
PET検査の原理について(がん検査と基礎知識)|PET検査ネット
PET-CT検査について|福岡和白PET画像診断クリニック|医療法人財団 池友会
四日市社会保険病院
PETがん検診の精度評価に関する研究

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